ガルシア戦記

千山一

文字の大きさ
71 / 198
第3巻 最強龍の帰還

第2章 新たな旅立ちNo.2

しおりを挟む
半月後…
俺は白い目でソファに座り、ケンペスの姿を見ていた。しかもケンペスの宗教じみたおまけ付きで……。

「ハァ……なんて、尊いんでしょ…」

ケンペスは“うっとり”しながら、白くて綺麗なタオルを“サラサラ”と慎重かつ丁寧にドラゴンの卵を磨いていた。

「なぁ……どこが良いの?ドラゴンの卵でしょ?」

俺は白い目でカンポイを見た。それを聞いたカンポイは一瞬“ビクッ”としてゆっくりと睨みつける。

「卵?…誰のことか!!ここにおられるのは御神体シルバードラゴン様でおられるぞ!!」

“あぁ、御神体って言っちゃってるよ…”初めはマジメで常識のある可愛いらしい人って印象だったけど、今は熱狂的な信者に成り下がったんだよ……しかも、昼から夕方までは、町の広場でチラシ配ったり、勧誘を勧めたりしている…おかげでこの国の王である、俺の評価はダダ下がりだよう…

「バン!ガルシアさん!勘弁して下さいよ……ハァハァ」

ドアを壊すんじゃないか?と思えるぐらい勢いよく開いた。
“あっ、もう一つの不安材料が来た”
そう!俺は不安材料があったのだ。
ただでさえ宗教がらみで頭が痛くなるのに、ダマスアからの督促状……しかも、ケンペスとラウルの分。つまりラウルは“どうして帰還こないですか?ささっと帰還して下さい!”という督促状…。俺だって帰りたいよ!帰ろ(^^)と言ったらカンポイが“卵が安全に保証できるまで行きません!”ということだよ……。
“どうせっちゅうねん!”

「兵士さんお疲れさま(^^)じゃあ!」
「ま、待って下さいよ!」

兵士さんは必死になってドアを開こうとするが、俺も必死閉める…いわゆ押し問答のようだ。

「な、なぜ、ドアを開けようとする……ハァハァ」
「閉じようとするからですよ…ハァハァハァ」

“流石に往復する根性がある”と思って尊敬を値にしたが、それをコレは違う!

「手紙見ました?ケンペスさん、必死に訴えていましたよ!」

“……許せ!アルフレッドはドSなんだ!”
と思ったがラウルが怖いので必死に閉じた。

「もう何も知らないラウルのところに行くことが恐怖なんですよ!今日こそは一緒に帰ってもらいますからね!」

開けようとする兵士は必死になって前へ進めた。閉じようとする俺と開けようとする兵士…“このまま動かないんじゃないか?”と思われたのだが均衡は突然訪れた。
ドアが閉まったのだ!
“バン!!”
ドアが大きな声でこだまし閉じた。
“バン!バン!バン!”

「開けて下さいよ!お願いしますよ!」
「もういない!もういないよ!」

俺も必死になって訳の分からないことを口走っていた。それにも関わらず開けようとする力が凄い!
俺は必死になってカギを閉めた。

「フーーッ」

と俺は一安心をした時“ドカッ!!”と壁が粉々に砕けちった。もちろん、兵士が壁を砕け散るなんてできなかったのであろう…それが常識人なのだ!だが、ラウルから圧があまりにも酷くて常識脳を狂わしたのだ。

「何しちゃってんの!?」

俺は無意識に兵士の胸ぐらを掴む。必死なのか兵士も胸ぐらを掴み涙目で訴えた。

「本当に勘弁して下さいよ!!今日は必ず返事聞かせてもらいますからね!!怖いんですよ!ラウルさんのところには!!」

“それぐらい必死なんだ…”俺はヒートアップしていた感情が急速に冷めるのを感じた。

「分かったよ……」
「ああああ!!!」

俺はビックリしてカンポイの声のところまで走っていた。カンポイは両手を振るわせながら俺の方へ顔を向けた。

「た、卵が……」
「えっ!?卵!?」

そう!ドラゴンの卵が割れかかったのだ!兵士も思わず両手でガッツポーズをして空を仰ぐ。要は帰る口実が出来たのだ。それよりも俺は初めて卵が孵るのをみて思わず“ジーーッ”と見つめていた。
“ピキッ!パキッ!”
そしてその瞬間がきた!ドラゴンの卵から“ひょっこり”ドラゴンの顔を出したのだ。

「おぉ、生まれたよ」

俺は興味本位でドラゴンの卵を興味深く見つめる。シルバードラゴンも“キョロキョロ”見渡していたが、俺とシルバードラゴンの目が偶然、目が合った。
すると“ギャァギャァ”と泣き出し、一瞬俺も戸惑ったのだが、シルバードラゴンは“パタパタ”と羽を動かして右肩に乗った。

「ノーーーッ!!!」

カンポイは頭を抱えながら大きな声で叫んでしまった。どうやら、本当の親だと信じてしまったようだ……。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

(完結)姑が勝手に連れてきた第二夫人が身籠ったようですが、夫は恐らく……

泉花ゆき
恋愛
蘭珠(ランジュ)が名門である凌家の嫡男、涼珩(リャンハン)に嫁いで一年ほど経ったころ。 一向に後継ぎが出来ないことに業を煮やした夫の母親は、どこからか第二夫人として一人の女性を屋敷へ連れてくる。 やがてその女が「子が出来た」と告げると、姑も夫も大喜び。 蘭珠の実家が商いで傾いたことを口実に、彼女には離縁が言い渡される。 ……けれど、蘭珠は知っていた。 夫の涼珩が、「男女が同じ寝台で眠るだけで子ができる」と本気で信じているほど無知だということを。 どんなトラブルが待っているか分からないし、離縁は望むところ。 嫁ぐ時に用意した大量の持参金は、もちろん引き上げさせていただきます。 ※ゆるゆる設定です ※以前上げていた作の設定、展開を改稿しています

記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】

かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。 名前も年齢も住んでた町も覚えてません。 ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。 プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。 小説家になろう様にも公開してます。

借金5億で異世界転移、よりによって金本位制の世界だった

夜明け一葉
ファンタジー
32歳の個人トレーダー・佐藤慧は、5年間の雪辱を賭けたトレードで5億円の借金を抱え、意識を失った。目覚めると、そこは剣と魔法が存在する見知らぬ世界だった。常識が通じない異世界で、金貨を見るだけで嘔吐する「金アレルギー」を抱えながら、若き冒険者リナと出会い、生き延びる術を探し始める。諦めることだけができなかった男が、新たな世界で再び立ち上がる異世界サバイバル譚。

処刑から始まる私の新しい人生~乙女ゲームのアフターストーリー~

キョウキョウ
恋愛
 前世の記憶を保持したまま新たな世界に生まれ変わった私は、とあるゲームのシナリオについて思い出していた。  そのゲームの内容と、今の自分が置かれている状況が驚くほどに一致している。そして私は思った。そのままゲームのシナリオと同じような人生を送れば、16年ほどで生涯を終えることになるかもしれない。  そう思った私は、シナリオ通りに進む人生を回避することを目的に必死で生きた。けれど、運命からは逃れられずに身に覚えのない罪を被せられて拘束されてしまう。下された判決は、死刑。  最後の手段として用意していた方法を使って、処刑される日に死を偽装した。それから、私は生まれ育った国に別れを告げて逃げた。新しい人生を送るために。 ※カクヨムにも投稿しています。

あやかし家族 〜五人の兄と愛され末妹〜

南 鈴紀
キャラ文芸
 妖狩りにより両親を奪われ、囚われの身となった半妖の少女・鈴音は浄化の狐火を利用するだけの道具のように扱われていた。呪いにより成長は止まり、容姿も思考も幼いまま、感情が消え失せてもなおただ生かされるままに生きていた。  しかし妖保護部隊本部第一部隊との出会いにより、鈴音の止まっていた時間が動き出す。  掴みどころはないが頼れる氏神・雅仁、兄には厳しいが弟妹には優しい狼の妖・千里、人間嫌いだが人当たりの良い振りが得意な人間・遥杜、可愛いもの好きで元気いっぱいの猫又・鴇羽、大人しいが思いやりに溢れる猫又・瑠璃。  五人の兄と過ごす時間の中で、無いものだらけだった鈴音にもやがて大切なものが増えていく。  妖×家族の心温まる和風ファンタジー。

【完結短編】真実の愛を見つけたとして雑な離婚を強行した国王の末路は?

ジャン・幸田
恋愛
真実の愛を見つけたとして政略結婚をした新妻を追い出した国王の末路は、本人以外はハッピーになったかもしれない。

道化たちの末路

希臘楽園
ファンタジー
母亡き後、継承権もない父と愛人母娘が公爵家を狙い始めた。でも私には王太子という切り札がいる。半年間、道化たちが踊るのを、私たちは静かに楽しんで見ていた。AIに書かせてみた第3弾。今回も3000文字程度のお気楽な作品です。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

処理中です...