君といるのは疲れると言われたので、婚約者を追いかけるのはやめてみました

水谷繭

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2.お姉様とその婚約者と

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 私の名前はメイベル・ホワイト。

 先日ブラッド様との婚約を解消してしまったけれど、今日も元気にラネル魔術院に通って魔法を学んでいる。

 魔術院に到着し、教室でわくわくしながら魔導書を読んでいたら、同じ魔術院の生徒のレナード様に声をかけられた。

「メイベルさん、学園長先生が呼んでたよ」

「え? 学園長先生?」

「うん。僕とメイベルさんに用事があるんだって。なんだろうね」

 レナード様は不思議そうな顔で言う。

 私も首を傾げてしまった。

 学園長先生が私とレナード様に用事なんて一体何事だろう。

 私だけならともかくレナード様も一緒なので、お説教とかではないと思うけれど。

 私は不思議に思いながらもレナード様と学園長先生のいる部屋まで向かった。


 お部屋に着くと、学園長先生が厳めしい顔をして待っていた。

「レナード・ラスウェル君に、メイベル・ホワイト君。よく来てくれた」

 学園長室の大きな机の前に座った先生は、顎の下で手を組みながら言う。

 鋭い眼光に、厳しく引き結ばれた唇。学園長先生はいつ見てもまるで軍人みたいなオーラを放っている。

 実際、ラネル魔術院を創設する前は魔法省の戦闘部隊で軍人のようなことをしていたらしい。


「学園長先生、僕たちに用事とはなんですか?」

 レナード様が学園長先生に向かって尋ねる。

 先生は表情を変えないまま答えた。

「実は、魔法演習場で魔獣が大量に出現して困っているようでな」

「魔法演習場にですか」

 レナード様は驚いた顔をしていた。

 私もあのいかにも平和な雰囲気な場所に、と少しびっくりしてしまった。

 魔法演習場は、王都の西にある大きな公園のような場所だ。広大な敷地に人々が自由に出入りできるようになっており、魔法の練習も自由に行える。

 家の敷地内に広いスペースがなくても魔法の訓練ができるので、特に一般市民から大変重宝されている。

 私もうちのお屋敷で魔法の練習をするのはあまりいい顔をされないので、何度か利用させてもらったことがある。

 訪れた際は、緑がいっぱいで、休日になると人々の笑い声で賑やかになって、大変平和な場所という印象だった。

 あの長閑な場所に魔獣が大量に出現しているのか。

 学園長先生は真面目な顔でうなずいた。


「ああ。敷地内に狼型の魔獣が大量に入り込んできて利用者が近づきにくくなっているらしいんだ」

「それは大変ですね……」

「演習場の所有者に何とかしてほしいと頼まれたんだが、私は今国王陛下に頼まれた仕事で立て込んでいてな」

 学園長先生は険しい顔で言う。それから私とレナード様の顔を順番に見て言った。


「そこで、魔術院でも特に成績優秀な君たち二人に退治してきてもらえないだろうか」

「僕たちがですか?」

「ま、魔獣を退治するんですか?」

 私とレナード様は揃って声を上げた。学園長先生は表情を変えないままうなずく。
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