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第二章
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しおりを挟む「エストリアと同盟だと…?」
「エストリアだけではない。グレンドールの誇る魔法使い達の力を求めてやって来る民は多い。これから同盟の申し込みも更に増えるだろう。」
現にアテルナからも打診があった。自国の民のみならず王族までもが往来するこの平和を愛する国に、万が一悪意ある者が手を伸ばそうとしたなら必ず共に戦ってくれるだろう。
「今の発言…ローゼンガルドからの宣戦布告か?君は王族なのだろう?ならば君の言葉は国王の言葉と取って構わないな!?」
アンリ様の顔がいつもと違う。これはシャーでも私のアンリ様でもない。アンリ・シャルディン第一王子の顔だ。
しかしアンリ様の言葉にギャレットは全く動じない。むしろ嘲笑うような目を向けてきた。
「ふん。どうとでも取ればいい。ただの人なら恐れるに足らん。ここの魔法使いなら少し別だがな。」
ただの人なら……?
何それ…。確かにエストリアは大国だが魔法使いはいない…。つまり魔力を持たない人間はローゼンガルドの敵ではないと?
「お前と話してる暇などない。」
そう言うとギャレットはアンリ様に向かって手をかざした。
「駄目ーー!!」
禍々しい力の噴出にいち早く気付いたエルフィリアがアンリの前へ出た。
【防壁!!】
二つの力がぶつかるのはほぼ同時だった。
ギャレットの手からアンリに向かってどす黒い靄に覆われた巨大な力が放たれたがエルフィリアの防壁が間一髪それを防いだ。
(…何…なの…この力……!!)
この世界に存在する二種の魔法のどれとも違う。
(…怖い…聞こえる…人の泣き叫ぶ声や怒り狂うような声……)
まるで地の底へ引きずり下ろそうとするように、自分達に向かって手が伸びてくるようなその感覚にエルフィリアは恐怖した。
「さすがだな。だが俺だってまだまだだ。」
ギャレットが不適な笑みを漏らす。
(どうすればいい!?どんな術を使うのか全くわからない……そうだ!!)
「ゼノ!!!お願い!この男を捕らえて!何しても良いから!!」
「何!?」
この場にいるのは自分を含め三人だけだと思っていたギャレットはエルフィリアの言葉に顔をしかめた。
「いいの?じゃあ遠慮なく。」
突然クローゼットから登場した怪しい男に驚き隙を見せたギャレットにゼノは容赦なく力を放った。
「…っ!!しまった…!!」
ゼノの手から放たれた赤い光はギャレットの周りで幾重にも紡がれ、あっという間に中に閉じ込めてしまった。
「…や、やるじゃないゼノ……」
「エルフィリア!?」
「大丈夫よアン…じゃないシャー…」
アンリにはそう言ったものの未知の力と対峙したエルフィリアは慣れない力の使い方をしたせいで足もとがおぼつかない状態だった。
「おい!!ここから出せ!!」
「出す訳ないでしょ!!」
しかしあまりのギャレットへの怒りで口はしっかり動いた。
「おいお前!!……ん?お前その髪…何だお前ニゲルの谷の者か!?」
(ニゲルの谷……?)
「そんな場所は知らない。俺はグレンドール出身だ。」
しかしギャレットは納得の行かない様子だ。
「ニゲルの谷とは何だ。」
アンリがギャレットに問い掛けるもギャレットは答えない。
「シャグランの民の住処か」
しかしこの言葉にギャレットはアンリ様をギラギラとした目で睨み付けた。
「……お前、何者だ……。」
この顔…こんな恐ろしい顔をする男が本当にアンリ様と血の繋がりがあるのだろうか…。見れば見るほど似たところがない二人の面立ち。
「さっきの力…まさかとは思ったがシャグランの血の力だな。ならばお前はローゼンガルドの王家の血など引いてはいない!お前こそ何者だ!!」
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