トリビュートは生きている

春夏

文字の大きさ
24 / 50
5.side ジェフ

23.オニイサン

しおりを挟む
近くに森があればミコトの実践。だてに何年もそこそこ名の売れたパーティにいたわけじゃない。オレ自身にたいした腕があるわけじゃないが、戦い方なら飽きるほど見てきた。ミコトの世界には魔法もなけりゃ魔物もいないのだという。武器になりそうなものを持ち歩くだけで捕まるのだとか。考えらんねぇな。そんなところにいたわりにはミコトの戦いは安定してる。勇者だもんな、神様とやらがどうにかしてくれてるんだろうか。

村に着いてテントを2つ。もちろんオレと、アリスとミコト。
「ジェフ、話聞いてもらえんか」
アリスを寝かせて、結界でテントをしっかり守ったミコトを迎え入れて、とりあえずエールを出す。
「さぁ、オニイサンに話してごらん」
「チッ、おもしろがっとるやろ……あのな、宿でな……」

ロレーヌ侯爵家、王の右腕とも呼ばれる宰相のご次男で?第二王子の元婚約者で?
おう…ただのお坊ちゃんじゃなかったわ。外見だけじゃねえ、所作もいちいち美しいのはそういうわけ。そりゃ風呂なんか1人で入るわけがない。お付きの前で裸になるなんて、上位貴族ならあたりまえ。

「……そりゃ……お疲れさんというかなんというか」
「わかるやろ!俺がどんな思いで我慢したと思てんの!なのにアリスときたらまったく……」
「よく我慢できたなぁ…で、どうだった?アレとかコレとか」
「……最高や……ちゃうねん!想像すんなや!!」
「怒るなよ、ちょっとふざけただけだ。ミコト、お前は立派だ。オニイサンは嬉しいよ」

「……子ども扱いすんなや……これからもよろしく頼む」
耳まで赤くしてテントに戻りかけて。
「…そしたらな、朝、精通しとってんよ」

今度こそ逃げるようにテントを出ていく。
……あの美しい人が、精通。目眩がしそうだ。

オレの目の前で2本の若木が育っていく。真っ直ぐに、伸び伸びと。邪魔な陰はオレが払ってやるさ。
ほらな、やっぱりこの旅は楽しい。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】ネクラ実況者、人気配信者に狙われる

ちょんす
BL
自分の居場所がほしくて始めたゲーム実況。けれど、現実は甘くない。再生数は伸びず、コメントもほとんどつかない。いつしか実況は、夢を叶える手段ではなく、自分の無価値さを突きつける“鏡”のようになっていた。 そんなある日、届いた一通のDM。送信者の名前は、俺が心から尊敬している大人気実況者「桐山キリト」。まさかと思いながらも、なりすましだと決めつけて無視しようとした。……でも、その相手は、本物だった。 「一緒にコラボ配信、しない?」 顔も知らない。会ったこともない。でも、画面の向こうから届いた言葉が、少しずつ、俺の心を変えていく。 これは、ネクラ実況者と人気配信者の、すれ違いとまっすぐな好意が交差する、ネット発ラブストーリー。 ※プロットや構成をAIに相談しながら制作しています。執筆・仕上げはすべて自分で行っています。

血のつながらない弟に誘惑されてしまいました。【完結】

まつも☆きらら
BL
突然できたかわいい弟。素直でおとなしくてすぐに仲良くなったけれど、むじゃきなその弟には実は人には言えない秘密があった。ある夜、俺のベッドに潜り込んできた弟は信じられない告白をする。

【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?

キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。 知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。 今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど—— 「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」 幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。 しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。 これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。 全8話。

【8話完結】恋愛を諦めたおじさんは、異世界で運命と出会う。

キノア9g
BL
恋愛を諦め、ただ淡々と日々を過ごしていた笠原透(32)。 しかし、ある日突然異世界へ召喚され、「王の番」だと告げられる。 迎えたのは、美しく気高い王・エルヴェル。 手厚いもてなしと優しさに戸惑いながらも、次第に心を揺さぶられていく透。 これは、愛を遠ざけてきた男が、本当のぬくもりに触れる物語。 ──運命なんて、信じていなかった。 けれど、彼の言葉が、ぬくもりが、俺の世界を変えていく。 全8話。

すずらん通り商店街の日常 〜悠介と柊一郎〜

ドラマチカ
BL
恋愛に疲れ果てた自称社畜でイケメンの犬飼柊一郎が、ある時ふと見つけた「すずらん通り商店街」の一角にある犬山古書店。そこに住む綺麗で賢い黒猫と、その家族である一見すると儚げ美形店主、犬山悠介。 恋に臆病な犬山悠介と、初めて恋をした犬飼柊一郎の物語。 ※猫と話せる店主等、特殊設定あり

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

離したくない、離して欲しくない

mahiro
BL
自宅と家の往復を繰り返していた所に飲み会の誘いが入った。 久しぶりに友達や学生の頃の先輩方とも会いたかったが、その日も仕事が夜中まで入っていたため断った。 そんなある日、社内で女性社員が芸能人が来ると話しているのを耳にした。 テレビなんて観ていないからどうせ名前を聞いたところで誰か分からないだろ、と思いあまり気にしなかった。 翌日の夜、外での仕事を終えて社内に戻って来るといつものように誰もいなかった。 そんな所に『すみません』と言う声が聞こえた。

貧乏大学生がエリート商社マンに叶わぬ恋をしていたら、玉砕どころか溺愛された話

タタミ
BL
貧乏苦学生の巡は、同じシェアハウスに住むエリート商社マンの千明に片想いをしている。 叶わぬ恋だと思っていたが、千明にデートに誘われたことで、関係性が一変して……? エリート商社マンに溺愛される初心な大学生の物語。

処理中です...