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998年目

08 第2王子 ※エリサ

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 ※※※ エリサ ※※※



「ねえレオン。この子、さっきから何を言ってるの?」

―――最悪なタイミングでおばさんきた!

「この子」

第2王子がぽかんとしている。

あああああああ、チヒロ様ーーーーーっ!

チヒロ様はくるりと第2王子殿下に向き合うと言った。

「よくわからないけど、ジルの話でしょう?
ああ、あなたもジルに触りたいの?ふふ、ジルは本当に綺麗だものね」

―――その発想、どっから来た!

チヒロ様は微笑みながら続ける。

「でもジルはシンにしか懐かないわよ。確かに私の部屋で寝てるけど。
それはシンを待ってるからよ。お仕事が終わるまでね。賢い子でしょう?」

「……な」

呆気にとられた第2王子殿下の声に被せるようにレオン様の笑い声が響いた。

「あははは、そうだね。じゃあ早く宮に戻ろうか。ジルを待たせたら悪い」

チヒロ様は頷くと、第2王子殿下にぺこっと頭を下げ「じゃあ失礼します」と言ってニコリと笑った。

私も第2王子殿下とその護衛――西の宮の者に礼をする。
いけすかない護衛の一人をわざと無視してやってから、踵を返してレオン様とチヒロ様に続く。

何故か少し離れた所で待っていた副隊長に前を任せて、私はそのままお二人の後ろについた。

レオン様と並び、普段より一層小さく見えるチヒロ様の後ろ姿に見惚れてしまう。
とてつもなく、すごい人ではないかと思えてきた。

―――おばちゃん、最強!!


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