4 / 10
4
しおりを挟む
玄関から違和感があった。壮の靴がない。いつも2足を履き回していた。何度言ってもシューズボックスに入れずに「邪魔なんだよ」「あ、また忘れてた」って笑ってごまかして。クローゼットを開ければ、違和感は確信に変わる。壮の服がない。今年の誕生日に俺が贈った紺のジャケット。壮に似合う細身のパンツ。パジャマ代わりのスゥエット。壮の服がない。
甘えることが苦手な壮が俺に何かを伝えたいとき、いつだってキッチンに置かれていた手紙。それはめったにないことだったけれど、欲しい服の雑誌の切り抜きだったり、”今夜したい”なんておねだりだったり…。そのことに気がついて弾かれたようにキッチンに向かう。そこに残されていたのは『今までありがとう。大好きでした。さようなら。お元気で』とだけ書かれた別れの手紙だった。
「シン、起きろ。仕事だぞ」…あのまま寝ちまったのか…鍵を預けてあるマネージャーに起こされる。「なんでこんなとこで寝てんだ?撮影に遅れる。さっさと顔を洗え」俺が握りしめているものに気づいたマネージャーが「…あぁ…」と呟く。「なんだよ」「いや、なんでもない」「…壮が!何か知ってんだろ!言えよ!」「……彼は身を引いたんだよ」涙が溢れる。「なんで!なんでだよ!」「シン、仕事だ」「なんでだよ…」
甘えることが苦手な壮が俺に何かを伝えたいとき、いつだってキッチンに置かれていた手紙。それはめったにないことだったけれど、欲しい服の雑誌の切り抜きだったり、”今夜したい”なんておねだりだったり…。そのことに気がついて弾かれたようにキッチンに向かう。そこに残されていたのは『今までありがとう。大好きでした。さようなら。お元気で』とだけ書かれた別れの手紙だった。
「シン、起きろ。仕事だぞ」…あのまま寝ちまったのか…鍵を預けてあるマネージャーに起こされる。「なんでこんなとこで寝てんだ?撮影に遅れる。さっさと顔を洗え」俺が握りしめているものに気づいたマネージャーが「…あぁ…」と呟く。「なんだよ」「いや、なんでもない」「…壮が!何か知ってんだろ!言えよ!」「……彼は身を引いたんだよ」涙が溢れる。「なんで!なんでだよ!」「シン、仕事だ」「なんでだよ…」
3
あなたにおすすめの小説
定時後、指先が覚えている
こさ
BL
職場で長く反目し合ってきた二人。
それでも定時後の時間だけは、少しずつ重なっていく。
触れるはずのなかった指先。
逸らさなかった視線。
何も始まっていないのに、
もう偶然とは呼べなくなった距離。
静かなオフィスでゆっくりと近づいていく、
等身大の社会人BL。
春へと向かう風は
hamapito
BL
「俺と別れて、後悔しないって言える?」の書き出しから始まる物語
(天木あんこ様【@54azuki_mochi】より、素敵な書き出しをお借りしました)
夢を諦めることができないから。彼を応援しているから。
お互いのことを痛いほどにわかっているからこそ、離れることになった。
春へと向かう季節のなかで迎えた別れの日を、ふたりの視点から。
happy dead end
瑞原唯子
BL
「それでも俺に一生を捧げる覚悟はあるか?」
シルヴィオは幼いころに第一王子の遊び相手として抜擢され、初めて会ったときから彼の美しさに心を奪われた。そして彼もシルヴィオだけに心を開いていた。しかし中等部に上がると、彼はとある女子生徒に興味を示すようになり——。
君さえ笑ってくれれば最高
大根
BL
ダリオ・ジュレの悩みは1つ。「氷の貴公子」の異名を持つ婚約者、ロベルト・トンプソンがただ1度も笑顔を見せてくれないことだ。感情が顔に出やすいダリオとは対照的な彼の態度に不安を覚えたダリオは、どうにかロベルトの笑顔を引き出そうと毎週様々な作戦を仕掛けるが。
(クーデレ?溺愛美形攻め × 顔に出やすい素直平凡受け)
異世界BLです。
俺の婚約者は小さな王子さま?!
大和 柊霞
BL
「私の婚約者になってくれますか?」
そう言い放ったのはこの国の王子さま?!
パミュロン王国で次期国王候補の第1王子アルミスから婚約を求められたのは、公爵家三男のカイルア。公爵家でありながら、長男のように頭脳明晰でもなければ次男のように多才でもないカイルアは自由気ままに生きてかれこれ22年。
今の暮らしは性に合っているし、何不自由ない!人生は穏やかに過ごすべきだ!と思っていたのに、まさか10歳の王子に婚約を申し込まれてしまったのだ。
「年の差12歳なんてありえない!」
初めはそんな事を考えていたカイルアだったがアルミス王子と過ごすうちに少しづつ考えが変わっていき……。
※不定期更新です
仲良くなったと思った相手は、どうやら友達なんて作りたくないらしい
たけむら
BL
仲良くなった相手は、どうやら友達なんて要らないっぽい
石見陽葵には、大学に入ってから知り合った友人・壬生奏明がいる。少し冷たそうな第一印象から周りの学生に遠巻きにされている奏明に、とある提案をしてみると、衝撃的な一言が返ってきて…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる