二人暮らし

春夏

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2. 倫27歳 真希15歳

2-6

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「ただいま」「ん、お帰り」真希と倫の暮らしは3年目を迎えた。声変わりしてじきに背も追いつかれそうだ。反抗期の真希とは時折言い合いになることもあるし、食事の時間以外は自分の部屋に閉じこもっている。しかしそれも順調な成長の証だと倫は嬉しく思う。真希の母は約束通り月に1度会いに来て、そのたびにもらう3万円を倫は全て真希の名で貯金している。

常連さんの中には真希の同級生の親もいる。「マサ、今日進路調査表もろたやろ。出せ」「卒業したら就職するから」「…高校に行かんつもりか」「もう一人で大丈夫だから」「行きたないんか」「…」成績は悪くない。むしろ良い方だ。この辺り1番の公立も狙えると面談で担任に聞かされた倫は、なんとしても真希に承知させたかった。「行ったらええやろ」「行かないって言ってるだろ!」「マサ!」部屋のドアをわざと大きな音をたてて閉められて倫は唇を噛んだ。

「倫君、ちょっといい?」翌日パートの藤本さんが真剣な顔で倫を呼んだ。「なんすか?」「昨日マサ君がね…きっと私が後ろにいることに気づいてなかったんだよ」昨日倫は藤本さんに近所のカフェへの配達を頼んだ。その帰り、友人と話す真希を見たのだと言う。

「マサ、高校どこにする?」「…俺は行かない」「マジ?頭いいのに!」「うち、出てかなきゃならないから」「え!倫さんにそう言われたわけ?」「リンは…リンはそんなこと言わないけどさ。もう充分面倒みてもらったから」「マジかぁー!じゃ俺の代わりに受けてよ!」「バカじゃねーの」真希と友人は大笑いしながら別の話題に移った。

「…マサがそないなこと」「倫君、あんたはどうするつもりなの?」「マサは…ここから出ていきたいんかな…」「ちゃんと決めなきゃいけないよ。マサ君と話し合わないと。倫君が一緒にいたいならそう言ってあげなさい」「そしたら…ここに居ってくれるやろか」「だから!それをちゃんと話しなさいよ」頭を抱える倫の背中を藤本さんが思い切り叩いた。
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