ガルシア戦記

千山一

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第6巻 巨大、メビオス王国

第3章 魔王討伐No.2

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ーーマッドリーダーの応接間
ーゲルド視点

「いや!!!王様!!!今回はお日柄も良く……」
「……いや、外は土砂降りだぞ?それに俺は“王様”ではなく“リーダー”……」

スペニア国の代表大使兼商売人のゲルドは“カキンッ”と固まってしまった。
ここはマッドリーダーの応接間。40畳の長方形で数人が“ズラリ”と横に並び立っていた。
改めて見ると“圧巻”といっても過言ではない。
マッドは王様のように上から目線の方は好みではなく常に対等、つまり同じ目線で話し合いたいと要望した。副リーダーであるターケンはそれを了承し、円満解決となったが……なったんだけど大きな事件が起きてしまった!
その事件は“シルバードラゴンいなくなった”事件である。
もちろん、シルバードラゴンが居なくなることを了解済みで寂しくなったが、シルバードラゴンがいなくなってこれほどまでの被害が受けてしまうことは予想しなかった……その事件の内容は大陸別で通じなくなる事件である。

コレは誰もが予想しなくて本当に本当に苦労したが、試行錯誤しながらどうにか通じるようになり、元の生活に戻っていった。
そんな時に初めての大使…つまり初のスペニア国の使者が訪れた。
この使者によると、どう友好関係を結んでアジカ大陸の窓口としてサポートして欲しいとのことだった。
そして、見返りとしてスペニア国の技術を提供する。そしてこちら側も鉄を輸出するなど、双方にとって良い関係が築かれた。
ただ、スペニア国は良い関係なのだが、裏では社会崩壊になるのではないのか?
という噂が広まった。その噂とは“麻薬”である。独走状態であるスペニア国は
“麻薬を大量に横流しをしてクロール国を弱らせているのではないか?”と噂が広まった…その噂が広まったタイミングが今回の代表である。もちろん、噂レベルに関しては信憑が乏しく“あくまでも噂レベル”ではあるが、正直疑ざる負えない。

「本当に本当に申し訳ございません!このお詫びはどうしたら良いのか……」
「いいよ!いいよ!それよりも、何でここに寄ったの?」

“ここが勝負だ!”
クロール外交といっても過言ではない、この状況では大きな山場になっていた。

「いやー新しい武器がどのようになっているか、気になっていましてね……で、どうですか?」

ゲルドの表は“ニコニコ!スマイル!”を保てているが、裏では正直、焦っていた。
何故なら、もし成功したならば領主として奪うことを約束しているが、失敗したのであれば……。
どうしても死にたくないのだ!

「ん?あぁ、防具や剣のことか?凄く重宝しているよ……そうだなぁ、あと1000を頼む」
「了解しました!早速、本国に帰って手配しますね!」

“良かった……けど、周りいる殺気はなんだ?”
ゲルドは両手を“スリスリ”しながら、営業スマイルを継続している…だが、さっきから強烈なオーラを醸し出している。だが、マッドの手前、周りを見ることができない。

「では、早速帰りますね!」
「この雨の中でも?」
「スペニア男子たるもの、雨が降ったところで何になりますか!ってヤツです」

ゲルドは“スウッ”と立ってマッドの方へ笑顔で挨拶をした。

「それでは、失礼します(^^)」

再びドアの手前で立ち止まり笑顔で挨拶をしながらドアを閉めた。
“バタン”
というドアを閉める音がした。


ーー誰もいない廊下
ーガルシア視点


ゲルドは再び誰もいないことを確認する。そして、ゲルドは歩きながら考え込んでしまう……すると突然背後から声がしてきた。

「なんじゃ?ザゴか……」

雨が降ってよく分からないが、ゲルドのオーラは殺気立っている。

「……なんですか?本当に失礼ですよね」
「まぁ、まぁ、そんなに怒らずに……魔族同士、話し合いましょうよ」

ゲルドが“ビクッ”に対し、俺は笑顔で返した。

「し、知ってたのか?」

俺は“ニヤリ”と不敵な笑みを浮かべた。だが、シルバードラゴンとの打ち合わせの段階はまだまだである。

「そりゃ、知っているわ。まさか大使が魔族とはのう……」

“もちろん、嘘である”
隠れて様子をみようと提案してきたのがシルバードラゴンで、魔族が大使であることを見破ったのがシルバードラゴン。
つまり、シルバードラゴンが全て失敗したのだ……ただ、魔族なのか、臆することなくシルバードラゴンが立っている。
“ピキッ”
魔族特有の“領域”が張り巡らせている。

「ほぅ、大使となれば“領域”を使えるのう…」

俺はというと、シルバードラゴンとの打ち合わせがあったから余裕だったけど、打ち合わせがなかったらピリピリとオーラ全開になってたかもしれんなぁ…。

「では、ワシもオーラを出すとしよう……フン!」

シルバードラゴンはオーラを出すべく背中に力みを入れた。その直後、領域が解かれてしまった……つまり、圧倒的なシルバードラゴンのオーラに負けて諦めてしまったのだ。

「わ、悪かったよ。謝るよ」
「分かれば良いのじゃ……ただし、一つだけ条件がある」

俺は“ニヤニヤ”ことに対して、ゲルドも“いやいや、そんなはずは…”という顔をしていた。

「スペニア国まで連れて行って欲しいのじゃ!」

それを聞いてしまったゲルドは放心状態になり、その場で崩れ落ちてしまった。
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