元最優の女冒険者が久し振りに街へ帰ったら、昔の知り合い達に死ぬ程愛された

たゆな

文字の大きさ
1 / 5

一話 帰還者

しおりを挟む
「おい、後ろッ!」

「……へっ? きゃっ!」

 バディである女魔導士の背後に忍び寄る小鬼型の魔物……『グレムリン』。それに気が付いた男剣士は急いで女魔導士へと知らせるが、勢い良く振り向いた女魔導士はグレムリンの姿を見て驚き……足を挫いてしまう。

「チッ……はぁっ!」

 男剣士は女魔導士の鈍臭い姿に舌打ちをするも、直ぐにグレムリンに斬りかかって助けに入る。

「走るぞっ! レイン!」

「う、うん! ……痛ッ!」

「どうした……ッ!」

 動く気配の無い女魔導士……レインの方へ顔を向ける男剣士。どうやらレインは、先程挫いた足の痛みで走る事が出来ないようだ。

「クソッ!」

 普段ならこのような小鬼如き、一瞬で討伐する事が出来る二人なのだが……今日に限っては何故かその数が異常に多く、倒しても倒しても湧いてくる為……いつまで経っても戦闘を終える事が出来ない。

「レイン……いいか? 俺の体から手を離すなよっと!」

「……グレン? ひゃあっ!」

 動く事が出来ずに座り込むレインを、横抱きにして走り出すグレン。突然のお姫様抱っこに顔を赤らめるレインだが、今はそんな事で恥ずかしがっている場合ではない。

「ここを右に曲がれば出口までッ! ……は?」

 後は出口までの直線の道のみ! という所で二人を待っていたのは……

「……うそッ!」

「マジ……か」

 おびただしい数の……グレムリンの大群であった。

「……ガガッ! ……ギグァ!」

「……ギギッ! グギャッ!」

 あまりの絶望に、ゆっくりとレインを降ろして……その場へとへたり込むグレン。

「ごめん、本当にごめんな……レイン」

「はぁ……えっと、何が?」

 本当に分からないという様な表情で、首を傾げるレイン。

「な、何がって……俺の我儘でこんな目に合わせちまった事だよッ!」

「……ふふっ! グレンって変な所で律儀だよね?」

「……はぁ?」

「最初はダンジョンなんて怖くて、絶対に行きたくないなって思ってたけど……二人で冒険者を続けて行く内に、グレンと一緒ならもう何も怖くないって思える様になったんだよ?」

「レイン……」

「だから、もしも私がここで終わるとしても……最後までグレンと一緒に居られるのなら──何も怖くない」

 そんな会話をしている間にも、グレムリンの軍勢はこちらに押し寄せて──

「……そうか」

「ずっと一緒だよ、グレン。愛してる」

 押し寄せて──

「あぁ……俺もレインを」

 押し寄せ──

「愛し……ん?」

 て来ないッ!?

「あ、あれ……? なん、で?」

「こっちに、寄って……来ない?」




「いやぁ~! おアツいね~、お二人さん!」

「「うわぁッ!」」

 突然背後から聞こえて来た声に驚いて叫び声を上げる二人。恐る恐るそちらの方へ振り向くと……

「どもども~!」

 満面の笑みでこちらに手を振る、ボロボロの女冒険者が立っていた。

 

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

【朗報】俺をこっぴどく振った幼馴染がレンカノしてたので2時間15,000円でレンタルしてみました

田中又雄
恋愛
俺には幼稚園の頃からの幼馴染がいた。 しかし、高校進学にあたり、別々の高校に行くことになったため、中学卒業のタイミングで思い切って告白してみた。 だが、返ってきたのは…「はぁ!?誰があんたみたいなのと付き合うのよ!」という酷い言葉だった。 それからは家は近所だったが、それからは一度も話をすることもなく、高校を卒業して、俺たちは同じ大学に行くことになった。 そんなある日、とある噂を聞いた。 どうやら、あいつがレンタル彼女なるものを始めたとか…。 気持ち悪いと思いながらも俺は予約を入れるのであった。 そうして、デート当日。 待ち合わせ場所に着くと、後ろから彼女がやってきた。 「あ、ごめんね!待たせちゃっ…た…よ…ね」と、どんどんと顔が青ざめる。 「…待ってないよ。マイハニー」 「なっ…!?なんであんたが…!ばっかじゃないの!?」 「あんた…?何を言っているんだい?彼女が彼氏にあんたとか言わないよね?」 「頭おかしいんじゃないの…」 そうして、ドン引きする幼馴染と俺は初デートをするのだった。

夫の妹に財産を勝手に使われているらしいので、第三王子に全財産を寄付してみた

今川幸乃
恋愛
ローザン公爵家の跡継ぎオリバーの元に嫁いだレイラは若くして父が死んだため、実家の財産をすでにある程度相続していた。 レイラとオリバーは穏やかな新婚生活を送っていたが、なぜかオリバーは妹のエミリーが欲しがるものを何でも買ってあげている。 不審に思ったレイラが調べてみると、何とオリバーはレイラの財産を勝手に売り払ってそのお金でエミリーの欲しいものを買っていた。 レイラは実家を継いだ兄に相談し、自分に敵対する者には容赦しない”冷血王子”と恐れられるクルス第三王子に全財産を寄付することにする。 それでもオリバーはレイラの財産でエミリーに物を買い与え続けたが、自分に寄付された財産を勝手に売り払われたクルスは激怒し…… ※短め

女性が少ない世界でVTuberやります!

dekoma26+ブル
恋愛
ある日朝起きてキッチンに行くとそこには知らない男性たちが! …え、お父さん⁉ なぜか突然女性の少ない世界に来てしまった少女がVTuberをしたり、学校に通ったりするお話。 ※毎週火曜・金曜日の夜に投稿。作者ブル

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...