久遠のプロメッサ 第二部 誓約の九重奏

日ノ島 陽

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あらすじ

第一部のざっくりあらすじ

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 この世界は女神によって創世された。精霊と人間、二種の知的生命体が繁栄を目指す大陸。始めこそ順調に成長していた世界だが、人間が欲望のままに自然を破壊し、戦争を繰り返す中で衰退の道を歩み始める。それを嘆き悲しんだ女神は姿を消したと伝えられる。
 女神を愛していた精霊は、人間に対して酷く怒り罰を与えることにした。人口を削り、集落を破壊し――やがて大陸の中央に人間は追いやられ、二国を残して国は滅んでしまった。
 これは、女神の愛した人間と精霊に運命を狂わされた人間が紡ぐ世界を変える物語である。

第一章 黄金蝶の予言者

 シアルワ王国の第三王子フェリクスには存在を秘匿された姉がいた。自身の誕生祭の日に、姉への土産物を用意しようと城を抜け出した彼だが、途中で女暗殺者ミセリアに襲われてしまう。彼女が暗殺者にしては素人だったのと、付き人セラフィが間に合ったこともあり事なきを得たフェリクス。しかし、真に自分の命を狙っていたのはミセリアではなく、その裏にいる組織であること、ミセリアは利用されていただけであることを知る。彼女は姉の安全を条件に出来もしない暗殺を引き受けたのだという。
 組織から捨てられたと知ったミセリアは姉を救うため乗り込むことを決意する。そこに自分自身を重ねたフェリクスは協力することにする。セラフィの知り合いにしてミセリアの姉――ケセラとも知り合いであるセルペンス、ノアを仲間に加えて暗殺組織へと向かうことになった。ケセラ、セルペンス、ノアの三人は人間だというのに特別な能力を持つ存在『イミタシア』であるという。ケセラは未来視の能力があるため組織に捕らわれているのだ。
 湖の下に存在する古代遺跡を改築した組織。情報屋に引っかき回されつつ、組織の頭の元へと辿り着くフェリクスたち。容赦なくミセリアを追い詰める彼らだが、フェリクスはそれを許さない。頭領の狙いはフェリクスだった。彼には精霊にも対抗できるかもしれないという隠された力があるらしい。
 しかし、フェリクスがその力について知ることはできなかった。大精霊ビエントの介入により組織は壊滅することとなったからだ。同時に捕らわれていたケセラも解放されたのだが、イミタシアとしての能力を酷使させられたせいで体力の限界を迎えていた。
 ミセリアに助言を残して命を落とすケセラ。ミセリアは姉を助けることが出来なかった無力感を抱きつつ、身体を張っても自分を助けてくれたフェリクスを手助けすることを決意する。


第二章 異端の花守

 暗殺者騒ぎもあり、隣国ラエティティアにも報告するべきことであるとフェリクスはラエティティア王都プレジールへ向かう。フェリクスにはそれ以外にも目的があった。ラエティティア女王シエルなら自分の能力について何か知っているかもしれない。
 シエルはラエティティア、シアルワ王家には女神から与えられた特別な能力があることを明かした。しかし、詳しくは語られることはなかった。そして、件の暗殺組織とラエティティア王国の研究院が関わりがあるかもしれないと情報を得た彼は、所長がいるという『永久の花畑』まで向かう。
 永久の花畑にいた青年ルシオラはセラフィと彼の妹シャルロットの兄だった。セラフィはケセラの死に兄が関わっていることに対して怒りが隠せなかった。ルシオラの目的は精霊への復讐。それを叶えるまでは非情な手段を選ぶことも厭わないという。問い詰めようとするセラフィだが、突如襲い来る嵐にルシオラを逃がしてしまう。呼応するように気を失ってしまったフェリクスを休ませるため、一行は城に戻る。
 夜、なんとか回復したフェリクスは昼間と全く違う雰囲気を纏うシエルを目撃する。不思議な気分になるフェリクスだが、真相を知ることなく就寝した。
 起きると、シエルが行方不明になっていた。何かを知っているらしい彼女の付き人アルからシエルは『五百年前に封印された精霊』を復活させたがっていたと聞いたフェリクス達は、封印された地へと向かう。
 彼女はそこにいた。シエルは語る。自分は女神から魂を司る力を与えられた神子であり、それを利用して五百年間生きながらえてきた、精霊を封印した女王ミラージュと同一人物であると。元の肉体に宿る主人格シエルが目覚める(夜の彼女)頻度が高くなってきた故、魂の限界を感じた彼女はかつて愛し合った精霊ゼノを蘇らせることにしたという。
 ミラージュ、ゼノとの対峙を経て自分の力がどんなものであるか自覚するフェリクス。彼が受け継いだ力は『対象の思考を誘導する』ものだ。使いようによっては洗脳能力にもなる恐ろしいものだった。歴代の王家の中でも特に強い力を持つフェリクスは無意識のうちに力を使っていたようだ。だからこそ彼に励まされた人は元気を取り戻し、彼が悲しめば周りの人も悲しむ。
 自分の力に恐怖を抱いたフェリクスだが、セラフィやミセリアに励まされ気力を取り戻す。自分の気持ちに素直になれなかったミラージュとゼノへ向き合い、彼らの想いを結ぶことに成功するのだった。


第三章 救国の旗手

 神子の家系はシアルワ、ラエティティア王家ともう一つあるらしい。その最後の一人はソフィアという人物であると聞いたフェリクスは、彼女が滞在するというマグナロアという街へ向かう。
 ソフィアは神子の血を引きながらイミタシアでもあるという歪な存在だった。何か知っていそうな彼女だったが、上手く話を聞き出すことができなかった。
 マグナロアは戦闘を好む民が暮らす地だ。ミセリアやセラフィに助けられてばかりだ、と感じていたフェリクスは長レオナからひと月修行して貰うことになった。
 ひと月後。マグナロアに一人の少年が訪れる。彼もまたイミタシアであるという。彼はシアルワ王都シャーンスに災厄が訪れると言い、どこかへ去って行く。王子として見過ごせないフェリクスはシャーンスへ戻ることにした。
 無事に戻れたかに思われたフェリクスだが、一人姉に会いに行こうとした時に罠にかかってしまう。姉ベアトリクスは大精霊ビエントと契約を交し、フェリクスをイミタシアにすると共に腐敗した王家を排斥し、自由を得ようとしていたのだ。彼女は弟フェリクスに異常な執着心を抱いていた。彼を王と仰ぎ、能力で意識を操ってシャーンスを支配しようとしていた。
 そのことに気がついたミセリア達は、フェリクスを助けるために城に向かう。途中分断されてしまったセラフィは、フェリクスの能力に太刀打ち出来ず彼を救うことが出来なかった。
 レオナやソフィアの助けを借りてフェリクスの元に辿り着いたミセリアは、かつて彼がしてくれた方法と同じ荒療治で正気を取り戻させることに成功する。
 弟が自分の元から離れていく絶望にベアトリクスは耐えられなかった。
 彼女は瘴気――人間の負の感情が可視化したものを溢れさせた。大精霊は語る。女神が何故世界から姿を消したのか。それは、全てを蝕む瘴気を抑え込むためであると。彼女は見えない世界で瘴気を取り込み続け、表の世界に流出することを防いでいるのだという。
 瘴気を減らすため人口を減らすという精霊のやり方は間違っている。フェリクスは今まで誰もやろうとしなかった、真正面から真っ直ぐビエントに対峙をする。
 大精霊ビエントはフェリクスの馬鹿正直なところを気に入り、彼ならば世界を変える力があるかもしれない――瘴気なんかに悩まなくて済む世界を創ることができるかもしれないと悟る。彼に時間を与えるため、ビエントは女神の元へ向かい瘴気を抑え込む助けをすることにした。それが短い時間稼ぎであることも分かっていたが、それ以上にフェリクスに向けて期待したのだ。
 瘴気が晴れていく城で、彼とミセリアの二人は肩を寄せ合って夜明けを見つめていた。
 歪だった家族の形は、フェリクスを中心とした話し合いのおかげであるべき姿へ進もうとしていた。
 現王ゼーリッヒは、この国を背負うべきはフェリクスであると悟る。ゼーリッヒだけではない。誰もがそう感じていた。
 まずは王都の建て直しから。彼らの物語はまだ始まったばかりだ。


第二部

 フェリクスが世界の真相を知ったところで、物語はまだ終わらない。
 ここから始まるのは、精霊に運命を歪められた被害者イミタシアたちの物語である。
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