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第三章
3
しおりを挟むなんて滑らかなお肌。細身だと思っていたのに脱いだらびっくり男らしく隆起する身体。男性経験まるで無しの箱入り姫の私にはハードルが高過ぎです。
「ちょっ!ちょっと待って!!ちょっと待ってアンリ様!!」
「エルフィリア!?……ああ……!!意識が戻ったんだね!良かった!具合は……いい訳ないよね。でも大丈夫。今から私達は一つになるんだ。そしたら私の持つ不思議な力があなたを救えるから……」
アンリ様は切なそうな顔で私に口付ける。
でもその口付けは寝起きで具合の悪い人にするようなソフトなやつではない。
嬉しい……積極的なアンリ様なんてとっても嬉しいんですけどちょっと……ちょっと待って!!
どう考えても私服着てない気がするんです。だってアンリ様の肌の感触がどこもかしこもはっきりわかる。
素肌が触れ合うって気持ちいい……じゃない!
誰が脱がしたのこれ。
考えたくないけどまさかアンリ様が?それ、丸見えどころかもうモロ見えですよね。
あのですね、私さっきまでノエリア様と物凄くシリアスな話をしていたせいで、いつもならこんな時じゃんじゃか湧き出る煩悩を理性がバッチリ抑え込んでるんです。
それにアンリ様と同じく精霊の血を引くノエリア様が私に接触して下さったお陰なのか、時間が経つにつれシャグランの瘴気が幾分中和されてきている気がする。
だから今アンリ様が無理する必要はどこにもないのです。
「ア、アンリ様落ち着いて?私ならもう大丈夫だから……」「どうして?」
え?どうしてって……どうして?
「私は嫌だ。あなたのあんな顔はもう二度と見たくない。本当はあなたの身体が私を無理なく受け入れられる年齢まで待ちたかったけど、なるべく負担をかけないようにたっぷりと時間をかけるから……」
アンリ様の表情がいつもと違った艶を帯びている。
(……男の人の顔だ……)
いつもの少し恥ずかしそうな赤い顔じゃない。
(きっと女性を抱く時、男の人はこういう顔をするんだ……)
目元を赤く染めるアンリ様の顔は美しく何とも切なげな艶がある。
「アンリ様好き……好きよ……大好きなの……でも今はダメ!!ダメなの!!」
「えぇっ!?」
私はこんな時に限って最高にやる気を出したアンリ様を宥めるために、残りの命を使い果たしそうになったのだった。
***
「……アテルナの王女……私の母が……」
とりあえずなんとか服を着てくれたアンリにエルフィリアは夢の中でのノエリアとのやり取りを伝えた。するとやはりというべきか、自分の母親の本当の出自を知らされていなかった事にショックを受けている。
「……母はローゼンガルドの貴族の出身だと聞かされていた。けれど今の話が本当なら、おそらく父が母の出自を隠すために手を回したんだろう。信頼できる臣下に頼んで……。」
こんな事思うのは失礼だけど……凍てつく大地ローゼンガルドの王子と、光り輝く精霊の住まう国アテルナの王女……まるで違う二人は一体どこでどうやって出会ったのだろう。
「……私にもわからない……。だがそれを知る手掛かりならある。母を養子にした貴族だ。何とか彼の元を訪ねることが出来れば……しかしその前にまずキランだ。キランを救い出さなければ。」
「ゼノの修行終わったかしら?行ってみましょうアンリ様……っと」
まだ身体がふらつく。これもいつかアンリ様が力の使い方を覚えればすぐ治るのだろうか。
「エルフィリア大丈夫?ほら、おいで。抱っこしてあげる。」
それはお姫様抱っこってやつですね。
今までならアンリ様の身体を考えて遠慮してたところだけど、さっき色々と拝見したところとても素晴らしい筋肉をお持ちだったので……
「……お願いします……」
私は大人しく両手を差し出したのだった。
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マリーの憂鬱に惹き込まれ、こちらに来ました。面白過ぎてあっという間です。ヤマの上で待っています。更新を心待ちにしている読者がココにもいますので、宜しくお願いしますね
ぽよ様!ご感想ありがとうございます(´(ェ)`)
マリーの憂鬱を読んでくださったのですね。ありがとうございます。あれは生まれて初めて書いたお話で、今読み返すと拙いところばかりで恥ずかしいのですが、私にとっては大切なお話なんです💦嬉しいです。
こちらの更新も、随分滞ってしまってますね。
更新が止まった時のことなのですが、ファンタジーの世界って言葉にするのがとても難しくて、どう表現したらいいものかと日々悩んでいました。
今ならあの頃よりも書けるようになっているはずなので(多分ですが笑)、これも近いうちに再開できたらと思います!
クマ様♡(> ਊ <)♡
クマ様の過去の作品を作品を読み始めたのですが…面白い❢これまた、超~面白いです(✷‿✷)
昨晩読み始めて、寝落ちし…早朝からまた読み始め…読み切っちゃった!!
クマ様、最高に盛り上がってる場面じゃないですか(☆▽☆)(≧▽≦)(☆▽☆)(≧▽≦)
お時間が出来てからでも良いので、ぜひぜひ更新宜しくおねがいします(人 •͈ᴗ•͈)
油木まみ様!ご感想ありがとうございます(´(ェ)`)
きゃ〜〜!!初期のやつを読んでくださったんですね!恥ずかしい……恥ずかしいですが嬉しいです!
しばらく更新してないのですが、続き2話分くらい書いてあるんですよね💦
色々あって止まっているお話も、必ず完結させようと思ってます!
眠っているお話も読んでくださって本当にありがとうございました!
初めまして。
とても面白くて一気に読んでしまいました♪
更新を楽しみに待っています!
★セリーネス様★ご感想ありがとうございます!
初めまして!クマ三郎と申します(´(ェ)`)
こちら、随分止まってしまっていて申し訳ありません💦
続きも書きかけで放置していたことをすっかり忘れておりました。必ず完結するつもりなので、どうか気長にお待ち下さい!