自立したい僕を社長が甘やかしてきます

春夏

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9.あなただけの

34.噛まれたい

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「…んぅ…」
なに…?いい匂い…朝…?仕事…行かなきゃ…。
「葵?目ぇ覚めたか?起きられる?」
…智秋さん?なんで……ご飯とは違う、特別な香りが漂って、一気に目が覚めた。

「おはよ。体はどうや?辛くないか?」
「…ぼ、僕、昨日、あの、その」
「せや。良かった、ちゃんと覚えてくれとった」
安心したように笑う智秋さんが近づいて僕の手を取る。
「昨日な、葵にヒートがきたんよ。葵が俺を求めてくれた。ホンマに嬉しかったわ」
そうだ、覚えてる。
智秋さんが欲しかったこと、ちゃんと覚えてる。
「…僕は…智秋さんのオメガになれましたか?」
「正直言って最高やった。けど俺のオメガて…」

「僕…まだ…足りないよ」
だってまた体が熱くなってきた。
今まで全然わからなかった智秋さんの匂いに包まれて、頭がふわふわしてくる。
「葵、そんなにフェロモン出されたら辛抱でけへんくなるやろ。俺も葵も仕事は休みや。メシ食うて風呂入って…そしたらまた葵を抱いてもええやろか」

その言葉に僕の体が反応してしまった。
昨日もあんなにしてくれたのに。
僕だってきっと、いっぱい出したのに。
「…ホンマに可愛ええ…」
そう言った智秋さんがくれたキスが、体の奥をゾクゾクさせる。
「…あかん。先に食べよな。俺も我慢するから葵も我慢して」
「そしたら…智秋さんのオメガにしてくれますか?」

返事がなくて、胸が苦しい。
僕じゃだめなの?
智秋さんの、智秋さんだけのオメガになれないの?
「…葵はええんか?俺だけのオメガになってもうてええんか?葵はまだ若い。これからどんな出会いがあるかわからへん。それでも俺だけのオメガになってくれるんか?」

……そんなの決まってる。
智秋さんがいいんだもん。
他の人なんか要らない。
誰ともそうなれないと諦めていた僕が。
どんな僕でもいいと言ってくれた智秋さんが。

智秋さんはアルファで僕はオメガだ。
ヒートの僕がなにも考えられないときに、噛んでしまおうと思えば簡単にできたはずなのに、番になった場合の僕の未来のデメリットをひとつひとつ説明してくれる。
だから僕は智秋さんが。
僕のことを尊重してくれる智秋さんが。
「…それでもホンマに…俺だけのオメガにしてもうてええんやな?」
智秋さんの瞳をまっすぐみつめて、僕は頷いた。

「僕を奥山智秋だけのオメガにしてください」
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