思い出した

春夏

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「…充君、まだここにいられる?俺、壮の着替えとか取ってくるから」「いいですよ。お願いします」真は病室を出た。

…壮が俺のことを忘れてしまった。座り込みたいような絶望感を、人前だぞ、という義務感で抑えつける。このまま壮が思い出さなかったら…俺はどうなる?

「…壮」「…ね、びっくりしたね、シンだよ!」「壮、おまえわかってるだろ」「…」「あの人は騙せても僕は騙されない」「…真の事務所の社長にバレて…別れろ、って」「…」「今月中に別れなかったら真をクビにするって。CMとかドラマとか、違約金も真に請求するって」「そんな」「だからオレ、別れの手紙書いて、オレのものも全部捨ててきた。真が家に帰ってもオレの服なんか無いんだよ」「…壮はそれでいいのか」「オレが真にできる最後のことだから。オレ、仕事も辞めたからさ、次の仕事見つかるまで充のところにいてもいい?」「そりゃいいけどさ…」「もう真はここには来ないよ。さようなら、って書いて…なにもかも終わりにしてきたはずなのに、今日で終わりになるはずだったのに、まさか階段から落ちるなんて。…どうしても真の連絡先だけは消せなかったんだ」「…壮、もう寝ろ。また明日、朝から来るから」
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