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しおりを挟むよりによってこんな時にクレイグに出くわすなんて。
しかし、クレイグの様子はなんだかいつもと違う。
「……憚りなく言わせていただくと……ひどいお顔ですね」
「えっ!?」
リーリアは素直にびっくりした。
なぜなら、クレイグの口からそんな言葉が出るのは初めてだから。
彼はいつも耳障りのいい言葉しか口にしない。例えリーリアの目の下が隈だらけだったとしても、【今日もお美しいですね】とか平気な顔で言うタイプだ。
そんなクレイグが【ひどいお顔】という事は、今の自分は相当なのだろう。
「お、お見苦しいものを失礼しました。では私はこれで……」
「クレイグ!」
リーリアがその場を立ち去ろうとした時、後ろから聞こえたのはイゾルデの声。
再び顔が強張ったリーリアを、クレイグは見逃さなかった。
「……なるほど。そのお顔の原因はアレですか」
クレイグがアレと指差した先にはイゾルデと、その隣に立つユーインの姿が。
するとクレイグは“ふむ”、と何か納得したように顎に手を当てた。
そして次の瞬間、リーリアの手を掴み走り出したのだ。
「え?え!?」
「少し走りますよ!」
「えぇ──────っっ!?」
後ろからはイゾルデがクレイグを怒鳴りつけるような声が聞こえていた。
***
「ク、クレイグ様!!ちょっと待っ……!!」
ただでさえ行動範囲が狭く、まして王女であるリーリアに体力など皆無。
アカデミーの中庭まで来たところで遂に息継ぎもできなくなった。
その様子を見たクレイグは、何も言わず手のひらを天にかざした。
するとたちまちかざした右手が炎に包まれ、辺りに熱風が吹き荒れた。
「クレイグ様!?」
アカデミーを燃やす気なのかと思ったが、どうやら違う。
炎は段々と形を変え、巨大な火の鳥へと姿を変えたのだ。
「すごい……!!」
クレイグの能力の高さは聞いていたが、まさかこんな凄い魔法をいとも簡単にやってのけるなんて。
「さあ、行きますよ」
クレイグはそう言うと、拒否する暇も与えぬ早業で、あっという間にリーリアの身体を抱き上げた。
「ま、まさかアレに乗るのですか!?」
「ええ、その通りです」
「む、無理です!私には魔力がないのですよ!?」
火の鳥はその名の通り身体から神秘的な炎が出ている。
防護魔法が使えれば何てことはないのだろうが、リーリアが近付けば即座に丸焦げだ。
しかしクレイグはそんなことお構いなしに火の鳥の背に乗った。
リーリアは己の死を悟り、ギュッと固く目を瞑った……が、しかし──
「あれ……熱く……ない……なぜ?」
「そんな低級なことは致しません。飛びますよ」
クレイグの合図で火の鳥は天高く舞い上がった。
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