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第二章
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しおりを挟む「やっと帰って来てくれた…。すごく長い間離れていたように思えたよ。」
「…ご、ごめんなさ…アンリ様、ごめんなさい…」
無理に喋らなくていいよと、アンリ様の大きな手が優しくポンポンと私の背中で音を立てる。
「今日は君たちも来てくれたんだね?ふふ、初めての場所が珍しいんだな。」
頼もしい二匹はフンフンと匂いを嗅ぎながらアンリ様のお部屋探索をしている。
アンリ様にすぐ飛び付かないのは一応この状況を察してくれているのだろう。
さっきの男前な後押しといいすごくいい奴…いや、いい猫である。
「…ずっと悩んでたの。そしたら二匹が“行け”って背中を押してくれたの。」
アンリ様の手が私の頬に触れる。
とても真剣な瞳。
「何に悩んでいたのか聞いてもいい?」
「うん…ごめんなさいアンリ様。うまく話せないかもしれないけど、聞いて欲しい。」
私は昨夜見てしまった夢の内容を話した。そして命の契りの事も…。鮮明な光景は思い出すだけでも辛くて悲しい。とても時間がかかってしまったけど、アンリ様は静かに寄り添って聞いてくれた。
「こんな、こんな欲張りな子じゃアンリ様に嫌われるってわかってる…でも嫌なの!アンリ様が…たとえどんな事情があったとしても私以外の女性に触れるのは嫌なの!」
泣き叫ぶみっともない私にアンリ様は微笑んで、口づけた。
「……んっ………」
アンリ様の優しい舌が与えてくれる幸せに期待してしまっているのか、抱かれた腰に当てられた彼の手に身体は素直に反応し、痺れるような感覚が背中を通り抜け脳まで伝わって来た。
求められるほどに大きく漏れ聞こえてくる唾液の絡まる音に頭がクラクラする。
不意にアンリ様の唇が離れた。
「…私はファルサにこんな風に口づけていた?」
ファルサに…?
思い出すのも嫌だけど…最初しか見てないけど……
「…してなかったと思うわ……。」
そう言えば、その行為の最中もファルサの大きな嬌声ばかり聞こえていたが
(唇が繋がっていたらあんな声出せないわよね……。)
「…何か理由があったのだろう。それもおそらく未来の私が棺の中のあなたに語った言葉に関係がある。」
【必ず…必ず君を帰してあげるから……。】
それは一体何を意味する言葉なのか。
「でも何で?どうして私のために?」
死んだ私は何の役にも立たない。放っておけばいいのに。
けれどアンリ様は困ったように微笑んで“わからない?”と私に聞く。
「…未来の私も愛しているんだよ。エルフィリアの事を…。」
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