ヤンデレ義弟に殺されるなど真っ平ごめんです

ぴぴみ

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日常編

それぞれの心の内

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アリステアは、自身の部屋のソファにゆったりと腰掛けながら思索に耽っていた。

(ローズは、踊っている時も心ここにあらずって感じだったけど…どうしたら僕に興味を持ってくれるのかな?)

真面目な顔で女のことを考えているなど、彼をよく知る他の者からしたら考えられないことだろう。

アリステアは、女性の扱いを心得てはいたが別段、女好きというわけではない。

むしろ母や妹たちの会話を聞いて育ち、女性に夢を見ることはなくなっていた。

だからこそ、ローズのことも表面上は誉めて、それでいい関係を築けるならと思っていたところもあったというのに。

これは、どういうわけだろう。

(なぜだか、彼女のことが気になる…。弟の話題だけに眼を輝かせる彼女に、どうやったら自分にもその瞳を向けさせられるのか、考えるなんて…)

彼は気づかない。それが淡い初恋の始まりだと。そして今のままでは勝ち目がまるでないということも。




ローズと別れ、フィリップはこれからのことを考えていた。

自身の痣にそっと触れる。

(これがある限り、僕は何だかんだと理由をつけられて、外の催しに参加することを止められる…いや先送りにされるだろう。これでは、姉さんの側にいられない。)

それがどうしようもない事実。

今まで何人もの高名な魔術師に見てもらってきたが、誰も彼もが匙を投げた。

「っとに…忌々しい」

フィリップが自身の顔にぎりりと爪を立てる。

今まで誰もが眼を背け、厭い、侮蔑も露に見てきたもの。

ローズがいなかったら、その悪意にきっと押し潰されてしまっていたことだろう。

彼は姉のことを考え、歯形がついた指を思い出し、思わず黒く微笑む。

(痛そうな姉さんには悪いと思ったけど、自分の跡が残っているっていうのは気分がいいもんだな)

彼の笑みを見た者は誰もいない。



フィリップに噛まれた指を見つめて、私は深いため息をついていた。

(推しが何をしてきても許せるというのは問題ね。私はフィルを立派に育てることができるのかしら…?)

気分は立派な母親である。

そんな彼女の心の内で、本来のローズが言う。

『私にいつか身体を返してくれるんでしょう?うじうじしていないで、フィリップに怒るべき時は強い態度でいなさいよ』

「分かってるけど…」

彼女の言うことはもっともだ。ただそれと、できるかは別問題というか…。

夢での邂逅以来、時たま現実世界でも会話できるようになった彼女たち。

お互いを認識したからか、身体の調子も悪くない。

(フィルを立派に育て上げて、オーロラと幸せになるのを見届けたら華麗に退場してみせる…!)

決意を新たに私は微笑むのだった。
胸の内で燻る想いには蓋をして…。
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