ついで姫の本気

ちくわぶ(まるどらむぎ)

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ついで姫の婚約者デヴィッドside




俺の婚約者はやかましい。

「おはようございます」
「いってらっしゃいませ」
「お帰りなさいませ」

挨拶などいらないのに毎日言う。
できたら顔も見たくないのにだ。
だから返事はしない。

馬鹿な奴だ。
両親に妹。屋敷の者。そして俺からも、裏で自分がなんと呼ばれているのか。
知らないんだろうな。


この婚約は我が国とあいつの国、国同士の繋がりのためだ。

俺の親友――我が国の王太子殿下と、あいつの国の王女。
そして俺と、あいつ。

その二組の婚約が政略のもと、結ばれた。
俺の意思ではない。
国王陛下のお声がかりでなければ、誰があいつを婚約者になんてするか。

それでも……俺にだって貴族の自覚はある。
貴族の結婚は大抵が愛で結ばれたものではない。俺の両親だってそうだ。

だから国のために喜んで結婚してやるさ。
親友の王太子殿下に頼んだぞと言われたしな。

妻に迎えてやる。
それで十分だろう。
仲良くする必要はない。

だいたい、国同士で結ばれた俺の相手が、何故あいつなんだよ。

まあ顔は悪くない。
だが下位貴族の娘で、しかも今年で23歳。
女性は18歳前後。遅くとも20歳には結婚するこの国でいったら行き遅れだ。

彼の国が、王女の婚約のついでにあいつを押しつけてきたと誰だってわかる。
国力は向こうが上だ。国王陛下は断れなかったのだろう。

そして生贄になったのが俺。

俺は笑い者だろうな……。
両親も。妹なんか、お願いだからやめてくれと泣いたくらいだ。

それでも王太子殿下から頼まれている。

「話を持ってきたのが国王陛下でなければ、誰が他国の下位貴族の娘など」

あいつが家で暮らすことになったその日に言った両親や

「国の習慣だか何だか知らないけれど、何が《姫》よ」

と笑った妹と使用人たちには釘を刺しておいた。
「国のための婚約なんだ。表面だけはよくしてやれ」と。


それからどれだけの日が過ぎただろう。

来る日も、来る日も。
あいつは俺に挨拶をし、話しかける。

鬱陶しい。
それでも我慢して頷くくらいはしていたが……もううんざりだ。

だが。

そんな俺に朗報が届いた!


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