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第二章
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しおりを挟むギャレットは消え、空になった魔法石だけが転がっていた。
「話に聞いてたのと全然ちがうじゃねーか。ローゼンガルドにも魔法使える奴がいるんだな…。」
ゼノは床に落ちていた魔法石を拾い上げ、それに力を込めた者の痕跡が残されていないか見ているようだ。
「エルフィリア!!」
ギャレットの得体の知れない力にあてられたエルフィリアの顔色は悪く、力が入らずふらつくその身体をアンリが支えた。
「ごめんなさいアンリ様…ちょっと慣れない力の使い方をしてしまったせいで気分が…」
「そんな事はいい。私には気を遣わないでエルフィリア。」
『そうだ!!今は気を遣ってる場合じゃないぞ!!お前、ちょっとマズい!!』
「サニー!?あなた今までどこに行ってたの!?」
ノエリア様と一緒にやって来た精霊のサニーがいきなり目の前に現れて、エルフィリアは目を丸くした。
『アイツがいなくなるのを待ってた!アイツは良くない!ノエリアの娘を食ったのと同じ奴ら!!』
ギャレットが…ノエリア様の娘を食ったのと同じ奴ら?
『そうだ!それでお前!お前の浴びたその瘴気!早く祓わないと大変な事になる!!』
「瘴気?大丈夫よ。ちょっとフラフラするだけだから。」
するとサニーはパコーンとエルフィリアの頭をぶった。
「ちょ、ちょっと!目眩がするじゃないの!やめてよサニー!」
『バカ!!その目眩も瘴気のせい!!急げ!急がないと精神を蝕まれる!』
「急げって言ってもどうしたらいいの?方法を教えて?」
『ノエリアだ!ノエリアしか治せない!早く目覚めさせるんだ!!』
「ちょ、ちょっと待ってよサニー!ノエリア様の回復にはまだ時間が掛かるわ!あなたも知ってるでしょう?」
十年以上眠り続けるほど力を放出したのだ。そんな力を一気に流し込めばノエリア様の身体が耐えられない。
しかし私の答えにサニーは表情を暗くした。
『…残念だがお前もうダメ。』
「おっ、お前もうダメ!?何よそれ!?」
『シャグランの呪いは恐ろしい。心を蝕まれる…お前もうダメ。残念。』
「ちょっとぉ!!」
サニーの姿はまだ誰にも見えてない。周りはエルフィリアが錯乱したかと思っていた。しかし一方的にしか聞こえないがどうやら会話をしているようだと気付いたアンリが割って入った。
「エルフィリア、一体誰と話しているの?私達にも説明してくれる?」
「アンリ様。あのね……『ちょっと待て!!』
アンリの声にサニーは目を剥いた。
「ちょっと黙ってサニー…『おい!!お前はアテルナの人間か!?』
そしてその言葉と共にサニーは皆の前にその姿を晒した。
「何言ってるのサニー?アンリ様はローゼンガルドの出身よ?」
『そんなはずない!!お前!ノエリアと同じ匂い!!これはアイツらの大好きな匂い!!』
「アイツらって…ギャレットの事?」
しかもアイツらって複数形?まさか本当にギャレットはシャグランの一族だって言うの!?
『ノエリアには精霊の血が流れてる!死んだ娘もそうだった。アイツらは呪う。妬み、嫉み、憎む心は美しく清らかな血を欲する。精霊の血はアイツらにとって何より甘美な御馳走!俺達は姿を消して逃げる事ができるが人間は無理!だから狙われる!そこの変な色の髪のやつ!お前精霊の血が流れてる!間違いない!』
(へ、変な色の髪!?もしかしてそれってアンリ様の青銀の髪の事を言ってるの!?)
新手の冗談かと思ったが違う。サニーの指はしっかりとアンリを指している。
「私に精霊の血が?そんな…何かの間違いだろう。私の両親はローゼンガルドの王族…いや……」
王族なのは父親だけだ。
母親の出自もローゼンガルドの貴族のはず…。でもおかしい。それなら何故?
何故、母親は自分の命を繋ぐ力を持っていたのだ…?
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