亡国の姫と財閥令嬢

Szak

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第9号造船所と如月弥生

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元ブリティッシュ王国の潜水ドッグから戻って来た弥生は伊351型と同時進行で進めていた潜高大型伊201と潜高小型波201の外装の準備に取り掛かると同時に潜輸大型伊361型の造船を始めていた。第9号造船所には特殊な造船をする造船所と普通の造船をする造船所が離れた場所に存在しており四瑞財閥に貸し出した造船所はごく稀にしか使われない普通の造船所である。伊351型や伊361型などは特殊な造船所で造船しており、ここには弥生以外入ることが出来ない高いセキュリティが施されている。

 「ふぅ~危ない、危ない!あの伊58に夏葵が乗ってることは偽装してたようだけど私の眼は誤魔化せないからね!後、伊9の造船はちょっと資材が足りないからまた集めないとダメね!」

 そんなことを考えていた弥生の下に一般ドッグの方でけたたましい警告音が鳴り響ている。通常第9号造船所の一般ドッグは進水式がなければ警告音が鳴ることがないのだが、弥生は警告音を聞く限り進水式では無いと判断したため一般ドッグの封鎖とそこに居た人員を確保して事情を聞きだそうしていたのだが四瑞財閥の四瑞雙葉から少し待って欲しいと連絡があったため不測の事態に備え一般ドッグには四瑞財閥関係者以外立ち入れないようにするのだった。

 「場所は一般ドッグの第1のようね確か四瑞財閥に貸し出したドッグのはずだけど?何事ですか?報告なさい!」

 「はい、弥生様!実は四瑞財閥の伊8が許可なく進水をしようとしたらしく、その際に盗難防止センサー引っ掛かったらしいんですが詳細は不明とのことです!」

 「そういえば一般ドッグにはそんなセキュリティがありましたね!取りあえず四瑞財閥の人員を集めなさい話しはそれからです!」

 弥生の指示の下四瑞財閥から来ていたすべての人員が集められ何が起きたのか説明を求める弥生なのだが、四瑞財閥から来てる者たちは一切口を開こうとはせずただただ黙秘しているだけだったが、しびれを切らした弥生は携帯端末を取り出しあるところに通信する。そして、弥生は開口一番にあなたのところの人員ひとたちは如月財閥に喧嘩を売りたいようですけど、こちらで処分してもかまわないですよね?ウチの大事な造船所を壊しかけたのですからそれくらい当然ですよね?四瑞光暁さん!

 「聞いてます?水無月家の造船所がどれだけ貴重で重要かあなたのところの人間はわかっていないようなので水無月家こちらしても見逃せないんですよ!わざわざ、大事な造船所をお貸ししたというのにどうしてこんなことが起きてるのかお分かりなんですよね?」

 「すまない、こちらとしては水無月家に喧嘩を売るつもりも如月財閥を敵に回す気もないからそちらに送った人員に関しては好きにしてもらってかまわないが造船所をもうしばらく貸してもらえないだろうか?新しく教育の行き届いた人材をそちらに送りたいのだが許可してもらえるだろうか?」

 「それでしたら、最初の契約期間内はお貸しすることが出来ますわね。その後は四瑞財閥そちらの行動次第ということでならかまいませんよ!」

弥生と四瑞財閥総帥の四瑞光暁との携帯端末による会話が終わり集められた四瑞財閥から来てる人員はざわめき始める。なぜなら、これから自分たちの処分が決まることになったからである。 

 「さて、あなた達の処遇は水無月家うちで決めて良いという事になったのだけれど何か言いたいことはあるかしら?」

 「なぜ?私たちがこんな扱いを受けねばならない?それに先ほどの会話も本当に総帥とお話になったか怪しいものだ!」

 「あなた達が集められてるこの場所がどういう場所か知らないようだから教えてあげるわね!ここはね犯罪を犯した者たちが収監されるところであり、ここに入れられた時点であなた達は有罪ということなのよ!それとあなた達四瑞財閥に入り込んでる間者よね?わからないとでも思っていたのかしら!」

弥生の言葉を聞いてなぜ自分たちだとわかったのか分からずにいるに四瑞財閥の中にいた間者たちなのだが、ここが弥生の個人造船所という特殊な環境であることを忘れてしまっているのだった。第9号造船所は出入りする人間のチェックは念入りにされており一般造船所といえどそれは変わらない!そして、如月弥生という人物はことものづくりに関しては妥協という言葉を知らないと言われるほどである。

 「(クッソ、あの船さえ持ち出せればこんなことにならなかったはずなのに甘く見過ぎたか?)」

 「あなた達の処分が死という楽なものにはならないから!水無月家みなづきを敵に回したことを身をもって味わってもらいますね!私としても死んだ方がマシと思えるくらいには味わってもらわないと気が済まないしね。」

弥生の言葉に蒼褪め始める間者たちなのだが、弥生はというとすでに次の行動に移っていた。携帯端末をしまい近くにある操作パネルを操作して間者たちの周りに檻のようなものを作り出してそのままある場所に運ぶために檻ごと船のような何かに載せて移動を始めるのだった。そして、間者たちの行先には如月鍵之助と水無月文乃が立っており何やら打ち合わせのようなことをしているのだった。



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