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第一章
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しおりを挟む夢の始まりは少年が生まれ落ちたその瞬間からだった。
広いベッド。美しい女性。そして生まれたばかりの赤子。高貴な生まれなのだろう。たくさんの使用人がいる。
窓の外は一面の雪。春は来るがそれでも寒そうだった。
すくすくと育つ少年にある日異変が起こる。
庭で遊ぶ少年が突然胸を抑えて倒れた。
少年が七歳の時だった。
そして事態は急転していく。
神官服を身に纏った集団。真ん中には燃えるような赤い髪の少女。
神官達は少女こそが少年を治せる聖女だと言う。故に少女を娶り、これを機に神殿との繋がりも深めようと迫った。
しかし少年の母親はこれを強く拒んだ。
母親は“与える側”の人間だった。けれど、その事を周りには隠しているように見えた。
母親は少年に与え続けた。魔力の少ない者がそれ以上与える事ができるのは自身の命だけ。
そしてその日がやってくる。
少年の母親は死んだ。自分の命を使い果たして。
「それがつい最近見た夢だ。少年は青年へと成長してる。おそらく夢が現在に追い付いたのか、それ以降夢を見ていない。」
夢が現在に追い付いた………。
「その母親が最後に少年………いや青年に言い残したんだ。“捜して”って。」
「捜す?誰を?それとも何かを?」
「“あなたを救える人がいる”って言ってた。だから教えてあげたんだ。」
「何を?」
「溢れるほどの魔力を持つあんたならあの青年を救える。だからあの玉を作って飛ばしたんだ。どこの国かわからないから全てに届くように。」
「はぁ!?」
「普通の日にやるとかなりの騒ぎになる。だから豊穣祭の夜にやろうと思ったんだ。祭りの最後を飾る花火みたいに見えるかと思って。」
何言ってんのこの子!?私が救えるから教えてあげたですって!?
「俺が助けられるならそうしたかったけど、生憎おれは“奪う側”の魔法しか使えない。」
………奪う側しか使えない?
おかしいわ。私の夢の中のゼノは私の傷を治してた………なのになぜ?
「………ねぇ、あなたの夢の中に出てきた少年の髪の色は何色だった?」
答えは聞かなくてももうわかってる。
「髪の色は青銀だった。名前はアンリ。アンリ様と呼ばれてた。」
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