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「ユーイン様……!」
ゆっくりと後ろを振り向くと、そこには確かにユーインの姿が。
──でも、どうして?
大勢の生徒に囲まれ、彼が質問攻めにあっていたのはついさっきのこと。
「お待たせして申し訳ありませんでした。先ほどの質問についてですが──」
「え?あ……はい……!」
ユーインはリーリアに向かって講義の補足のような内容を語り始めた。
もちろんリーリアは質問などしていない。質問を口実に、彼に話しかけたいとは思っていたが。
「──ということなのです」
ユーインがひとしきり語り終えたところで始業の鐘が鳴り響く。
クレイグは不満げな表情で鼻からため息を吐いた。
「……では私はこれで。リーリア殿下、いつでもお待ちしておりますから」
クレイグはそう言うとユーインを軽くひと睨みし、その場を立ち去っていった。
「あ、あの、ユーイン様」
「……余計なことだったでしょうか。お困りの様でしたので、つい割って入ってしまいました」
「余計なことなんてそんな。……護衛を呼ぼうかと思っていたところでした。ありがとうございます、ユーイン様」
ユーインは、明確な意図を持って声をかけてくれた。クレイグの強引な誘いに困っていたリーリアを助けてくれたのだ。
──嬉しい
いつも無表情で口数の少ない人だけれど、だからこそ彼が砕いてくれた心はなによりも価値がある。
少なくともリーリアにとっては。
「あの、ユーイン様も次の時間は講義ではないのですか?」
「今日はこれで終わりです。殿下もお戻りですか?」
「はい。アーロンが迎えに来てくれて……あれ?アーロン?」
さっきアーロンが立っていた方に視線を向けると、そこには誰もいない。
──どこにいったのかしら
そこでリーリアはある考えに思い至った。
アーロンがさっきの出来事に気付かない訳がない。
──気を利かせてくれたのね……
アーロンは、リーリアのユーインに対する長年の想いを知るひとりだ。
ユーインが助けに入ったことに気付き、彼なりに気を遣ってくれたのだろう。
だからといって、アーロンはリーリアをユーインに任せ、自身は職務放棄をするような無責任な男ではない。
きっと目立たない場所からこちらの様子を窺っているはずだ。
「どうされました?」
「あ、あの……確かにさっきまでそこにいたのですが、アーロンったら、どこにいったのかしら」
するとユーインは、顎に手を当てて少し思案した後、おもむろに口を開いた。
「では私がお送りしましょう。もちろん、殿下がお嫌でなければですが」
そんなのお嫌な訳がない。リーリアは心の中でアーロンに感謝した。
「あ、ありがとうございます!」
喜びが隠しきれず、つい興奮気味に返事をしてしまったリーリアに、ユーインは少しだけ不思議そうな顔をしていた。
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