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【完結】26
しおりを挟む「──そんな感じで、継続することになりました」
仕事が始まった週の金曜日の夜、加藤は橘先輩に彼の過去については省略しつつ経緯を報告した。
「そうなんだねぇ。よかったじゃない、丸く収まって」
「先輩には色々相談に乗ってもらって、本当に感謝してます」
「そんなの気にしないで。悠季が俺を頼ってくれるのは嬉しいんだから」
橘先輩がにこりと笑う。
「まさに運命だったわけだね」
「そんな大それたものかはわからないですけど…」
加藤は苦笑する。
「まぁ悠季が幸せならいいよ、俺は」
「ありがとうございます」
「というか、色々話しちゃって彼的には大丈夫なの?」
「あ、はい。佐藤くんにも許可はもらってます」
そう、と橘先輩が窓の外に目をやったので加藤もそちらを見た。
「お迎え来たみたいだね」
「あ、ほんとだ…いいって言ったのに…」
そう言いつつ、彼が笑顔で手を振る姿につられて口元が緩んだ。
「じゃあ行こうか」
「はい」
橘先輩と佐藤の方へ向かう。
「お疲れ様です」
「お疲れー」
「佐藤くん、俺一人で帰れるって言ったのに」
「仕事が長引いちゃってたから、せっかくだしと思って…」
「あーそういうのは二人でやって」
二人のやり取りに橘先輩がストップをかけた。
「すみません…」
加藤が言うと橘先輩がにやりとして肩に腕を回した。
「まぁ末永く仲良くやんなよ。何かあればいつでも俺のとこおいで」
佐藤がむっとして加藤の腕を引っ張り橘先輩と引き離した。
「いくら先輩でも加藤くんは渡しませんよ」
「ちょ、何言ってんの!」
慌てる加藤に橘先輩は腹を抱えて笑った。
「あーあ。ほんとからかい甲斐があるよ二人とも。笑い過ぎて涙出た」
恥ずかしくなって加藤は佐藤を睨むと、へらりと彼は頬を掻いた。
「じゃあまた会社でね」
「ありがとうございました。また月曜に」
二人で手を振り橘先輩の背中を見送った。
あれから数ヶ月経った。
佐藤は昔と同じように社内や取引先でも人気で立派な戦力になっている。相変わらずどこに行っても女性達の視線を集め、バレンタインのときにはなんと通勤途中に一目惚れして、とチョコレートを渡した人もいた。その隣で加藤は自分は実家の母からと職場での義理チョコだけだったのにと憮然としていた。
一方加藤はこれまでと同じように地道だがきちんと仕事をこなしている。大きな変化はないが、佐藤と毎朝一緒に通勤して週末はどこかへ出掛ける日々に幸せを感じていた。
ある土曜日、佐藤が加藤の自宅へ泊まりに来たときのこと、加藤は佐藤へプレゼントを贈った。
「えっ?! なんで?!」
とんでもない喜び様に加藤は全然大したものじゃないと彼のハードルを必死で下げる。
「開けていい?」
きらきらした瞳で問う彼に頷くと早速包装を開いた。
「──写真立てだ…」
「前に写真立て壊しちゃったでしょ。弁償してなかったなって思って…ごめんね」
「そんなのいいのに…」
「あと、佐藤くん今でもときどき俺のことこっそり撮ってるでしょ?」
ぎくりと佐藤の肩が揺れる。
「バレてたの…。ごめん…」
しょんぼりと謝る佐藤の隣に腰を下ろすと、加藤は携帯電話のインカメラを起動して彼の顔に寄せるとシャッターを押した。
「これからはさ、二人の写真を撮って飾ろうよ」
「加藤くん…!」
ありがとう、と佐藤は抱き着いた。
その後、ぎこちない加藤の笑顔に驚いた佐藤の顔が写る初めてのツーショットの写真を見て二人で大笑いした。
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