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第一章
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しおりを挟むゼノ………?
今ゼノって言った!?あの時、夢の中でアンリ様が叫んでいた名前もゼノだった。同一人物なのかしら。でもフードに隠れて顔がよく見えなかったから………。
おそるおそる学園長室の扉を開けて中を覗くと、そこには白いお髭をたくわえた学園長が見える。しかし肝心のゼノの姿が学園長の立派な体に隠れて見えない。もうちょっとなんだけど…………うわっ!!!
もう少しだけ開けようとした扉が手が滑り派手な音を立てて開いてしまった。
「なんじゃあ!?…………姫様!?」
驚く学園長の後ろには、これまたびっくりした顔で私を見る黒髪の男の子がいた。
男の子の目は透き通るような紅。
宝石みたい………。
「姫様!!」
学園長の声にハッとする。いけない、うっかり見とれてしまった。
「学園長、お久し振りです。えへへ。」
「えへへじゃありません!何ですかノックも無しに。まったく………相変わらずのようですな。で、今日はどうされたのです?」
「昨夜の緋色の玉の事でちょっと………。」
学園長はため息をついた。
「それならこやつの仕業です。ゼノ!エルフィリア様に挨拶せんか!」
「………うす。」
うっっ……感じ悪っ。
「ゼノはこれでも優秀な奴なのですがなにぶん悪戯が過ぎて………。昨夜の事も何も言わんので困っているところです。」
「ゼノ………って呼んでもいいかしら?どうして何も説明してくれないの?」
ゼノはしばらく黙ったあと口を開いた。
「………どうせ信じないから。」
「何を……?」
ゼノはまた黙ってしまった。
「学園長。ちょっとゼノをお借りしてよろしいでしょうか?」
「それは構わんが………。」
「ありがとうございます!さ、ゼノ。行きましょ!」
私は無理やりゼノの腕を取って部屋の外へ連れ出した。
人気のない講堂にゼノを引っ張りもう一度聞く。
「ねぇ、ここなら誰も聞いてないわ。絶対に誰にも言わないから話してくれない?何であんなことをしたの?」
それでもやっぱりゼノは何も言ってはくれない。
「いいわ。なら私も誰にも信じて貰えない話を今からするから。その代わり絶対に誰にも言わないと約束して?」
返事は返って来なかったが、真っ直ぐに私を見つめる目が答えなのだろう。私は意を決して自分の身に起こった出来事を話した。
「どう?信じられないでしょ?」
全てを聞いたゼノは、最後は口が開いたままだった。
「だから私は知りたいの。あなたがした事がこれからの未来にどんな誤差をもたらすのかも。お願いだから教えて。」
ゼノは私の目を見つめる。試されているのだろう。絶対にそらすもんか。
私は負けじと真剣な目で彼を見つめ返した。
やがてゼノは少し躊躇いながら言った。
「俺は………過去を夢に見るんだ。ある少年の過去をずっと。ずっとだ。」
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