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夜明けの幻想曲 2章 異端の花守
0 昔話
しおりを挟む昔々、とても大きな王国がありました。
その王国の王女様はとても美しく、優しいのでみんなに慕われていました。
そんな王女様は、王家に仕える花守が手入れをしている花畑が大好きでした。大きな霊山の途中に広がる花畑はこの世界のどの花畑よりも大きく、美しい場所でした。その花畑を育て守る花守の少年もまた王女様のことが大好きで、一生懸命花畑を守っていました。
ある日のことです。
王女様と、隣国の王子様との結婚が決まりました。
隣国の王子様は大変麗しく、頭もよいと噂され、誰もが王女様の結婚の知らせを喜びました。
しかし、一人だけ喜んでいない者がいました。
花守の少年です。
花守の少年は知っていました。隣国の王子さまは本当は悪い人間であり、王女様のことを心から愛していないということを。それは真実であり、隣国の王子さまは王女様の持つ特別な力と財産を狙っていたのです。
花守の少年は一人訴えました。この結婚は国にとっても、王女様にとっても悪いものにしかならないと。
その願いは聞き入れてもらえませんでした。
花守の少年を目障りに思った隣国の王子さまは、部下に花守の少年を殺すように命じました。彼は高貴な存在に歯向かう反逆者であるとして。
それを知った王女様は必死になって止めようとしましたが、ついに花守の少年は処刑されてしまいました。
王女様は酷く嘆きました。
王女様との結婚に邪魔者がいなくなった王子さまは喜びました。そして大きな花畑を潰して、別の施設を作ろうと考えました。
しかし、そんな日は訪れませんでした。
隣国の王子さまは、あり得ないものを見たのです。
隣国の王子さまの前に、花守の少年が立っていたのです。いないはずの存在が自分を睨みつけている姿に隣国の王子様は驚いて、部下に少年を排除するように命じました。
しかし、たくさんの武器が花守の少年に触れることはできませんでした。
なぜなら、花守の少年は人間に扱えるはずのない魔法を使ったからです。
次々と襲い来る敵を薙ぎ払って、花守の少年は言いました。
「彼女とこの国の宝を傷つけるお前は許さない。お前の国も、お前自身もすべて滅んでしまえ」
隣国の王子さまは抵抗することができませんでした。隣国の王子さまを消した花守の少年は、王子さまの出身国である隣国をも滅ぼしました。
怒りが収まらない様子の花守の少年を見て、王女様は悲しみました。自分と国を助けてくれたことは事実でしたが、優しかった花守の少年が変わり果てた様は、王女様の心を傷つけてしまいました。
王女様の呼びかけに、ようやく花守の少年は我に返りました。その時にはすでに、隣国はボロボロになっていました。
花守の少年は、泣いていた王女様にお願いをしました。
「僕を塔に封印してください。もう二度と、目覚めることがないように。僕はもう、あの頃の人間ではないから、いつ暴走してしまうか分かりません。お願いします」
必死な願いを王女様は受け入れることにしました。
王女様は、王家だけが持つ特別な力で花守の少年を霊峰にある塔へ眠らせました。ボロボロだった塔は、封印が完成した直後に光り輝き、白く変化しました。
王女様は国を継ぎ、「白の塔」を見守ることにしました。花守の少年が一生懸命守っていた花畑も、彼の血縁者に命じて管理を続けさせました。
後の語り部はこう言います。
「この国に災厄が降り注ぐ時、花守の少年は『白の精霊』として蘇り、国を害する存在に再び牙をむくだろう」
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