王女は魔道師団長の愛に溺れる

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 白魔法を学ぶリーリアは、座学も好きだが実技はもっと好きだった。
 とは言っても魔力を持たないリーリアは、いつも見学なのだが。
 今日は回復魔法の実践だ。もちろん患者も本当に怪我を負った者でなければならないのだが、ここ宮廷魔導士団では市井で怪我を負い、医者にかかることのできない民を被験者として受け入れ、治療している。
 高額な治療費の払えない民からすれば非常にありがたい場所ではあるが、忘れてはならないことがある。それは、自分があくまで被験者であるということ。
 見習い魔法使いたちの治療に身の毛もよだつ体験をすることだってある。
 ちなみに今日の患者はリーリアの目の前で患者の下半身から爆発音と煙が上がった。
 痛めた腰に熱を加えようとしたところ、余計なサービスが加わったようだ。
  
 「ケ、ケツが!!ケツがあぁぁぁぁぁぁあ!!」

 うつぶせの中年男性患者が涙目で騒ぐ。
 こんな時はリーリアの出番だ。

 「大丈夫ですよ。お尻は無事です。よく見て?」

 側に寄り、手を握ってやると男は落ち着いた様子で臀部を確認する。

 「ほ、ほんとだ……ちゃんとある……!」

 「腰の方はいかがですか?痛みはとれましたか?」

 「いや、腰はまだ痛いです」

 「面目ありません」

 魔法を失敗した生徒は苦笑いだ。
 そして皆の視線が一斉にユーインに向く。

 「仕方ないな……いいか、よく見ていなさい」

 ユーインが患部付近に手をかざすと、そこから光が溢れ出す。

 ──綺麗……

 リーリアはこの瞬間が何よりも好きだ。
 ユーインの放つ光はこの世の何よりも美しい。
 光は患部を照らし、ある一定の場所が色を変えた。

 「変色した場所が腰痛を引き起こす原因になった歪みの元だ。ここに向かって意識を集中するんだ。力のコントロールが不十分だったり、注意力が散漫になれば、先ほどのような結果を引き起こす」

 ユーインの放つ光は色を変えた患部に集中し、キラキラと降り注ぐようにして男性の体内に吸い込まれていく。
 徐々に痛みが和らいで来たのか、男性は最初驚いたように目を見開き、そしてだんだんと恍惚の表情へと変わっていった。

 「楽になられましたか?」

 よほど心地いいのか、我を忘れうっとりとしていた男性は、ユーインの問い掛けにはっとした。

 「は、はい!あんなに痛かったのが嘘みたいです!」

 「それは良かった。しかしこれまでと同じ生活をしていては、治った患部はいずれまた同様の症状を訴えるでしょう。くれぐれも気をつけてください……殿下、この男性に湿布薬を渡していただけますか?」

 「はい!」


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