ガルシア戦記

千山一

文字の大きさ
70 / 198
第3巻 最強龍の帰還

第2章 新たな旅立ちNo.1

しおりを挟む
「さぁ、今日もいい天気でしたよ。しっかり磨きましょうね♪」
「………」

カンポイは綺麗な布でドラゴンの卵を慎重に且つ、ゆっくり慈しむように磨いていた。俺も“ジーーーーッ”とそれを見つめていた。

「………おい」
「はい?なんでしょうか?」

カンポイは集中するのを邪魔されたくないのか、少し嫌そうな顔で応えた。

「……お前、何してんの?」
「えっ?卵を磨いているのですが……ほら、卵の時でも愛情持って慈しみを持ってっていうじゃないですか?」

カンポイは“そんなことは常識!”という感じでため息をついてきた。
“ピクッ”

「いやいや、カンポイは卵を磨いてくれているのは嬉しいし、感謝している」

俺は正直な所、男として卵を磨くなんて発想にもなかったし、心の底から感謝している。けどなぁ…
“ピクッピクッ”

「ちょっと、おかしいんじゃないのか?」

カンポイは“?”というワードが浮かび上がって首を傾げた。
“ブチッ”

「この巨大な祭壇じゃ!!!」

“そう、俺も王様をアピールすべく無理やりクエストに行き、忙しいすぎて宿泊する宿をカンポイに任せっきりなったかもしれない…けどなぁ、無理やり王の権力を使って広い部屋を確保し、王の経費を使って祭壇を設置するわ…ほんと、馬鹿げている!”

「えっ?王の権限だから好きに使っていい。と言われたのはガルシア王じゃないですか?」

カンポイは堪らず、ドラゴンの卵を握り締めて反論した。それを見た俺は思わず“ドラゴンの卵は大丈夫か?”とハラハラドキドキしていた。何故なら、カンポイの冒険者は華奢の割に腕力があり、軽々と岩を粉々にしたからだ。

「わ、分かった。少し落ち着こう……下手したら、口論で世界が滅びるかもしれないから…」
「えっ、わぁぁ!」

カンポイは思わず、無意識に手を離した。俺も落ちたと同時、素早くキャッチ!
再び、世界の危機から生還した。

「あっぶね~……おまえ、何しちゃってんの!?」

俺は思わず怒鳴り声で言ってしまったが、それを聞いたカンポイは“ピキッ”と腹を立てて、こう反論した。

「いきなり言ったから、こうなるんです!だいたい、町に入る前に王が“経費だから、もっと豪勢に使ってもいいよ”というもんですから、使ったんです!」

俺は“ウッ”と言葉を詰まらせた。
“この女、やりおるなぁ……”

「それは俺の特権なの!!」

苦し紛れの言い訳に畳み掛けるかのようにカンポイは発言した。

「王様だからですか?上に立つと無理ぶりも通るのですか?」
「……」

俺も“何を言っても反論するだけだ…”と思い、黙っているとゴンザレスが仲裁をしてくれた。

「まぁ、まぁ、いいじゃないですか?」

このゴンザレスも渡りに船!俺は思わず神様のように感じた。

「そんなことよりゴンザレスさん。ゴンザレスさんも“経費だから”と言って飲み歩いていません?」
「……」

あえなく撃沈……。
ゴンザレスも下を向いて黙ってしまった。
“このサシルの人って、どうも女には敵わないのだろうか……”

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

(完結)姑が勝手に連れてきた第二夫人が身籠ったようですが、夫は恐らく……

泉花ゆき
恋愛
蘭珠(ランジュ)が名門である凌家の嫡男、涼珩(リャンハン)に嫁いで一年ほど経ったころ。 一向に後継ぎが出来ないことに業を煮やした夫の母親は、どこからか第二夫人として一人の女性を屋敷へ連れてくる。 やがてその女が「子が出来た」と告げると、姑も夫も大喜び。 蘭珠の実家が商いで傾いたことを口実に、彼女には離縁が言い渡される。 ……けれど、蘭珠は知っていた。 夫の涼珩が、「男女が同じ寝台で眠るだけで子ができる」と本気で信じているほど無知だということを。 どんなトラブルが待っているか分からないし、離縁は望むところ。 嫁ぐ時に用意した大量の持参金は、もちろん引き上げさせていただきます。 ※ゆるゆる設定です ※以前上げていた作の設定、展開を改稿しています

記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】

かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。 名前も年齢も住んでた町も覚えてません。 ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。 プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。 小説家になろう様にも公開してます。

借金5億で異世界転移、よりによって金本位制の世界だった

夜明け一葉
ファンタジー
32歳の個人トレーダー・佐藤慧は、5年間の雪辱を賭けたトレードで5億円の借金を抱え、意識を失った。目覚めると、そこは剣と魔法が存在する見知らぬ世界だった。常識が通じない異世界で、金貨を見るだけで嘔吐する「金アレルギー」を抱えながら、若き冒険者リナと出会い、生き延びる術を探し始める。諦めることだけができなかった男が、新たな世界で再び立ち上がる異世界サバイバル譚。

処刑から始まる私の新しい人生~乙女ゲームのアフターストーリー~

キョウキョウ
恋愛
 前世の記憶を保持したまま新たな世界に生まれ変わった私は、とあるゲームのシナリオについて思い出していた。  そのゲームの内容と、今の自分が置かれている状況が驚くほどに一致している。そして私は思った。そのままゲームのシナリオと同じような人生を送れば、16年ほどで生涯を終えることになるかもしれない。  そう思った私は、シナリオ通りに進む人生を回避することを目的に必死で生きた。けれど、運命からは逃れられずに身に覚えのない罪を被せられて拘束されてしまう。下された判決は、死刑。  最後の手段として用意していた方法を使って、処刑される日に死を偽装した。それから、私は生まれ育った国に別れを告げて逃げた。新しい人生を送るために。 ※カクヨムにも投稿しています。

あやかし家族 〜五人の兄と愛され末妹〜

南 鈴紀
キャラ文芸
 妖狩りにより両親を奪われ、囚われの身となった半妖の少女・鈴音は浄化の狐火を利用するだけの道具のように扱われていた。呪いにより成長は止まり、容姿も思考も幼いまま、感情が消え失せてもなおただ生かされるままに生きていた。  しかし妖保護部隊本部第一部隊との出会いにより、鈴音の止まっていた時間が動き出す。  掴みどころはないが頼れる氏神・雅仁、兄には厳しいが弟妹には優しい狼の妖・千里、人間嫌いだが人当たりの良い振りが得意な人間・遥杜、可愛いもの好きで元気いっぱいの猫又・鴇羽、大人しいが思いやりに溢れる猫又・瑠璃。  五人の兄と過ごす時間の中で、無いものだらけだった鈴音にもやがて大切なものが増えていく。  妖×家族の心温まる和風ファンタジー。

【完結短編】真実の愛を見つけたとして雑な離婚を強行した国王の末路は?

ジャン・幸田
恋愛
真実の愛を見つけたとして政略結婚をした新妻を追い出した国王の末路は、本人以外はハッピーになったかもしれない。

道化たちの末路

希臘楽園
ファンタジー
母亡き後、継承権もない父と愛人母娘が公爵家を狙い始めた。でも私には王太子という切り札がいる。半年間、道化たちが踊るのを、私たちは静かに楽しんで見ていた。AIに書かせてみた第3弾。今回も3000文字程度のお気楽な作品です。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

処理中です...