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おもくなり
しおりを挟む「好きだよ…
嘘なんかつかないよ、なんで兼悟さんが出てくるの?」
ゆうが私を好きだったなんて
ゆうは微笑みながら目を瞑った
雫が一滴頬を滑り枕を濡らす
兼悟さん
久々にその名前を聞いたなぁ
私がゲイであることをすんなり受け入れられたのは兼悟さんのおかげだったなぁ
それと同時に世界は普遍的であると知った
あれは小学生の時
1つ年上で兼悟さんは転校してきた
図書委員で一緒になり
好きな本が同じで話が弾み仲良くなった
その本の登場人物で誰が好きかと聞かれ
主人公の相棒の男の子の名前を言った
同じだと兼悟さんは笑った
表紙には主人公と左にヒロイン
右に相棒がいた
金髪で魔法が使えるかっこいい男の子
「でも、柚鈴くんとは違う好きかもしれないなぁ」
と兼悟さんは表紙を見ながら言った
兼悟さんは
僕にだけ男の子が好きと教えてくれた
びっくりした僕の顔を見て
くすりと笑い
病気じゃないよ、うまく言えないけど
心と体が違うんだ
そう説明してくれた
中学はまた転校して離れてしまった
中3 春の入学式
クラスの女子はかっこいい一年生がいると
騒いでいた
なんとなく見てみると
こそには祐希がいた
なんか嫌な気持ちになった
モテてたからじゃない
女の子と付き合った姿を想像して
あまりにも普遍的な光景に
隣に私が入れないのかと思ったからだ
それから祐希のことを考えて
変な気持ちで寝たからか
変な夢を見た
祐希とベットで体を交わし
マザり合っていた
感触はなくともリアルで
朝起きた時は大変だったし
学校に行く時
どんな顔で祐希を見ていいか分からず
戸惑ったがそれと同時に
好きだと自覚した
これは恋なのか変なのか
兼悟さんはあの時こう言うことを
言っていたのかと理解した
兼悟さんとは高校で奇跡の再会を果たしたが
最悪の出会い方だった
入学式 生徒会委員で兼悟さんは裏方をしていて
入学式が終わって放課後に会場に行ったら
道具を片付けていると教えてもらい
倉庫への行き方を教えてもらい向かった
「離せ!」
倉庫から兼悟さんの怒鳴る声がかすかに聞こえた
倉庫の下の鉄格子から覗く
1人を三、四人が取り囲んでいた足が見える
取り囲んでいるであろう人が
ドスと殴る音が聞こえた
そのあと何発も殴っている音が聞こえ
先生を呼びにいこうとしたが
数分後男たちは出ていった
急いで倉庫の中へ行くと
手を縛られ目隠しされているボロボロの兼悟さんがいた
なんて汚いやつら
頭がいい学校なのに変な使い方して
見えないからバレないとでも思ったか
兼悟さんの所に駆けつけて
大丈夫かと声をかけようとした時
迷った
こんな最悪な再会は嫌だろうなぁ
手を軽く解いて
走って逃げよう!
明日、また声をかければいい
兼悟さんが驚かないように
肩を叩き
手が縛られているのを緩める
「ん?ゆうすけ?」知らない名前を兼悟さんは呼び
「また、気付かれたか…ハハハ」といった
「これ初めてじゃないの?」
こんなことをされたのにヘラヘラできる
兼悟さんにイラついた
「え?誰?」
目隠しを外してあげた
「柚鈴!?なんでここに」
「兼悟先輩 可愛い新入生の 甘井 柚鈴です」
「え、こんなのあり?」
タッタ タタタと誰かが走ってくる
バタン
勢いよくドアが開く
「兼悟!大丈夫か?」
「おい!お前誰だよ。俺の兼悟に触るな」
やばい殴られる
「ゆうすけやめてー」
当たる寸前で拳が止まる
「この子は助けてくれたの。」
そんな再会だったなぁ
後からあの街に久々に行きたいと兼悟さんが
言うから学校帰りに小学校の最寄駅に行った
中学校や高校の話を公園でしたなぁ
ゆうすけさんは恋人で中学で知り合ったらしい
兼悟さんは女子と話が合うから
誤解されやすくて
たまにああやって嫉妬されるらしい
「ちっさい男よねぇ」
と笑っていた
そして、高校卒業したら医者になるため
アメリカの大学に行くこと
本気でゆうすけさんと
結婚を考えていると言っていた
そんなこんなで高校生活を過ごしたある日
事件は起きた
兼悟さんへのいじめがエスカレートし
殴ってあたりどころが悪く
死んでしまった
葬式には祐希のお母さんに車で送ってもらった
「小学校のお友達がこんなに早く亡くなるなんてね
仲良しだったんでしょ?」
と祐希のお母さんは運転しながら話していた
私は小学校のときから今までを思い出し
涙を堪えるので必死だった
祐希はなぜか不機嫌で
家についてもなかなか歩かないから
手を引いて家に入った
周りでは
あることないことをコソコソと喋っている人でうるさい
あまり聞きたくない
祐希と焼香をするために並んだ
あと数人と言うところで
「男の子が好きだったらしいじゃない」
「「「気持ち悪いわね」」」
嫌な言葉が飛び交い
耳に刺さる
涙が込み上げる
人を好きになることがそんなに変なのか
気持ち悪いってなんなんだよ…
焼香の順番が来たが
周りがぼやけて見えにくい
棺桶には
優しく微笑む兼悟さんが眠っていた
夢があったのにこんなことで終わるなんて
ゆうすけさんが葬式に来れないのは
兼悟さんの家族が同性愛を嫌っていたこと
と兼悟さんがゆうすけさんと結婚すると
言っていて恋人であることを知っていたから…
なんでこんなにも拒まれる世界なんだろう
悔しくて悔しくて言葉が出ない
「兼悟さん…」
帰りは祐希に手を引かれ帰った
最後まで見送りたかったが
家族だけで火葬すると言われ
私も火葬まで一緒にはいさせてもらえなかった
大きな壁は重く私にのしかかり潰されそうだった
そんな私を憐れむように
帰りは雨が降っていた
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