久遠のプロメッサ 第一部 夜明けの幻想曲

日ノ島 陽

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夜明けの幻想曲 2章 異端の花守

幕間 誰かと誰かの会話

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「……」
「あら、ご機嫌ななめのようですわね」
「……」
「下級精霊から聞きましたわ。人間に敗北したと」
「……負けてはねぇ。手を抜いてやっただけだ」
「それでも、元々の計画を諦めてきたのでしょう?貴方らしくない」
「……」
「まぁ想像することはできますわ。シアルワの神子の力が予想外に強かった、ということでしょう?貴方がそこまで考え込むなんて、それくらいしか考えられません。神子の力に影響されて昔のことでも思い出したのでしょう」
「うるせぇ。お前には関係ない」
「あら、関係ありますわ。貴方とわたくし、そしてテラは同時に生まれたのですから。心配くらいはしますわ」
「そんなこと言ったって、お前は数千年の間、傍観を貫いてきたじゃないか。俺とテラが人間に『戦争をやめろ』って訴え回ってる時、お前は何をしていた?……何もしてなかったじゃないか。そんな怠惰にも程がある奴に心配されたかねーよ」
「ふふ。わたくしも何もしてなかったワケではないのですよ。……それは置いておきましょう。わたくし、貴方に伝えたいことがあってここに来たのですよ」
「……手短に話せ」
「神子のことです。今の貴方の様子じゃ、シアルワの第三王子もラエティティアの女王もイミタシアにすることは難しいようですわね……しかし、神子は各血筋に一人だけ、というわけではありません」
「……」
「シアルワ王国にもう一人の神子がいることはご存じでしょうか?」
「もう一人?第三王子の兄どもに力はなかったはずだぜ」
「ええ。第一王子、第二王子ではなく……王女ですわ」
「王女なんかいたか?王サマには女が生まれたら報告するよう命じたはずだが」
「いるのですよ。長い間、塔に幽閉されて……なんて可哀想な事でしょう。人間は本当に酷いことをしますわね」
「……契約違反じゃねぇか」
「わたくしが伝えたいことは以上です。テラの元を離れるつもりならば、早めに行動することを勧めておきますわ。テラの様子を窺うに、あの子が目覚めるまであまり時間がないようですから」
「……そうか。わーったよ。俺の契約を違反したからには相応の罰を受けてもらうことにしようか。……用が済んだならとっとと失せろ、アクア」
「貴方はいつも乱暴ですわね。昔はもっと可愛らしかったというのに……それでは失礼します。貴方の成功を願っておりますわ、ビエント」
「その言葉も本心だかわかんなぇな」
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