王女は魔道師団長の愛に溺れる

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 役目を終えたユーインは、そろそろ……と、リーリアに退出を促した。
 そしてふたりは、イゾルデとクレイグに軽く挨拶をして別れ、大広間を後にした。

 「あちらの休憩室でお話をしましょうか」

 リーリアは、高位貴族専用に設えられた休憩室にユーインを案内した。
 
 「中にはお茶とお菓子の用意もありますから──」

 「あぁぁん!!」

 ──何!?

 扉を開けた瞬間、奥から響いてきた声にリーリアは目を見開いた。
 何事かと耳を澄ますと、聞こえてくるのは泣きながら悲鳴を上げる女性の声。
 
 ──まさか、事件!?

 「大変!!ユーイン様、どうやら女性が襲われているようです!!急いで助けないと……ユーイン様?」

 慌ててユーインの方を振り向くと、彼は口元に手を当て、非常に気まずそうな顔をしていた。

 「……リーリア、出ましょう。我々は邪魔者です」

 「でも、女性が助けを求めてます!!」

 奥からは更に「やっ、いや!」「ダメぇ!!もうやめて!!」などと、次々に助けを求めるような声と、口でも塞がれているのだろうか、くぐもった、声にならない声が聞こえてくる。

 「リーリア、いけません。出ますよ」

 ユーインはリーリアの手首を掴み、外へ出るよう促した。
 しかしリーリアは言う事を聞かなかった。
 ユーインの手を振り払い、女性を助けるために奥へと踏み込んだのだ。

 しかしそこで見たものは──

 「あっ……あんっ……もうだめぇ!!」

 「そんな事を言って、まだ足りないんだろう?だってこんなにも締め付けて……っ!!」

 寝台の上。
 あられもない姿で、自分の人生史上一度も目にしたことのない絡まり方をするふたりの男女だった。

 「えっ!?誰!?きゃぁぁあ!!」
 「誰だ!?え?まさか……リーリア王女殿下!?」

 頭の中が真っ白になるとはまさにこのこと。
 リーリアに気付いたふたりが悲鳴を上げる。
 しかし顔面蒼白、身体ピキーンのリーリア。
 後から追いかけて来たユーインは、固まるリーリアを素早く横抱きにして回収すると、睦み合う男女に向かって手のひらを向けた。
 瞬時に眩い光が室内を包み、男女は寝台に崩れ落ちた。
 興奮状態の人間を落ち着かせるための魔法を強めにかけて眠らせたのだ。

 「ユ……ユ-イン……さま……」

 虫の息のリーリアは、己の愚行を詫びようとするが声も出ない。

 「謝罪は後でたっぷりと聞かせてもらいます。とりあえず、急いでここを出ますよ」

 ユーインは、誰にも見られないよう細心の注意を払いつつ、リーリアを抱えて夜の王宮を進んだ。



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