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1000年目
25 平和 ※エリサ
しおりを挟む※※※ エリサ ※※※
次の日からニアハン医師とトマスさんは《あの男》と一族の道案内人を伴って高山の植物を集めている。
本当は薬になる植物がわかる『仁眼』を持っているチヒロ様が同行するのが手っ取り早いのだろうが、それは危険だからとセバス様が止めた。
チヒロ様は「行きたい」と頬を膨らませたが、ここは高山。
テオ君のお父さんに女性や子どもの足で行けないところも多いと言われれば納得し、大人しく一族の家で待つことになった。
―――のだが。
チヒロ様が大人しくしているわけがない。
ルミナちゃんに《ツマミザイク》を教えてる時や、大人たちが細工物を作るところを見学させてもらっている時はまだいい。
一緒に飼っているという動物の世話をしに行く、一緒に洗濯をする、一緒にご飯を作る。
今日は調味料の中に《カツオブシ》とかいう物に似たものがあったと大喜びし、
そして現在――子どもたちと遊んでいる。
《カゲフミ》というチヒロ様が言い出した遊びだ。
《オニ》役の子が他の子の影を踏む。影を踏まれた子は次の《オニ》役になる。
そして他の子の影を……と、繰り返す。ただそれだけの単純な遊び。
「エリサもやろうよ!」とチヒロ様が言い出して私も参加しているのだが……。
私は負けてばかりだ。
【エリサ************!】
子どもたちが何か言って大笑いする。
その言葉は、私には名前以外は分からない。
けれど……想像はつく。
こいつら……身体が大きく、影が長いこっちはどうしたって不利なんだぞ。
「エリサ、何をやっている。情けないぞ」
セバス様は男性陣と体術の手合わせをした後、完全に意気投合。
すすめられて食べた干物がいたくお気に召したようで、食べながらそんなことを言う。
……ならやってみてくださいよ、セバス様……。
子どもたちはチヒロ様に群がっている。
多分、もう一度やろうと言っているんだと思う。
さすが高山育ち。ここの子どもたちの体力は底なしだ。
チヒロ様もついていけないと判断したのだろう。
別の遊びを切り出したようだ。
輪にした紐を持っているところをみると《アヤトリ》という、紐を使った静かな遊びを提案したらしい。
しかし子どもたちは首をふる。
チヒロ様はもう一度《カゲフミ》に強制参加だ。
今日はぐっすり休まれることだろう。
夜はテオ君のお父さんに作ってもらった《チョウチン》を試してみると張り切っておられたが……体力が持つまい。
平和だ。
実に平和だ………。
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