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「やっぱり……!いつですか?いつこんな怪我を」
「……あのイゾルデ団長が、黙ってやられる訳がないでしょう」
リーリアの目には見えなかったが、どうやらこの傷はクレイグの爆炎に包まれる瞬間、イゾルデが放った一撃のようだ。
「クレイグ様、とにかく座って!早く止血しないと……!」
リーリアは、半ば強引にクレイグを座らせて、自身のハンカチで患部を上から押さえた。
しかし当のクレイグは呆れたようなため息を漏らす。
「こんな事をしてる暇があるなら逃げた方が早いです」
「いけません。こんなところでクレイグ様に何かあったら……!!」
「今重要なのは私の命じゃない、殿下の命でしょう」
「クレイグ様だって替えが利かない大切な命です!!」
助けてもらっておいて怒鳴りつけるのはどうかと思うが、なんとなくクレイグが自身の命を軽く扱っているように見えて、少しだけ頭に血が上ってしまった。
「この通路はどこに通じているんですか」
「王の間から城門の外までです」
「では殿下は王の間へ向かってください。そしてこの騒ぎの首謀者が捕らえられるまでは、決して陛下の側から離れないように」
「クレイグ様は?一緒に行かれるのではないのですか?」
白いハンカチはあっという間に血に染まってしまった。これだけの傷、白魔道師の元で一刻も早く適切な治療を受けるべきだ。
「おそらくここもすぐに見つかるでしょう。私が倒した魔物が目印のように転がっていますからね。ですから、殿下は先に行ってください。私が時間を稼ぎます」
「そんな……そんなの嫌です。クレイグ様も一緒でなければ行きません!」
「馬鹿な……何のために助けに来たと思ってるんですか。あなたに何かあったらそれこそ私は無駄死にだ」
──助けに来た
勘違いじゃなかった。
クレイグはたったひとり、リーリアを助けるためにここまで来てくれたのだ。
「なら……尚更ひとりではいけません……!お願いクレイグ様、私に掴まって。何としてもふたりで逃げましょう」
リーリアはクレイグに肩を貸そうと、彼の腕を自身の首に回し、身体を寄せた。
するとクレイグからは再び呆れたような大きな溜め息が聞こえた。
「どうしても共に行くと?」
「当たり前です。お願いですからもう少しだけ頑張ってください」
「……それなら、頑張りますから私に魔法をかけてくれませんか」
「魔法を?でもクレイグ様、私には魔法の力なんて……」
「いいえ、あなたにしか使えない魔法がある」
クレイグはそう言うと、両手でリーリアを抱き寄せ、唇を塞いだ。
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