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夜明けの幻想曲 1章 黄金蝶の予言者
とある少女とお姉ちゃんの話
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あの日、母親と見た最後の夜空に、天を切り裂く流れ星を見た。
それを見たのは娘だけで、母親は娘の髪を優しく梳いては鼻歌まじりにおとぎ話を聞かせた。そのどれもがありふれた陳腐なものだったけれど、楽しそうに語る母親の声を聴いているだけで幸せだったし、触れる手が温かく気持ちが良かった。
「ねえ、お母さん」
「なあに?」
「今ね、流れ星が見えたの」
「あら。良かったわね! 何かお願い事はしたの?」
「したよ!」
「お母さんに教えてちょうだいな」
「へへ、なーいしょ!!」
「あら、この子ったら」
ぎゅ、と抱きしめられたらそれはそれは温かくて。毎日着て、洗濯を繰り返したエプロンからほんのり甘い香りがして。揺れる髪からは、一日働いた汗の匂いがして。そのどれもが、娘にとって幸せの証だった。
***
目が覚めると、部屋は暗いままだった。
まだ夜が明けていないのか、と再び眠りにつこうとしたとき、普段なら聞こえない声が部屋を満たしていることに気が付いた。
すすり泣きだ。
それも自分と大して年齢も変わらぬ、十前後の子供たちの。
私は、部屋が冷え込んでいることにも気が付いた。
毛布はないのか、と床をまさぐっても冷たい床があるだけ。半袖の薄いワンピースを纏っただけの身体に、床からの冷気が直に伝わってくる。
少しでも床に触れる面積を少なくしようと起き上がる。さほど寒気が治まったわけではないが、多少はマシだと自分に言い聞かせる。
しばらくすると、思考が冴えてきた。意識も覚醒したらしい。
そこで私は、あの温もりは夢であったのだと自覚した。
――ああ、今日も冷たい一日が始まる。
【見知らぬ他人に不幸と名付けられた少女の、数年前の物語】
***
部屋に入ってきた見知らぬ大人たちに、子供たちの何人かが連れていかれる様をただ茫然と見つめていた。ママ、と泣きじゃくる子供の腕を掴み、強引に引きずっていく。薄暗闇の中で、大人たちが揃って着ていた白衣が、痛いほどに眩しく見えた。
バン!!と大きな音を立てて閉まる金属製の扉に、部屋は静寂に包まれる。
それはわずかな間のことで、すぐに泣き声は復活した。大人たちが来る前よりも、もっと酷くなっているのではないか。私は膝を抱え込んだ。
精霊の天罰とやらに住んでいた町が沈んでから、どれほどの時が経ったのかは忘れた。町から逃げ出して、母親の安否も知れず。友達と遊んでいただけだったのに、私は全てを失った。
精霊に運よく見つからず、逃げだした子供たちは今度は人間の大人に捕まってしまったのである。こんなに寒く、何もない場所に。
連れてこられて十日ほどは、必死になって日付を数えては自分に言い聞かせていたものの、それもすぐにやめた。泣き声の中では気力が削がれるのと、自分の行為に意味を見出せなくなっていたからだ。
ここでなにをさせられるのかと言えば、ただ別の部屋に連れていかれて色々な検査をさせられるだけだ。病院でやったことがあるようなものに加え、見知らぬ筒状の機械の中に放り込まれたりする。機械の中は淡い赤色の光で照らされていて、初めて入った時はここで死ぬんだ、と覚悟を決めたものだ。実際には痛みも何もなく、しばらくしたら引きずり出されるだけなのだが。
機械の外に出れば、大人たちは決まって渋い顔をする。
「いくら経とうとこの娘も基準値以下か」
「イミタシアには程遠い」
彼らの言う意味はこれっぽちも分からなかったけれど、イミタシアとやらになるつもりはない。なったらどんなことをやらされるのか。
そのイミタシアとやらの基準値に到達、あるいはごく近いデータがとれた子供たちの衰弱具合は明らかだ。だから私は、このままでいいのだ。
そんな日々を何日、何十日と重ねていると、私たちの部屋に新参者が加わった。
エメラルドグリーンの長い髪が綺麗な女の子だった。私たちにはない、黒い首輪をしていた。
その女の子は、部屋の様子をぐるりと見渡すと、やさしく微笑んだ。
「だめだよ、暗い顔をしてたら希望は消えちゃう」
女の子は泣いている子供たち一人一人に向かって自己紹介を始めた。
「こんにちは、かな? 私ケセラって言うの」
ケセラと名乗った女の子は、一人に挨拶が終われば必ず抱きしめて頭を撫でた。そうされた子供たちは自然と泣き止み、出会って間もないはずの女の子にピタリとくっつく。ケセラはニコニコとしながら挨拶を続け、最後に私のところに来た。
「初めまして! 私はケセラ。貴女の名前はなあに?」
その問いに、私は口をつぐんだ。
私の名前はここに連れてこられてから一度も使われていない。だからか、とっさに出たのは、大人たちが私を呼ぶときの名前だった。
「ミセリア」
「ミセリアっていうのね。よろしくね」
ケセラは屈託なく笑い、私の隣に腰を下ろした。ケセラにしがみついていた少女もまた腰を下ろす。
「ミセリアは何歳?」
「十二」
「じゃあ私がここでは一番のお姉ちゃんだね! さてさて、問題だよみんな。私は何歳でしょう?」
ポンと手を叩きながらミセリアが問うと、あっという間に懐いた何人かの子供たちが次々と答える。
「十四!」
「残念!」
「九十!」
「ぶっぶー! ……私そこまでおばあちゃんじゃないよ!!」
「じゃあね、五歳!!」
「私お姉ちゃんって言ったでしょー!?」
なんてにぎやかなことだろう。ずうっと暗く、雰囲気も沈鬱な空間がたった一人の女の子によって様変わりしてしまった。それほどまでによりどころが欲しかったということだ。無理もない。本来ならば、親の元で包まれて生きるべき年代なのだから。
「ふふふ~、正解はね、十三歳でした!!」
ひとつしか変わらないじゃん、と私はため息をついた。
するとケセラはこちらの方を向いて、プクリと頬を膨らませた。
「むう、それでも一番年上なんだから!! お姉ちゃんって呼んで!」
どうやら心の言葉を口に出してしまったようだ。私はそっぽ向く。
「そんなミセリアには~」
背後から楽しそうな、それと何かを企んでいそうな声が聞こえて。
「コチョコチョの刑だ~!!」
ケセラと、彼女に便乗した子供たちがくすぐってきた。
「ちょ、なにする、の、ふふ、ふは、やめ、あはは!」
その時私は初めて知ったのだ。私って、くすぐったいの苦手なんだ……。
***
あれから数日。
ケセラが来てからというものの、行われる検査に変化はなかった。
それ以外に変わったことと言えば、部屋の雰囲気が打って変わって明るくなったこと。そして、大人たちの雰囲気も変わった。
なんというか、興奮しているというべきか。ケセラを気に入った変態なのかと思いきや――あながち間違っていないのかもしれないが――、良いデータがとれたらしいのだ。向こうは私たちをガキで支配下に置いていると思っているからか、私たちの前で結果を良く語り合う。その中に、ケセラのことを言っていたものがあった。というか、ケセラのことばかりだったのだ。
「これがイミタシアのデータか……!!」
「これが精霊どもが隠し持っていた力……。なんと恐ろしい……」
「報告では、他にもイミタシアがいるらしい。至急、捜索させなければ」
どうやらケセラがイミタシアとかいう存在らしい。
精霊が隠し持つ力?恐ろしいもの?ほかにもいるのか。
検査が終わり、部屋に戻されると、一緒に連れ出されたはずのケセラは既に部屋にいて、一人ぽつんと壁にもたれかかっていた。他の子供たちは戻っていない。
近寄ってみると、ケセラはカタカタと震え、両手で額を抑えていた。冷や汗が首を流れ落ちていく。体調不良か。
私は部屋に備え付けてあるタオルを手に取ると、ケセラに近寄った。
「汗、拭かないと冷える」
「え?」
ケセラはハッと顔をあげると、私の方を見た。気のせいだろうか。ケセラのグリーンの瞳に、黄金の蝶が飛んでいる気がした。瞬きをしたあと、蝶は姿を消してしまったので、もしかしたら気のせいかもしれない。
「あ、ああ。ごめんね、ミセリア」
青い顔で、ケセラはタオルを受け取った。震える手で汗を拭うと、それを握りしめてうつむいた。
「あのさ。あいつら、イミタシアがどうとか言ってたけど、何のことを言っているのかわかる?」
ケセラの横に腰を下ろす。あの時とは逆だ。
「イミタシア……? ええと、それはなんだったっけ」
「精霊が~とか」
「ああ、それなら確かね」
どうみても無理やり取り繕った笑顔に、私はため息をついた。
それでも彼女はゆっくりと説明してくれたのだ。どうしてここに来たのかを。
「あのね、私、少し前までは大精霊テラに捕まっていたの。ここにいるみんなと同じ。外からの助けがない状態だった。けどね、色々あって、なんとか逃げだせたんだよ」
その時のケセラの笑顔はどこか自慢げだった。それはそうだろう。精霊から逃げるなんて、聞いたことがない。しかもあの大精霊テラから? 各地で大暴れしているとよく聞く大精霊テラから?
聞きたいことは山ほどあったが、ケセラに話を続けてもらうことにした。
「でも、そのとき一緒にいた仲間たちとは、はぐれてしまった。私、ひとりぼっちで歩いていたの。そうしたら今度は、ここに捕まっちゃった」
情けないよね、とケセラは笑う。
「イミタシアっていうのは、大精霊テラに捕まっていた私たちのことかもしれない。だって、私たちは特別だから」
私の次にお姉ちゃんのミセリアだから言うんだよ。ミセリアはしっかり者だもん。みんなには内緒だよ。ケセラは人差し指を口元に添えた。
「実はね、私たちは魔法が使えるの。それは人によって違うけど。私はね、ちょっとした先のことが分かっちゃう魔法が使えるんだ。使うと疲れちゃうけどね」
なるほど。ケセラが体調不良なのは、白衣の大人たちに力の行使を強制されたからなのか。力が使えることの真偽はともかくとして、ケセラの震えの原因は分かった。
「ねえ、もう少しだけ話を聞いてもらってもいいかな」
聞くだけ聞いて黙っていようと考えていた私に、ケセラから声をかけてきたので私は素直に頷いた。話を聞くことぐらいならできる。静寂の中座っているだけよりは幾分かマシだ。
「私ね、お姉ちゃんに向いてないのかも」
「なんで? みんな貴女に懐いているのに」
「だって、それは私だったら絶対しないはずの行動だったんだもの。私を支えてくれた人みたいになりたいって、ただ真似をしていただけなの。その人とも離れちゃって、私どうやってお姉ちゃんをやっていけばいいのか分からなくなっちゃった。ほら、こうしてすぐに悩んでしまう。あの人は、何年も弱さを見せなかったというのに」
出会って数日。ケセラは本来内気で、ネガティブな性格なのだと自分を笑った。
「貴女を支えてくれた人ってのは、相当すごかったんだ」
「うん。私とその人は同い年で、生まれた町も一緒で。捕まってからも一緒だった。私たちが閉じ込められた部屋ではね、私たちが最年長だったんだよ。中には生まれて一年しか経っていないような赤ちゃんもいた。そんな中、あの人はずうっとお兄ちゃんとしてみんなの面倒を見た。すごいんだよ? 暗かったみんなが、あっという間に元気になっていったの。“ここから脱出しよう!”なんて話が出て、計画が進むくらい。それはこうして現実になったんだ」
青かった顔も、少しずつ血の気を取り戻しつつある。その人との思い出が、あたたかで大好きなものだったからなのかもしれない。
ケセラはとても楽しそうに語る。
「あそこでの生活はとても痛くて、苦しかったけど。あの人がいてくれたから頑張れた。それでね、私今信じていることがあるの」
満点の星空を仰ぐかのように、ケセラは両腕を広げ上を向いた。そこには無機質な暗い天井しかないけれど、ケセラは笑顔のままだった。
「私、分かるの。あの人は、私を助けに来てくれる」
うっとりとした口調だった。ケセラの様子は明らかに恋する少女のそれだ。私には何も理解できない感情ではあるが、ケセラが頑なに信じている希望なのだと察することはできた。
「見たの。この力で。あの人は絶対助けに来てくれる。だから、私も頑張らなくちゃって思った。それで、あの人みたいなお姉ちゃんになろうと思ったけど……難しいね」
「そう悩まなくても、今のままで十分だと思う。引っ張るのもいいけど、よりどころになるだけで支えになる」
特に深く考えず発した言葉だったけれど、ケセラは少し目を見開いた。そして嬉しそうに笑った。
「ふふ、ミセリアもお姉ちゃんの素質あるね」
「え」
「ありがとう、長ったらしい話を聞いてくれて」
ケセラは私の手を握る。血の気が戻ってきた手のひらは、少しだけ温かく感じた。
――まただ。ケセラの瞳に、間違いなく黄金の蝶が舞っている。金色の光が、彼女の瞳を埋め尽くしていく。
「お姉ちゃ――」
「――ミセリアも、大丈夫。王子様が、ミセリアを助けてくれるよ」
見たこともない美しい瞳に、私は息を飲んだ。
ケセラが目を閉じて、再び開くと、そこから蝶は消えていた。ケセラは何度か瞬きをして、眉を寄せたのち、軽く首を振った。そして顔をあげた。
「私からの未来予知。これは絶対だからね、安心してね!」
「ええと、うん……」
「それよりもさ、さっきお姉ちゃんって言ってくれたでしょ!? もっと言ってもいいんだよ!!」
「うわわ、分かったからくすぐらないで、お姉ちゃん!!」
それから私と、ケセラお姉ちゃんが仲良くなるのにさほど時間はかからなかったように思う。ケセラお姉ちゃんは私を巻き込みながらも、なんとかお姉ちゃんとして部屋に君臨し続けた。
その日常も、永遠に続くはずはないと分かっていたけれど。
***
ナイフで切られた脛が痛い。大事には至っていないが、止血をしなければならない。
私が部屋に戻ると、八年前よりも住人が減り、二人だけになってしまった部屋からの冷たい空気が出迎えてくれた。
相変わらず薄汚くて無機質な空間だけど、唯一安らげる場所だ。
「ミセリア?」
扉を開ける音で私の存在に気付いたのか、ケセラお姉ちゃんがこちらを向いた。
あの日美しいと感じた瞳は、厚い包帯で隠されている。それでもケセラお姉ちゃんは、音で私を感じてくれている。
お姉ちゃんの視力がなくなったのは、あいつらのせいだ。
あいつらが力を無理やり使わせたから、お姉ちゃんの視力はなくなってしまったのだ。お姉ちゃんは「分かっていたことだから」とほほ笑んでいたけれど、私はあいつらを許すことができそうにない。
お姉ちゃんだけじゃない。あいつらによって命を散らしていった子供たちは、少なくない。私もどうして生き残っているのか不思議なくらい、生と死をさまよう日々をおくっているのだが。
「ミセリア、怪我をしているの? 血のにおいがする」
ケセラお姉ちゃんが私に近づこうとする。若干方向がずれていることに、私はあいつらへの怒りを感じる。感情をなんとか抑え込んで、私はお姉ちゃんを止めた。
「少し、しくじった。大丈夫、すぐ直るから」
私はお姉ちゃんの横に腰を下ろして止血を始める。
検査漬けの日々はいつしか終わり、私に待っていたのは暗殺者になるための日々だった。ここに連れてこられて検査されたのち、検査の結果が良くなかった子供たちは暗殺組織での修行が始まる。組織にいる奴はどいつもこいつも無感情に殺しにかかってくる。修行の中で散った命も多い。
既に血で汚れているタオルを引っ張り出し、患部に添えてきつく縛った。消毒薬の類は用意されていない。明日はどう逃げるべきか。
「あのね、ミセリア」
ケセラお姉ちゃんが震える声で話しかけてきたのは、雑な手当てが終わった頃だった。
「どうしたの。また、体調が悪いの?」
「ううん。体は、大丈夫。……あのね、私、移転することになったの」
「え……?」
足の痛みを忘れるくらい、私にとって衝撃的な言葉だった。
「ラエティティア国境付近の、研究所だって。そこに精霊を専門にしている研究者がいて、その人のところに連れていかれる……」
お姉ちゃんは不安そうに膝を抱え込む。
「あの人、助けに来てくれるのかなあ」
私はお姉ちゃんの肩をつかむと、思わす叫んでいた。
「信じよう、お姉ちゃんの未来予知は絶対だ!! ……万が一はずれたとしても、私がお姉ちゃんを助けるから、絶対、だから」
「ありがとう、ミセリア」
ケセラお姉ちゃんはいつものように、ほほ笑んだ。鼻から下しか見えない顔だけど、表情はなんとなくわかる。
「そうだよね、信じないと」
***
翌日、部屋から引きずり出された私は無表情で見下ろしてくる暗殺組織の親玉に向かって、ひとつ懇願をした。
「私にできることはなんだってする。だから、ケセラお姉ちゃんを連れて行かないでほしい」
地に頭を擦り付けた。
長い時間、私は埃っぽい床とにらめっこを続けるはめになった。
暗殺組織の親玉――コードネームすらも知らない細い男だった。おそらく三十代後半か、四十歳くらいの――は、棒読みにも聞こえる口調で答えた。
「ならば、契約を結べ」
私は顔をあげようとした。そこに、暗殺組織の親玉の靴底があった。
頭を踏まれたのだ、と理解するのにたっぷり三秒はかかった気がする。とにかく、私にとって屈辱的な格好で、そいつは言った。相変わらずの、棒読みで。
「明日からシアルワ王国第三王子フェリクスの暗殺計画が動く」
なんだって?
私は驚いた。第三王子フェリクスといえば、噂程度だが絶大な人気者であると聞いたことがある。私より少しばかり年下の王子。私の生まれた町でも、どんなに愛くるしい存在かと話があがることもそれなりにあった。その度にアイドルか、と内心ツッコミをいれていたものだ。
そんな王子の暗殺。なにか裏があるに違いない。
「お前にはフェリクス王子の暗殺実行部隊に所属してもらう。王子の暗殺を成功させたなら、その願いを聞いてやってもいい」
「私を、お姉ちゃんのもとに帰してくれるか」
「いいだろう。こちらからお前を殺すこともしない。あの中からここまで生き残れたのはお前だけだ。贔屓してやってもいい」
なんでだろう。普段ならほんの一ミリでさえ甘さを見せなかったこの男が、容赦なく切り伏せてくるこの男が慈悲をちらつかせるなんて。嘘なんだってわかるはずなのに。そもそも王子暗殺なんて大きな依頼を、修行段階の私に任せるはずないのに。
それなのに、私は受けてしまったんだ。
ケセラお姉ちゃんを助けたい、その一心で。
「分かった。王子暗殺を、必ず」
それを見たのは娘だけで、母親は娘の髪を優しく梳いては鼻歌まじりにおとぎ話を聞かせた。そのどれもがありふれた陳腐なものだったけれど、楽しそうに語る母親の声を聴いているだけで幸せだったし、触れる手が温かく気持ちが良かった。
「ねえ、お母さん」
「なあに?」
「今ね、流れ星が見えたの」
「あら。良かったわね! 何かお願い事はしたの?」
「したよ!」
「お母さんに教えてちょうだいな」
「へへ、なーいしょ!!」
「あら、この子ったら」
ぎゅ、と抱きしめられたらそれはそれは温かくて。毎日着て、洗濯を繰り返したエプロンからほんのり甘い香りがして。揺れる髪からは、一日働いた汗の匂いがして。そのどれもが、娘にとって幸せの証だった。
***
目が覚めると、部屋は暗いままだった。
まだ夜が明けていないのか、と再び眠りにつこうとしたとき、普段なら聞こえない声が部屋を満たしていることに気が付いた。
すすり泣きだ。
それも自分と大して年齢も変わらぬ、十前後の子供たちの。
私は、部屋が冷え込んでいることにも気が付いた。
毛布はないのか、と床をまさぐっても冷たい床があるだけ。半袖の薄いワンピースを纏っただけの身体に、床からの冷気が直に伝わってくる。
少しでも床に触れる面積を少なくしようと起き上がる。さほど寒気が治まったわけではないが、多少はマシだと自分に言い聞かせる。
しばらくすると、思考が冴えてきた。意識も覚醒したらしい。
そこで私は、あの温もりは夢であったのだと自覚した。
――ああ、今日も冷たい一日が始まる。
【見知らぬ他人に不幸と名付けられた少女の、数年前の物語】
***
部屋に入ってきた見知らぬ大人たちに、子供たちの何人かが連れていかれる様をただ茫然と見つめていた。ママ、と泣きじゃくる子供の腕を掴み、強引に引きずっていく。薄暗闇の中で、大人たちが揃って着ていた白衣が、痛いほどに眩しく見えた。
バン!!と大きな音を立てて閉まる金属製の扉に、部屋は静寂に包まれる。
それはわずかな間のことで、すぐに泣き声は復活した。大人たちが来る前よりも、もっと酷くなっているのではないか。私は膝を抱え込んだ。
精霊の天罰とやらに住んでいた町が沈んでから、どれほどの時が経ったのかは忘れた。町から逃げ出して、母親の安否も知れず。友達と遊んでいただけだったのに、私は全てを失った。
精霊に運よく見つからず、逃げだした子供たちは今度は人間の大人に捕まってしまったのである。こんなに寒く、何もない場所に。
連れてこられて十日ほどは、必死になって日付を数えては自分に言い聞かせていたものの、それもすぐにやめた。泣き声の中では気力が削がれるのと、自分の行為に意味を見出せなくなっていたからだ。
ここでなにをさせられるのかと言えば、ただ別の部屋に連れていかれて色々な検査をさせられるだけだ。病院でやったことがあるようなものに加え、見知らぬ筒状の機械の中に放り込まれたりする。機械の中は淡い赤色の光で照らされていて、初めて入った時はここで死ぬんだ、と覚悟を決めたものだ。実際には痛みも何もなく、しばらくしたら引きずり出されるだけなのだが。
機械の外に出れば、大人たちは決まって渋い顔をする。
「いくら経とうとこの娘も基準値以下か」
「イミタシアには程遠い」
彼らの言う意味はこれっぽちも分からなかったけれど、イミタシアとやらになるつもりはない。なったらどんなことをやらされるのか。
そのイミタシアとやらの基準値に到達、あるいはごく近いデータがとれた子供たちの衰弱具合は明らかだ。だから私は、このままでいいのだ。
そんな日々を何日、何十日と重ねていると、私たちの部屋に新参者が加わった。
エメラルドグリーンの長い髪が綺麗な女の子だった。私たちにはない、黒い首輪をしていた。
その女の子は、部屋の様子をぐるりと見渡すと、やさしく微笑んだ。
「だめだよ、暗い顔をしてたら希望は消えちゃう」
女の子は泣いている子供たち一人一人に向かって自己紹介を始めた。
「こんにちは、かな? 私ケセラって言うの」
ケセラと名乗った女の子は、一人に挨拶が終われば必ず抱きしめて頭を撫でた。そうされた子供たちは自然と泣き止み、出会って間もないはずの女の子にピタリとくっつく。ケセラはニコニコとしながら挨拶を続け、最後に私のところに来た。
「初めまして! 私はケセラ。貴女の名前はなあに?」
その問いに、私は口をつぐんだ。
私の名前はここに連れてこられてから一度も使われていない。だからか、とっさに出たのは、大人たちが私を呼ぶときの名前だった。
「ミセリア」
「ミセリアっていうのね。よろしくね」
ケセラは屈託なく笑い、私の隣に腰を下ろした。ケセラにしがみついていた少女もまた腰を下ろす。
「ミセリアは何歳?」
「十二」
「じゃあ私がここでは一番のお姉ちゃんだね! さてさて、問題だよみんな。私は何歳でしょう?」
ポンと手を叩きながらミセリアが問うと、あっという間に懐いた何人かの子供たちが次々と答える。
「十四!」
「残念!」
「九十!」
「ぶっぶー! ……私そこまでおばあちゃんじゃないよ!!」
「じゃあね、五歳!!」
「私お姉ちゃんって言ったでしょー!?」
なんてにぎやかなことだろう。ずうっと暗く、雰囲気も沈鬱な空間がたった一人の女の子によって様変わりしてしまった。それほどまでによりどころが欲しかったということだ。無理もない。本来ならば、親の元で包まれて生きるべき年代なのだから。
「ふふふ~、正解はね、十三歳でした!!」
ひとつしか変わらないじゃん、と私はため息をついた。
するとケセラはこちらの方を向いて、プクリと頬を膨らませた。
「むう、それでも一番年上なんだから!! お姉ちゃんって呼んで!」
どうやら心の言葉を口に出してしまったようだ。私はそっぽ向く。
「そんなミセリアには~」
背後から楽しそうな、それと何かを企んでいそうな声が聞こえて。
「コチョコチョの刑だ~!!」
ケセラと、彼女に便乗した子供たちがくすぐってきた。
「ちょ、なにする、の、ふふ、ふは、やめ、あはは!」
その時私は初めて知ったのだ。私って、くすぐったいの苦手なんだ……。
***
あれから数日。
ケセラが来てからというものの、行われる検査に変化はなかった。
それ以外に変わったことと言えば、部屋の雰囲気が打って変わって明るくなったこと。そして、大人たちの雰囲気も変わった。
なんというか、興奮しているというべきか。ケセラを気に入った変態なのかと思いきや――あながち間違っていないのかもしれないが――、良いデータがとれたらしいのだ。向こうは私たちをガキで支配下に置いていると思っているからか、私たちの前で結果を良く語り合う。その中に、ケセラのことを言っていたものがあった。というか、ケセラのことばかりだったのだ。
「これがイミタシアのデータか……!!」
「これが精霊どもが隠し持っていた力……。なんと恐ろしい……」
「報告では、他にもイミタシアがいるらしい。至急、捜索させなければ」
どうやらケセラがイミタシアとかいう存在らしい。
精霊が隠し持つ力?恐ろしいもの?ほかにもいるのか。
検査が終わり、部屋に戻されると、一緒に連れ出されたはずのケセラは既に部屋にいて、一人ぽつんと壁にもたれかかっていた。他の子供たちは戻っていない。
近寄ってみると、ケセラはカタカタと震え、両手で額を抑えていた。冷や汗が首を流れ落ちていく。体調不良か。
私は部屋に備え付けてあるタオルを手に取ると、ケセラに近寄った。
「汗、拭かないと冷える」
「え?」
ケセラはハッと顔をあげると、私の方を見た。気のせいだろうか。ケセラのグリーンの瞳に、黄金の蝶が飛んでいる気がした。瞬きをしたあと、蝶は姿を消してしまったので、もしかしたら気のせいかもしれない。
「あ、ああ。ごめんね、ミセリア」
青い顔で、ケセラはタオルを受け取った。震える手で汗を拭うと、それを握りしめてうつむいた。
「あのさ。あいつら、イミタシアがどうとか言ってたけど、何のことを言っているのかわかる?」
ケセラの横に腰を下ろす。あの時とは逆だ。
「イミタシア……? ええと、それはなんだったっけ」
「精霊が~とか」
「ああ、それなら確かね」
どうみても無理やり取り繕った笑顔に、私はため息をついた。
それでも彼女はゆっくりと説明してくれたのだ。どうしてここに来たのかを。
「あのね、私、少し前までは大精霊テラに捕まっていたの。ここにいるみんなと同じ。外からの助けがない状態だった。けどね、色々あって、なんとか逃げだせたんだよ」
その時のケセラの笑顔はどこか自慢げだった。それはそうだろう。精霊から逃げるなんて、聞いたことがない。しかもあの大精霊テラから? 各地で大暴れしているとよく聞く大精霊テラから?
聞きたいことは山ほどあったが、ケセラに話を続けてもらうことにした。
「でも、そのとき一緒にいた仲間たちとは、はぐれてしまった。私、ひとりぼっちで歩いていたの。そうしたら今度は、ここに捕まっちゃった」
情けないよね、とケセラは笑う。
「イミタシアっていうのは、大精霊テラに捕まっていた私たちのことかもしれない。だって、私たちは特別だから」
私の次にお姉ちゃんのミセリアだから言うんだよ。ミセリアはしっかり者だもん。みんなには内緒だよ。ケセラは人差し指を口元に添えた。
「実はね、私たちは魔法が使えるの。それは人によって違うけど。私はね、ちょっとした先のことが分かっちゃう魔法が使えるんだ。使うと疲れちゃうけどね」
なるほど。ケセラが体調不良なのは、白衣の大人たちに力の行使を強制されたからなのか。力が使えることの真偽はともかくとして、ケセラの震えの原因は分かった。
「ねえ、もう少しだけ話を聞いてもらってもいいかな」
聞くだけ聞いて黙っていようと考えていた私に、ケセラから声をかけてきたので私は素直に頷いた。話を聞くことぐらいならできる。静寂の中座っているだけよりは幾分かマシだ。
「私ね、お姉ちゃんに向いてないのかも」
「なんで? みんな貴女に懐いているのに」
「だって、それは私だったら絶対しないはずの行動だったんだもの。私を支えてくれた人みたいになりたいって、ただ真似をしていただけなの。その人とも離れちゃって、私どうやってお姉ちゃんをやっていけばいいのか分からなくなっちゃった。ほら、こうしてすぐに悩んでしまう。あの人は、何年も弱さを見せなかったというのに」
出会って数日。ケセラは本来内気で、ネガティブな性格なのだと自分を笑った。
「貴女を支えてくれた人ってのは、相当すごかったんだ」
「うん。私とその人は同い年で、生まれた町も一緒で。捕まってからも一緒だった。私たちが閉じ込められた部屋ではね、私たちが最年長だったんだよ。中には生まれて一年しか経っていないような赤ちゃんもいた。そんな中、あの人はずうっとお兄ちゃんとしてみんなの面倒を見た。すごいんだよ? 暗かったみんなが、あっという間に元気になっていったの。“ここから脱出しよう!”なんて話が出て、計画が進むくらい。それはこうして現実になったんだ」
青かった顔も、少しずつ血の気を取り戻しつつある。その人との思い出が、あたたかで大好きなものだったからなのかもしれない。
ケセラはとても楽しそうに語る。
「あそこでの生活はとても痛くて、苦しかったけど。あの人がいてくれたから頑張れた。それでね、私今信じていることがあるの」
満点の星空を仰ぐかのように、ケセラは両腕を広げ上を向いた。そこには無機質な暗い天井しかないけれど、ケセラは笑顔のままだった。
「私、分かるの。あの人は、私を助けに来てくれる」
うっとりとした口調だった。ケセラの様子は明らかに恋する少女のそれだ。私には何も理解できない感情ではあるが、ケセラが頑なに信じている希望なのだと察することはできた。
「見たの。この力で。あの人は絶対助けに来てくれる。だから、私も頑張らなくちゃって思った。それで、あの人みたいなお姉ちゃんになろうと思ったけど……難しいね」
「そう悩まなくても、今のままで十分だと思う。引っ張るのもいいけど、よりどころになるだけで支えになる」
特に深く考えず発した言葉だったけれど、ケセラは少し目を見開いた。そして嬉しそうに笑った。
「ふふ、ミセリアもお姉ちゃんの素質あるね」
「え」
「ありがとう、長ったらしい話を聞いてくれて」
ケセラは私の手を握る。血の気が戻ってきた手のひらは、少しだけ温かく感じた。
――まただ。ケセラの瞳に、間違いなく黄金の蝶が舞っている。金色の光が、彼女の瞳を埋め尽くしていく。
「お姉ちゃ――」
「――ミセリアも、大丈夫。王子様が、ミセリアを助けてくれるよ」
見たこともない美しい瞳に、私は息を飲んだ。
ケセラが目を閉じて、再び開くと、そこから蝶は消えていた。ケセラは何度か瞬きをして、眉を寄せたのち、軽く首を振った。そして顔をあげた。
「私からの未来予知。これは絶対だからね、安心してね!」
「ええと、うん……」
「それよりもさ、さっきお姉ちゃんって言ってくれたでしょ!? もっと言ってもいいんだよ!!」
「うわわ、分かったからくすぐらないで、お姉ちゃん!!」
それから私と、ケセラお姉ちゃんが仲良くなるのにさほど時間はかからなかったように思う。ケセラお姉ちゃんは私を巻き込みながらも、なんとかお姉ちゃんとして部屋に君臨し続けた。
その日常も、永遠に続くはずはないと分かっていたけれど。
***
ナイフで切られた脛が痛い。大事には至っていないが、止血をしなければならない。
私が部屋に戻ると、八年前よりも住人が減り、二人だけになってしまった部屋からの冷たい空気が出迎えてくれた。
相変わらず薄汚くて無機質な空間だけど、唯一安らげる場所だ。
「ミセリア?」
扉を開ける音で私の存在に気付いたのか、ケセラお姉ちゃんがこちらを向いた。
あの日美しいと感じた瞳は、厚い包帯で隠されている。それでもケセラお姉ちゃんは、音で私を感じてくれている。
お姉ちゃんの視力がなくなったのは、あいつらのせいだ。
あいつらが力を無理やり使わせたから、お姉ちゃんの視力はなくなってしまったのだ。お姉ちゃんは「分かっていたことだから」とほほ笑んでいたけれど、私はあいつらを許すことができそうにない。
お姉ちゃんだけじゃない。あいつらによって命を散らしていった子供たちは、少なくない。私もどうして生き残っているのか不思議なくらい、生と死をさまよう日々をおくっているのだが。
「ミセリア、怪我をしているの? 血のにおいがする」
ケセラお姉ちゃんが私に近づこうとする。若干方向がずれていることに、私はあいつらへの怒りを感じる。感情をなんとか抑え込んで、私はお姉ちゃんを止めた。
「少し、しくじった。大丈夫、すぐ直るから」
私はお姉ちゃんの横に腰を下ろして止血を始める。
検査漬けの日々はいつしか終わり、私に待っていたのは暗殺者になるための日々だった。ここに連れてこられて検査されたのち、検査の結果が良くなかった子供たちは暗殺組織での修行が始まる。組織にいる奴はどいつもこいつも無感情に殺しにかかってくる。修行の中で散った命も多い。
既に血で汚れているタオルを引っ張り出し、患部に添えてきつく縛った。消毒薬の類は用意されていない。明日はどう逃げるべきか。
「あのね、ミセリア」
ケセラお姉ちゃんが震える声で話しかけてきたのは、雑な手当てが終わった頃だった。
「どうしたの。また、体調が悪いの?」
「ううん。体は、大丈夫。……あのね、私、移転することになったの」
「え……?」
足の痛みを忘れるくらい、私にとって衝撃的な言葉だった。
「ラエティティア国境付近の、研究所だって。そこに精霊を専門にしている研究者がいて、その人のところに連れていかれる……」
お姉ちゃんは不安そうに膝を抱え込む。
「あの人、助けに来てくれるのかなあ」
私はお姉ちゃんの肩をつかむと、思わす叫んでいた。
「信じよう、お姉ちゃんの未来予知は絶対だ!! ……万が一はずれたとしても、私がお姉ちゃんを助けるから、絶対、だから」
「ありがとう、ミセリア」
ケセラお姉ちゃんはいつものように、ほほ笑んだ。鼻から下しか見えない顔だけど、表情はなんとなくわかる。
「そうだよね、信じないと」
***
翌日、部屋から引きずり出された私は無表情で見下ろしてくる暗殺組織の親玉に向かって、ひとつ懇願をした。
「私にできることはなんだってする。だから、ケセラお姉ちゃんを連れて行かないでほしい」
地に頭を擦り付けた。
長い時間、私は埃っぽい床とにらめっこを続けるはめになった。
暗殺組織の親玉――コードネームすらも知らない細い男だった。おそらく三十代後半か、四十歳くらいの――は、棒読みにも聞こえる口調で答えた。
「ならば、契約を結べ」
私は顔をあげようとした。そこに、暗殺組織の親玉の靴底があった。
頭を踏まれたのだ、と理解するのにたっぷり三秒はかかった気がする。とにかく、私にとって屈辱的な格好で、そいつは言った。相変わらずの、棒読みで。
「明日からシアルワ王国第三王子フェリクスの暗殺計画が動く」
なんだって?
私は驚いた。第三王子フェリクスといえば、噂程度だが絶大な人気者であると聞いたことがある。私より少しばかり年下の王子。私の生まれた町でも、どんなに愛くるしい存在かと話があがることもそれなりにあった。その度にアイドルか、と内心ツッコミをいれていたものだ。
そんな王子の暗殺。なにか裏があるに違いない。
「お前にはフェリクス王子の暗殺実行部隊に所属してもらう。王子の暗殺を成功させたなら、その願いを聞いてやってもいい」
「私を、お姉ちゃんのもとに帰してくれるか」
「いいだろう。こちらからお前を殺すこともしない。あの中からここまで生き残れたのはお前だけだ。贔屓してやってもいい」
なんでだろう。普段ならほんの一ミリでさえ甘さを見せなかったこの男が、容赦なく切り伏せてくるこの男が慈悲をちらつかせるなんて。嘘なんだってわかるはずなのに。そもそも王子暗殺なんて大きな依頼を、修行段階の私に任せるはずないのに。
それなのに、私は受けてしまったんだ。
ケセラお姉ちゃんを助けたい、その一心で。
「分かった。王子暗殺を、必ず」
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