2 / 8
1
しおりを挟む
「本当に、大丈夫かな?」
結婚式に出席する前には打ち合わせが必要だ。私は、数ある中から、【お客様のご要望に誠実にお応えします】という誘い文句に惹かれて、評価の高い一つのサイトを選んだ。
写真から清潔感のある黒髪短髪のイケメンを選び、メールでやり取りをする。
そして、ついに今日ここで会う予定となっているわけだが…。
危ない男が来たらどうしよう。今思うと、登録されてる男性が皆妖艶すぎたような…。
不安は募る。しかし、性格的にドタキャンは論外だ。
ミクルは覚悟を決めた。
「待たせたな」
待ち合わせの時計塔の下で、グジグジと考え込んでいると、突然の美声が鼓膜を震わせた。
振り向き仰ぎ見ると、そこにいたのは写真そのままのイケメン。まずは、それにほっとして向き合った。
「ううん。今日はよろしくお願いします」
「…ああ」
どことなく不機嫌そうな様子に面食らう。愛想が良すぎるのも疲れるが、これは…と思いかけたところで手を引かれた。
「店に入るぞ」
そういえば、打ち合わせで近くのカフェに行くことは決まっていた。強引だとは思ったが、私はとりあえずついていくことにしたのだった。
落ち着いた雰囲気の店内には珈琲の匂いが漂っている。人も疎らで、これなら詳しい事情も話しやすそうだ。
注文した飲み物が置かれ、一息ついたところで私は口を開いた。
「お金は始めに渡せばいいですか?」
「いや、それは後でいい」
そこで会話は終わってしまう。
今後の計画に一抹の不安を抱いたところで、男─狐田さんが紫がかった黒い瞳でじっと見つめてきて言った。
「不毛じゃないか…?」
「あなたに関係あります?」
反射的に言葉が出た。
これはチェンジも…と渡す予定のお金を天秤にかけて考える。
どうなるにしろ、黙ってはいられなかった。
「見栄を張っても意味がないとか…そういう
お説教なら結構です。同情してもらおうとも思ってません。そもそも、一度了承しておいて─」
そこまで言いかけたところで、異変に気づく。
「は?」
男の頭上に黒い獣耳が出現し、しょぼんと垂れていた。
結婚式に出席する前には打ち合わせが必要だ。私は、数ある中から、【お客様のご要望に誠実にお応えします】という誘い文句に惹かれて、評価の高い一つのサイトを選んだ。
写真から清潔感のある黒髪短髪のイケメンを選び、メールでやり取りをする。
そして、ついに今日ここで会う予定となっているわけだが…。
危ない男が来たらどうしよう。今思うと、登録されてる男性が皆妖艶すぎたような…。
不安は募る。しかし、性格的にドタキャンは論外だ。
ミクルは覚悟を決めた。
「待たせたな」
待ち合わせの時計塔の下で、グジグジと考え込んでいると、突然の美声が鼓膜を震わせた。
振り向き仰ぎ見ると、そこにいたのは写真そのままのイケメン。まずは、それにほっとして向き合った。
「ううん。今日はよろしくお願いします」
「…ああ」
どことなく不機嫌そうな様子に面食らう。愛想が良すぎるのも疲れるが、これは…と思いかけたところで手を引かれた。
「店に入るぞ」
そういえば、打ち合わせで近くのカフェに行くことは決まっていた。強引だとは思ったが、私はとりあえずついていくことにしたのだった。
落ち着いた雰囲気の店内には珈琲の匂いが漂っている。人も疎らで、これなら詳しい事情も話しやすそうだ。
注文した飲み物が置かれ、一息ついたところで私は口を開いた。
「お金は始めに渡せばいいですか?」
「いや、それは後でいい」
そこで会話は終わってしまう。
今後の計画に一抹の不安を抱いたところで、男─狐田さんが紫がかった黒い瞳でじっと見つめてきて言った。
「不毛じゃないか…?」
「あなたに関係あります?」
反射的に言葉が出た。
これはチェンジも…と渡す予定のお金を天秤にかけて考える。
どうなるにしろ、黙ってはいられなかった。
「見栄を張っても意味がないとか…そういう
お説教なら結構です。同情してもらおうとも思ってません。そもそも、一度了承しておいて─」
そこまで言いかけたところで、異変に気づく。
「は?」
男の頭上に黒い獣耳が出現し、しょぼんと垂れていた。
1
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
俺の可愛い幼馴染
SHIN
恋愛
俺に微笑みかける少女の後ろで、泣きそうな顔でこちらを見ているのは、可愛い可愛い幼馴染。
ある日二人だけの秘密の場所で彼女に告げられたのは……。
連載の気分転換に執筆しているので鈍いです。おおらかな気分で読んでくれると嬉しいです。
感想もご自由にどうぞ。
ただし、作者は木綿豆腐メンタルです。
旦那様、愛人を作ってもいいですか?
ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。
「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」
これ、旦那様から、初夜での言葉です。
んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと?
’18/10/21…おまけ小話追加
【完結】たぶん私本物の聖女じゃないと思うので王子もこの座もお任せしますね聖女様!
貝瀬汀
恋愛
ここ最近。教会に毎日のようにやってくる公爵令嬢に、いちゃもんをつけられて参っている聖女、フレイ・シャハレル。ついに彼女の我慢は限界に達し、それならばと一計を案じる……。ショートショート。※題名を少し変更いたしました。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
婚約破棄ですか?あなたは誰に向かって口をきいているのですか!?
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私、マリアンヌ・バークレーは王宮の誕生日パーティーでいきなり婚約破棄を言い渡された。は!?婚約破棄ですか?あなたは誰ですの?誰にモノを言っているのですか?頭大丈夫ですか?
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる