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第二章
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しおりを挟むアンリ様は唇を合わせたまま素早く上に着ていた服を脱ぎ捨てた。
(きゃーーーーっっ!!は、裸!!)
キスのお陰で顔が動かせなくて助かった。
アンリ様の半裸なんて拝んだら鼻血が噴き出る事間違いない…って、え!?嘘!嘘でしょ!?何してるのアンリ様!?
アンリは優しい手つきでエルフィリアの着ている服を胸元まで下げ、自分達の上に毛布を被せた。
(い、いつかこういう事するのは望んでたけど今ですか!?)
「エルフィリア!!」
その時だった。乱暴な足音がすぐ側で止まる。
「な…っ!お前達一体何をしてる!!」
勝手に人の部屋に侵入しといて【何をしてる】じゃないわよ。
毛布で隠れた下半身。私の上には半裸のアンリ様。これだけ見れば立派にいたしている状態だと思うだろう。しかもアンリ様は私の首筋や胸元にもキスを落としていく。
自分だけを感じていろと彼は言った。だから横でわめくギャレットの声を無視してアンリ様の背に手を伸ばした。
「…シャー、…もっと…」
あいつさえいなければ最高の場面なのに。
けれどアンリ様も気にせず続ける。
「…まだ時間はたっぷりあるからね。慌てないで…。」
アンリ様はわざと唇に隙間を作り、舌の絡まる音を響かせる。
(な…何て大胆なのアンリ様!!嫌じゃないけど!!)
恥ずかしいより気持ちいいのが圧倒的に勝ってる。本気でギャレットの存在を忘れそうになった私も相当なタマである。しかしその時だった。
「いい加減にしろ!俺を誰だと思ってる!ローゼンガルドの王族だぞ!!」
喚き出したギャレットにアンリ様は身体を起こした。
(あっ!下を履き直す小芝居が入ったわ!凄いわアンリ様!!)
思わぬ演技派の登場に、ここは負けてられないとエルフィリアもさも裸ですと言わんばかりに毛布を身体に巻き付けた。
「…ここはグレンドールの姫君の部屋だぞ。君こそ誰の許可を得て立ち入ったんだ?」
アンリ様は露になっている私の肌を隠すようにしてギャレットの方へ身体を向けた。
「お前…何者だ?」
勝手に人の部屋に入っておいて中にいた人間に【何者だ?】とはどういう了見なのか。しかしギャレットの無礼には慣れっこなのだろう。アンリ様はシャーとして質問に答えた。
「名乗るのは君の方だろう。王族の部屋への不法侵入は大罪だ。どんな言い逃れも通用しないぞ。」
ギャレットはギリギリとアンリ様を睨み付ける。しかし本当にどうやってここまで入って来れたのか。
(まさかラウール達、こいつにやられちゃったんじゃないでしょうね!?)
ギャレットに乱暴を働かれて以降、私の部屋周辺の警備にあたってくれているラウールと他数名。王族の警備を担うには相当の実力が要求される。彼らを倒したのだとしたら余程の腕前だ。
「不法侵入?護衛が寝転がっているような所を歩いた所で罪になるのか?それよりも俺はそいつに用があるんだ。どこの誰だか知らないがお前は引っ込んでろ!!」
護衛が寝転がってる!?そんな事あるわけ無いじゃない。絶対こいつが何かしたに決まってる!!うー、頭にきた!!
「引っ込むのはあなたの方です!私の夫となる方への無礼は許しませんよ!!」
「…夫だと…?」
驚き目を見張るギャレットにアンリ様も口を開く。
「そうだ。リアと私は将来を誓い合った仲。既に陛下にもお許しを頂いている。わかったなら早く出て行け。それに…君は私達が今何をしているのかもわからないほど子供なのか?」
(リ、リ、リア!?)
アンリ様が私を“リア”って…リアって呼んでくれた!!やだアンリ様…好き……!!
しかしギャレットはそれでも引き下がらない。
「俺は急ぎの用があるんだ!!エルフィリア!!ローゼンガルドから知らせが来て帰る事になった!お前も一緒に来い!!」
ローゼンガルドから知らせ?
アンリ様を見ると彼も同じことを考えたようだ。恐らくその知らせとは怪しい女がアンリ様を連れ去ったという知らせなのだろう。
今朝の出来事もファルサなら魔法で知らせる事が可能だ。
しかし何で私が一緒に帰らなければならないのだ。訳がわからない。
「俺はこの国を気に入った。お前もだ。だから俺はお前と結婚する。拒否するなら無理矢理奪うのみだ。お前も、この国もな!」
この国を気に入った?奪う?
“滅ぼす” のじゃなくて“手に入れる”って事?
何でそうなっちゃうの?また未来と変わっちゃってる!
「そんな事は周辺国だって許さない。今のグレンドールは各国に門戸を開いた。しかも病に苦しむ人を助けるためにだ。大国エストリアとも同盟を結ぶこの国を君の一存でどうにかできると思うな。」
アンリ様の口からエストリアの名が出た瞬間ギャレットの顔色が変わった。
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