運命の相手 〜 確率は100 if story 〜

春夏

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2. 縮められない距離

2-8 いい人かもしれない

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side アキ

ヒカからの電話。レコーディングの話とかファンクラブの名前とか。ウンウンと相槌をうつ。話は面白い。知らないことばかりだし、ヒカがほんとに芸能人になるんだ、と実感する。でも聞きたいのはそれじゃない。

『…そういえばなんだっけ、あのサラリーマン』『広瀬さん?』そう、広瀬さん。俺だって忘れるわけがない。『あの人と会ってる?』『会ってるわけないじゃん』ヒカは俺に嘘をつかない。よかった、会ってなかった…。『でも電話で話したよ』え?『いつ?まさか毎日とか…』『そんなわけないでしょ。さっき。話したのはあの日ぶり』話したのは…?『連絡はとってんだろ』『まさか。連絡したのも今日が初めてだよ』…マジか。あ、ヒカからはしてない、ってことか?『広瀬さんからは連絡きてたんだろ?』『きてないよぉ。ファンクラブの名前決まった、ってお知らせしたの』ってことは、あの人ほんとに歌が好きなだけ…?いや、そんなわけないよな。『俺が時々連絡してもいいか聞いたら大歓迎だって。やっぱり優しいよねぇ』だよな。わかってた。でもあの人、自分からは連絡取らないつもりだったってこと?

『そういえば前にアキとカラオケ行った時さ、アキ、学校の友だちと行く時は歌ったらダメ、って言った曲、覚えてる?』『え?まさかあれ歌ったのか?』『うん。忘れてて。そしたらトイレから全然戻ってこなかったんだよー。でさ、待ってる間にアキに言われたこと思い出したんだけど、なんで歌っちゃだめなの?』うん、エロすぎるからだよ、なんて言えるか!『…忘れた。友だちとカラオケよく行くのか?』『違う違う、罰ゲームで俺に告白させられてさ、俺もそういう人7人めでイライラしちゃってさ、2人でストレス発散に行ったの』こいつ…バカだバカだと思ってはいたけどほんとに馬鹿!だから男子校なんて反対だったんだよ!トイレだって抜いてたに決まってんじゃん!性欲しかない思春期のガキより広瀬さんの方が安全か?……会いにいってみようか…?
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