ガルシア戦記

千山一

文字の大きさ
22 / 198

第4章 決戦突入No.9

しおりを挟む
「いいか?1時間だぞ」


ーーー夜中のオルールの門の付近

ガルシアは大きく頷く。
アイヤールとガルシアの2人は、クーデタ軍に対して行く準備をするために話し合いを始めた。
ガルシアからすると、ロマーノ王国のように忍者にしたかったのだが、あまり置いてなかったので、それに似た服装にした。
ガルシアの格好は黒の上下の服装に短刀のダガー、あまり靴音のしない靴などを取り揃えて着た。そして痕跡がバレないように入念なチェックをし始めた。

「もう一度言うが…」
「分かったよ。1時間だろ?」

ガルシアは“もうウンザリ”というような顔した。

「これで最後の確認だ。門に登って門を開く。お前の役割は終わりだ」

ガルシアは軽く頷き始めようとした矢先、ガルシアは思わず声をかける。
要は思わずズッコケてしまったのだ。

「ゴメンなぁ…最後にするわ」

ガルシアは“ジトーッ”とアイヤールの顔を見た。
そして次の瞬間、アイヤールはガルシアの両肩を掴みこう言った。

「ガルシア!いいか!サシル軍の一員だ!家族だ!家族は何があっても見逃さない!もし、ダメだったらすぐに引き返せ!家族みんなが全力でサポートするからな!」

ガルシアは一瞬、アイヤールの情熱的な言葉に不意を突かれ泣きそうになったが“クルリッ”と180度回転し回避した。

「そんなフラグ、無しですよ。俺がまるで死ぬじゃないですか!?」
「いや!そんなことはないぞ。帰ってきてからの話!」

アイヤールは慌てて、両手を振りながら言い訳をしようとした。

「ハハハ!冗談!冗談ッス!帰ってきたら、検討しますよ……じゃ、いっちょ行きますか!」

ガルシアは真剣な顔をしてオルールの門と向き合った。


ーーー数十分後、オルールの門の手前

オルールの門は普段なら接近してスタートすることが出来るが、オルールは一面は砂漠である。砂漠だからこそすぐ発見でき、逃れるのは困難である。
だからこそ、隠れるためには数キロからのスタートが余儀なくされた。

「ハァハァハァ…しんど」

ガルシアは独り言を小さな呟き、額に汗をかいて拭った。夜中とはいえ全速で走ったら、すぐに見つかって御用である。
だからこそ、慎重に行動しなければならない。要は“全速力で慎重に”ということだ。一件、矛盾する言葉ではあるが、コレが理にかなっているのである。
ガルシアは“キョロキョロ”しながら、壁に背中を引っつける。背中がひんやりとして冷たい。次の瞬間、ガルシアは高い塀をジャンプ!
1メートル、10メートル、70メートル…大きく飛んだ。そして見事、着地しあたりを見回す。
“よし!誰も見ていないようだ”

ガルシアは、すかさず壁の方へダッシュし引っ付く。大欠伸をしたクーデター兵は、ここに人がいることを知らず、ゆっくりとした速度で歩く。クーデター兵とガルシアの距離はおよそ10メートル。
9メートル、7メートル、5メートル、2メートル…
近づくにつれて胸の鼓動が激しくなる。

「ふぁ……」

クーデター兵も呑気な顔で歩いてくる。
次の瞬間、クーデター兵が“えっ”と思った時には頭と体が綺麗に分断し体が崩れて落ちる。
“リミットは1時間。つまり、夜明けになってから”
ガルシアはクーデター兵の姿を見ずに走り去ってしまった。


ーーー1時間後 

・アイヤール視点
アイヤールは“イライラ”して腕を組みながら、オルールの門を見つめていた。
“いや、これはイライラしているのではない。焦っているのだ”
そう感じたアイヤールは思わず驚いた。
“そうだよなぁ…いくら一兵だと思っても、代表の長として表も裏も知っているはずだ。ガルシアのことだって、うん表では心配しているように振る舞ったが、裏ではもし、殺害された時ぐらい考えていたはずだ”
アイヤールはそのことについて考えると気持ちが落ち込む。

「それだけではないんだよなぁ…」

“それだけはない”そう呟いたアイヤールは恨めしそうにオルールの門を眺めた。
今更ながら、オルールの門は最強の門なのだ。
オルールの門は周囲に建物は無く、あっても数キロぐらいに“ちょこん”と小さな岩があるぐらいである。そして、すぐに大勢が攻めてくると準備万端な兵から返り討ちあるのが必須なのだ。
だから、いくらシロートでも数が多くて、すぐには崩せない門である。しかも、籠城を決めると衣食住が自給自足100%な為、簡単にはできない。

アイヤールは“フーーッ”とため息をついた。
もう間も無く夜明けだ。夜明けになってしまうとすぐには動けない。
“ガルシアの案を却下し、全軍で攻めた方が良かったのかなぁ…”自分の判断が間違っていたのか自問自答する。
と、その時である!
オルールの門がゆっくりと開いていき、中から血だらけで歩く男性がいた。
アイヤールは少し警戒したが、すぐに笑顔になり、走って駆け寄った。

「ガルシア!よく生きて帰れたな!」

アイヤールは少し不安だったが、ガルシアの姿を見て心配は吹き飛んだ。

「あぁ、疲れたよ…あっ、これ」

ガルシアは片手から何やら取り出すと放って投げて見せた。
“ドサッ”

「おい、これは?」

アイヤールが見たのは、どこか綺麗に整っていた顔である。

「ん、クーデター兵の長だよ」

アイヤールはビックリして声は出せなかった。それもそうである。まさか、オルールの門が開ける手筈になっていたのだが、クーデター兵が壊滅するなんて思いもしなかったからである。

「おまえ、まさかクーデター、全員を倒したのか?」
「あぁ、だってみんな倒した方が安全なんでしょ?」

“みんな倒した⁉︎”なんだか、現実味が無さそうな感じだが、とりあえずクーデター兵の首は持ち帰っていた。

「本当にマジなんだな?」

ビックリもせずに淡々と言っていた。なんだか、現実味がなさそうだ。
突然!黒い塊が凄い勢いで走り去っていった。”やばい”と思った瞬間、大軍のドラゴンが押し寄せていた。

「……えっ……と、とりあえずOK?」
「何がOKじゃ!!」

アイヤールは後を追うようにオルールの元に走り去ってしまった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

(完結)姑が勝手に連れてきた第二夫人が身籠ったようですが、夫は恐らく……

泉花ゆき
恋愛
蘭珠(ランジュ)が名門である凌家の嫡男、涼珩(リャンハン)に嫁いで一年ほど経ったころ。 一向に後継ぎが出来ないことに業を煮やした夫の母親は、どこからか第二夫人として一人の女性を屋敷へ連れてくる。 やがてその女が「子が出来た」と告げると、姑も夫も大喜び。 蘭珠の実家が商いで傾いたことを口実に、彼女には離縁が言い渡される。 ……けれど、蘭珠は知っていた。 夫の涼珩が、「男女が同じ寝台で眠るだけで子ができる」と本気で信じているほど無知だということを。 どんなトラブルが待っているか分からないし、離縁は望むところ。 嫁ぐ時に用意した大量の持参金は、もちろん引き上げさせていただきます。 ※ゆるゆる設定です ※以前上げていた作の設定、展開を改稿しています

記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】

かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。 名前も年齢も住んでた町も覚えてません。 ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。 プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。 小説家になろう様にも公開してます。

借金5億で異世界転移、よりによって金本位制の世界だった

夜明け一葉
ファンタジー
32歳の個人トレーダー・佐藤慧は、5年間の雪辱を賭けたトレードで5億円の借金を抱え、意識を失った。目覚めると、そこは剣と魔法が存在する見知らぬ世界だった。常識が通じない異世界で、金貨を見るだけで嘔吐する「金アレルギー」を抱えながら、若き冒険者リナと出会い、生き延びる術を探し始める。諦めることだけができなかった男が、新たな世界で再び立ち上がる異世界サバイバル譚。

処刑から始まる私の新しい人生~乙女ゲームのアフターストーリー~

キョウキョウ
恋愛
 前世の記憶を保持したまま新たな世界に生まれ変わった私は、とあるゲームのシナリオについて思い出していた。  そのゲームの内容と、今の自分が置かれている状況が驚くほどに一致している。そして私は思った。そのままゲームのシナリオと同じような人生を送れば、16年ほどで生涯を終えることになるかもしれない。  そう思った私は、シナリオ通りに進む人生を回避することを目的に必死で生きた。けれど、運命からは逃れられずに身に覚えのない罪を被せられて拘束されてしまう。下された判決は、死刑。  最後の手段として用意していた方法を使って、処刑される日に死を偽装した。それから、私は生まれ育った国に別れを告げて逃げた。新しい人生を送るために。 ※カクヨムにも投稿しています。

あやかし家族 〜五人の兄と愛され末妹〜

南 鈴紀
キャラ文芸
 妖狩りにより両親を奪われ、囚われの身となった半妖の少女・鈴音は浄化の狐火を利用するだけの道具のように扱われていた。呪いにより成長は止まり、容姿も思考も幼いまま、感情が消え失せてもなおただ生かされるままに生きていた。  しかし妖保護部隊本部第一部隊との出会いにより、鈴音の止まっていた時間が動き出す。  掴みどころはないが頼れる氏神・雅仁、兄には厳しいが弟妹には優しい狼の妖・千里、人間嫌いだが人当たりの良い振りが得意な人間・遥杜、可愛いもの好きで元気いっぱいの猫又・鴇羽、大人しいが思いやりに溢れる猫又・瑠璃。  五人の兄と過ごす時間の中で、無いものだらけだった鈴音にもやがて大切なものが増えていく。  妖×家族の心温まる和風ファンタジー。

【完結短編】真実の愛を見つけたとして雑な離婚を強行した国王の末路は?

ジャン・幸田
恋愛
真実の愛を見つけたとして政略結婚をした新妻を追い出した国王の末路は、本人以外はハッピーになったかもしれない。

道化たちの末路

希臘楽園
ファンタジー
母亡き後、継承権もない父と愛人母娘が公爵家を狙い始めた。でも私には王太子という切り札がいる。半年間、道化たちが踊るのを、私たちは静かに楽しんで見ていた。AIに書かせてみた第3弾。今回も3000文字程度のお気楽な作品です。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

処理中です...