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イベント阻止の影響
可愛い約束
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今日一の輝かしい笑顔に目を瞬かせる。
そんなに放課後までぐっすりと眠っていたのが面白かったのだろうか。時間も忘れて学校で眠りこけるなんて一生の不覚だと思っていたけれど、ミリたそに喜んでもらったのであれば儲けものだ。このくらいで喜ぶならいくらでも惰眠を貪ろうと思う。
「……でも、寝ていただけじゃないですよね?」
きゅっと口角を上げたミリたそに顔を覗きこまれる。満面の笑みからの上目遣いに見惚れ遅れること数秒。ミリたその言葉を思い出して目を瞬かせた。
「……え?」
寝ていただけ、だと思うけど……?
午前最後の授業の後の記憶は綺麗さっぱりない。そりゃそうだ。だって寝ていたんだから。けれど、「ひどい、忘れてしまったんですか……?」と眉を下げられれば焦りが募る。
「ま、待って、覚えてる! 覚えてるからちょっと待って!」
これは、命に懸けても思い出さなければならない。推しの顔を曇らせるなどオタクにあってはならない。
きっと俺が忘れていることがあるんだ。なければならない。無理にでも生み出すのがオタクだろ。
足を止め、今日の出来事を1つずつ頭に思い浮かべる。その間も隣のミリたその眉がどんどん下がっていってしまう。
ペしょりと垂れた眉が可愛いとかそういうのは今はどうだっていい。いや、よくないけど。心のシャッターはきりっぱなしだけど、最優先ではない。
今日は魔法理論の課題借りて、死ぬ気で写して、それで……。
「……あ。お、お礼の事……?」
恐る恐る尋ねれば、ミリたその顔が途端に明るくなる。ビンゴだったらしい。でかした俺の脳みそ。
「わ、忘れるわけないよ! ミリたそは、何か困ってることない? 俺にできることならなんだってするよ!」
昨日の話を聞く限り困ってしかいないと思うから困り事なんて湯水のように溢れてくるだろうけど。その全てを解決してあげたい。
「じゃあ……」
指先をもじもじ絡ませて言い淀むミリたそに、「何でも言って!」と声をかけた。地面を泳いでいたミリたその視線が上を向き、俺を控え目に見上げる。
「今度の週末、一緒にお出かけしませんか……?」
「……へ」
「一緒に行ってほしいところがあるんです」
俺に向けられたキラキラと輝く瞳にまぬけに口を開ける。
一緒に、お出かけ……? 寧ろ俺の願いなんですがそれは。
というか、その程度でいいんだろうか。お礼だぞ。もっとわがまま言ったっていいのに、一緒にお出かけなんてそんな……。
「やっぱり忘れてください。僕みたいなのとお出かけなんて嫌ですよね……」
「ま、まさか! 行く! 行きます! 地獄の果てだろうお供させていただきます!」
寧ろ行かせてください!
喉元まで出ていた言葉は飲み込んで頷いた。驚きのあまり遅れてしまった返事を埋め合わせるように全力で首を縦に振る。
すると、ぱっと顔を輝かせたミリたそに手を握られた。
「ひぇ……っ」
「ほ、本当!?」
「う、うん!」
「ありがとう! 嬉しい……!」
その場で小さく跳ねていたミリたそが、握っていた俺の手を引き寄せ、胸の前できゅっと握りしめる。釣られて俺の心臓も誰かに掴まれたみたいに、ぎゅっと痛くなった。あまり軽率に可愛いことをしないでほしい。
「い、一緒に出かけるだけでいいの?」
「はい。僕、友達と一緒にお出かけするの憧れだったんです」
「他にも色々言ってもいいのに……」
「そんな……! 十分です! その代わり、モーヴ君の1日を僕にください」
「1日と言わず一生でも全然構いませんが……!」
例えミリたそに断られようとも血肉骨全てを捧げます。骨の髄までしゃぶり尽くされたって文句言いません。
一瞬、きょとんと目を瞬かせたミリたそは「その言葉、忘れないでくださいね」とイタズラに微笑む。
「も、もちろん……!」
忘れるわけがない。寧ろこちらのセリフです忘れないでくださいね。俺の方は一生覚えているので覚悟してください。
それはそれとしていたずらっ子みたいな無邪気な笑顔も可愛い。逆に何をしたら可愛くなくなるのか教えてほしい。
……というか。
もしかしてだけど、これって俗に言うデートでは……!?
前世含め俺の初デートがこんなに可愛い子でいいんですか!? 俺別に世界救ったことないですけどいいんですか!?
服とかどうしよう。この世界のお洒落とか微塵も分からないけど。Tシャツとかスウェットしか着たことがない俺にはあまりにもハードルが高すぎる気がするんですけど。この世界ファッション雑誌とかあるんですかあるなら今すぐ欲しいです。
「嬉しい。……僕も、モーヴ君になら――」
「モーヴ様!」
遠くから聞こえる俺を呼ぶ声に、ハッと顔を上げた。
そんなに放課後までぐっすりと眠っていたのが面白かったのだろうか。時間も忘れて学校で眠りこけるなんて一生の不覚だと思っていたけれど、ミリたそに喜んでもらったのであれば儲けものだ。このくらいで喜ぶならいくらでも惰眠を貪ろうと思う。
「……でも、寝ていただけじゃないですよね?」
きゅっと口角を上げたミリたそに顔を覗きこまれる。満面の笑みからの上目遣いに見惚れ遅れること数秒。ミリたその言葉を思い出して目を瞬かせた。
「……え?」
寝ていただけ、だと思うけど……?
午前最後の授業の後の記憶は綺麗さっぱりない。そりゃそうだ。だって寝ていたんだから。けれど、「ひどい、忘れてしまったんですか……?」と眉を下げられれば焦りが募る。
「ま、待って、覚えてる! 覚えてるからちょっと待って!」
これは、命に懸けても思い出さなければならない。推しの顔を曇らせるなどオタクにあってはならない。
きっと俺が忘れていることがあるんだ。なければならない。無理にでも生み出すのがオタクだろ。
足を止め、今日の出来事を1つずつ頭に思い浮かべる。その間も隣のミリたその眉がどんどん下がっていってしまう。
ペしょりと垂れた眉が可愛いとかそういうのは今はどうだっていい。いや、よくないけど。心のシャッターはきりっぱなしだけど、最優先ではない。
今日は魔法理論の課題借りて、死ぬ気で写して、それで……。
「……あ。お、お礼の事……?」
恐る恐る尋ねれば、ミリたその顔が途端に明るくなる。ビンゴだったらしい。でかした俺の脳みそ。
「わ、忘れるわけないよ! ミリたそは、何か困ってることない? 俺にできることならなんだってするよ!」
昨日の話を聞く限り困ってしかいないと思うから困り事なんて湯水のように溢れてくるだろうけど。その全てを解決してあげたい。
「じゃあ……」
指先をもじもじ絡ませて言い淀むミリたそに、「何でも言って!」と声をかけた。地面を泳いでいたミリたその視線が上を向き、俺を控え目に見上げる。
「今度の週末、一緒にお出かけしませんか……?」
「……へ」
「一緒に行ってほしいところがあるんです」
俺に向けられたキラキラと輝く瞳にまぬけに口を開ける。
一緒に、お出かけ……? 寧ろ俺の願いなんですがそれは。
というか、その程度でいいんだろうか。お礼だぞ。もっとわがまま言ったっていいのに、一緒にお出かけなんてそんな……。
「やっぱり忘れてください。僕みたいなのとお出かけなんて嫌ですよね……」
「ま、まさか! 行く! 行きます! 地獄の果てだろうお供させていただきます!」
寧ろ行かせてください!
喉元まで出ていた言葉は飲み込んで頷いた。驚きのあまり遅れてしまった返事を埋め合わせるように全力で首を縦に振る。
すると、ぱっと顔を輝かせたミリたそに手を握られた。
「ひぇ……っ」
「ほ、本当!?」
「う、うん!」
「ありがとう! 嬉しい……!」
その場で小さく跳ねていたミリたそが、握っていた俺の手を引き寄せ、胸の前できゅっと握りしめる。釣られて俺の心臓も誰かに掴まれたみたいに、ぎゅっと痛くなった。あまり軽率に可愛いことをしないでほしい。
「い、一緒に出かけるだけでいいの?」
「はい。僕、友達と一緒にお出かけするの憧れだったんです」
「他にも色々言ってもいいのに……」
「そんな……! 十分です! その代わり、モーヴ君の1日を僕にください」
「1日と言わず一生でも全然構いませんが……!」
例えミリたそに断られようとも血肉骨全てを捧げます。骨の髄までしゃぶり尽くされたって文句言いません。
一瞬、きょとんと目を瞬かせたミリたそは「その言葉、忘れないでくださいね」とイタズラに微笑む。
「も、もちろん……!」
忘れるわけがない。寧ろこちらのセリフです忘れないでくださいね。俺の方は一生覚えているので覚悟してください。
それはそれとしていたずらっ子みたいな無邪気な笑顔も可愛い。逆に何をしたら可愛くなくなるのか教えてほしい。
……というか。
もしかしてだけど、これって俗に言うデートでは……!?
前世含め俺の初デートがこんなに可愛い子でいいんですか!? 俺別に世界救ったことないですけどいいんですか!?
服とかどうしよう。この世界のお洒落とか微塵も分からないけど。Tシャツとかスウェットしか着たことがない俺にはあまりにもハードルが高すぎる気がするんですけど。この世界ファッション雑誌とかあるんですかあるなら今すぐ欲しいです。
「嬉しい。……僕も、モーヴ君になら――」
「モーヴ様!」
遠くから聞こえる俺を呼ぶ声に、ハッと顔を上げた。
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