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しかし、この状態のユーインを前にして、後に引くことはもう不可能だ。
リーリアは諦めにも似た気持ちで口を開いた。
「わ、私……ユーイン様の不機嫌の理由が全然分からなくて……だから本当に悩んで、パティにも話を聞いてもらって……」
「不機嫌?私が、殿下に対してですか?いったいいつ?」
驚いたことに、ユーインにはリーリアへ冷たい態度を取っていたという自覚がなかった。
自分の勘違いだというのなら、尚更この続きは言いたくないのだが、ユーインの視線は既に続きを促していた。
「回復魔法の実技の日です……あの日から、ユーイン様は私に怒ってらっしゃるのではないかと思って……それで私、どうしてなのかわからなくて、とりあえず謝ろうと思って……そうしたらその……」
「そうしたら、なんですか?」
いざとなるとやっぱり勇気が出ない。
段々と情けない表情へと変わるリーリアに、ソファのすぐ側に立っていたユーインは膝を付き、横から覗き込むような姿勢を取った。
「ちゃんと話してください」
逃げ場を完全に封じ込められた形になったリーリアは、ついに白旗を上げた。
「……廊下でイゾルデ様と仲睦まじくお話されているのを聞いて、悲しくなってしまったんです。……ユーイン様が、他の女性と親しくしているのが嫌だったの……!」
鼻の奥がツンとして、視界が滲む。
ユーインの顔からは、さっきまでの仄暗さが消え、眉間に僅かな皺が寄った。
迷惑だったのかもしれない。
けれど、ここまできたらもう止められない。
そしてそれを望んだのは他でもないユーインだ。
「クレイグ様はずっと前から私の気持ちをご存知だったみたいで……傷付いた私を見て、ご自分がイゾルデ様から逃げるついでに、あの場から連れ出してくれただけなんです。私はずっと……ずっと……」
──もう、どうにでもなれ
「……ユーイン様が好きでした……」
ついにリーリアは、八年に渡る長い長い気持ちを口にした。
「あの日……ドニエの森で初めて出会ったあの日から今まで、私の心の中にはずっとユーイン様がいました……!」
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