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紺ちゃんが帰って、一〇分くらいでオーナーが出てきた。女と入って行って大体二時間。シャワーと合わせてちょうど一回、軽くセックスができるくらいの時間。
ヘアワックスを洗い流したさらさらの髪。下ろすと少し長いと思うくらいの前髪は、上げてる時より彼を若く見せる。
オーナーはさっきよりも緩く着たシャツのポケットから、煙草を取り出す。
「俺も欲しい」
俺はもう煙草を買っていなかった。代わりに、オーナーが煙草を吸う時だけ、彼にねだるようになった。彼の香水の匂いがほんのり染みついた煙草じゃないと、吸えなかった。
そうすると、オーナーは煙草が切れそうになっても、今日みたいに、一本だけは必ず俺のために残してくれるようになった。
俺はパッケージごと渡された最後の一本を咥えて、オーナーが新しい箱のビニールを切るのを見つめる。パカパカ箱みたいに開けられるやつもあるのに、彼はいつも破る方を買っていた。
オーナーは銀紙を破って、取り出し口を作る。反対側の破ってない方の銀紙を指先でトントン叩くと、中の煙草が、付け根を撫でられた猫の尻尾みたいに真っ直ぐ上がってくる。
彼はその一本をつまんで引き抜く。それからテーブルの上で数回、とんとん、フィルターを軽く叩き付ける。
煙草を挟む細い指。でも爪先とか関節とかはしっかりしてて、男らしい。薬指に指輪の跡はない。彼は、誰の所有物でもない。爪はいつも短くて清潔。女を抱くためかな。男もいけるんじゃないか。ガタイも良いし、モテそう。
ああでもマゾなんだっけ。この人が誰かに抱かれるのは、ちょっと嫌だな。誰かの腕の中で愛されるのは嫌だ。
喘ぐのが意外だなんて云われるから、サドを演じてる、なんて云ってたけど。でも本当は、単に吊り合う相手がいなかっただけじゃないの?
だって完璧。こんなに理想的。どうやって歳を取ったんだろう。不思議。
少し乾燥した薄い唇が、煙草を咥える。この時間になって薄っすら見えてきた髭が、隙になって可愛いな、と思った。ちょっと疲れてる。ぼんやりしてる。眠そうな顔。可愛い。
オーナーがジッポに手を伸ばす。その前に、俺は冷たい銀のそれを、とん、と指で押さえる。
「ヤダ。俺がつけたい」
蜘蛛が、俺の頬のところまで上ってきた。二人きりになると、こいつは分かり易く尻尾を振る。
臆病で、忠実。俺は、こう見られてるんだろうか。
オーナーは片眉を上げて、驚いたような顔をしてみせた。思わず頬が緩む。
嘘吐き。本当は、全く動じてなんかないくせに。
狡い大人だ。全部冷静に見てるんだ。どうせ俺の思ってることも知ってるし、それでいて気付かない振りして、傍に置く。ホント悪趣味。オーナーの本当の顔は、どこにあるんだろう。
鯨の絵の入ったジッポで、俺は咥えた煙草に火を点ける。ジジ、と葉が燃える微かな音。口に入った煙を、唇の端から吐く。炭と、香水の匂い。微かなオーナーの味。
それから、そう、ちょうど女がテーブル越しにキスをねだるように、カウンターに手をついて身を乗り出す。
『悪い子』。
俺はいつも、そうしてくる女にはそう云っていた。もう名前も覚えてないけど、そう云うとあいつら、照れたように笑うんだ。変なの。全然褒めたわけじゃないのに。
「良い子だね」
だけどオーナーは、そう云ってくれる。そっちの方が嬉しいのを知っている。
オーナーのまつ毛がすっと下りる。赤い火に、自分の咥える先っぽを押し付けて、息を吸う。煙草二本分の距離。俺が吸った息で点いた火を、その熱を、オーナーが吸う。
へえ。キスをする時、この人はこんな顔をするんだ。仮面みたい。凄く整っていて綺麗。でも不思議と印象に残りにくい顔だ。綺麗過ぎて、掴みにくい。
すくうように、くっ、とオーナーの煙草の先が上がる。火が点いたのを見せつけるように。それから呆気なく、顔を離す。
「それもビジネス?」
訊ねる。返事の代わりに、オーナーは眉を上げて、視線を寄越した。
「俺を喜ばせてくれる。オーナー、客の席にいても、俺にご奉仕してるの?」
奥歯で一度煙を噛むようにしてから、オーナーはゆっくり煙を吐いた。その 一瞬だけ見える、道化師の虚無みたいに無感情な彼の顔って、凄くゾクゾクする。優しくないオーナーの顔。人殺しみたいな顔。可視化された嘘みたいに、細く囁くように吹き出される煙。
とん、とガラスの灰皿を、俺と自分の間に移動させて、オーナーは微笑む。そうやって彼は、彼の中の冷たい殺人者を圧し殺す。
「喜んでいるなら、それは単に相性が良いってことだろう。私は、対価の発生しないビジネスはしない」
「じゃあ、俺と一之瀬涼、どっちが相性良い? どっちが綺麗? どっちが可愛い? どっちが好き?」
ふ、と鼻先で息を吐くようにオーナーが笑う。
「君は、知りもしない相手と何を張り合っているの?」
「俺は、」
身を乗り出すと、煙が目にしみた。涙が滲む。痛い。煙が目に刺さらないように、急いで煙草を外す。そこでうっかり吸い込んだ煙が、喉に引っ掛かった。むせるような咳。
一人だけメトロノームの速度を速めたみたいに動く俺を、オーナーは子猫を見つめるみたいな顔で眺めている。
「そうだな。私と君は相性が良くて、綺麗なのは一之瀬。可愛いのはどちらもだ。好みで云えば、断然君だろうね。私は、好きか嫌いかで云えば、一之瀬のことは嫌いだ。でも、愛しているか憎んでいるかで云えば、彼のことは愛している」
「恋人なの?」
「まさか。キスもセックスもしたことがなくて、愛の言葉を囁いたことも、告白をしたこともない。だが、確かに他人同士の俺たちには、相互的な愛情があった。彼は俺を、『友達』と呼んでいたが」
俺は、きゅっと眉を寄せて、煙草を口の端に引っ掛ける。違和感。なんか。
「ねえ、それ、誰の話?」
「うん? 一之瀬だろう?」
「違うよ。もう片方の、その」
あ、隠れる。
思わず手を伸ばす。目を見張って、オーナーがぱっと口から煙草を離した。その顔を掴む。オーナーの瞳を覗き込む。だけどもう、そいつは隠れてしまった。
たまに一瞬だけ見える、オーナーとは違う人間。別の人格っていうか、本当に、別の人間みたいな奴。
俺の咥えた煙草の先から、灰が落ちる。それが、俺の左手の甲に落ちて、軽く焼いた。
「……倫?」
右手の内側に、彼の息が当たる。俺の名前を含んだ吐息。蜘蛛がその掌に走る。貪欲な奴。無機物のくせに。奪われる心も持っていないくせに。
「オーナーの内側にいる亡霊は、誰?」
あ。
今。うん。今の、そうだ。
オーナーが目を見張る。でも、片眉が上がらなかった。慌てて手を離す。へえ。
本当に驚いた時、この人はこんな顔するんだ。
ヘアワックスを洗い流したさらさらの髪。下ろすと少し長いと思うくらいの前髪は、上げてる時より彼を若く見せる。
オーナーはさっきよりも緩く着たシャツのポケットから、煙草を取り出す。
「俺も欲しい」
俺はもう煙草を買っていなかった。代わりに、オーナーが煙草を吸う時だけ、彼にねだるようになった。彼の香水の匂いがほんのり染みついた煙草じゃないと、吸えなかった。
そうすると、オーナーは煙草が切れそうになっても、今日みたいに、一本だけは必ず俺のために残してくれるようになった。
俺はパッケージごと渡された最後の一本を咥えて、オーナーが新しい箱のビニールを切るのを見つめる。パカパカ箱みたいに開けられるやつもあるのに、彼はいつも破る方を買っていた。
オーナーは銀紙を破って、取り出し口を作る。反対側の破ってない方の銀紙を指先でトントン叩くと、中の煙草が、付け根を撫でられた猫の尻尾みたいに真っ直ぐ上がってくる。
彼はその一本をつまんで引き抜く。それからテーブルの上で数回、とんとん、フィルターを軽く叩き付ける。
煙草を挟む細い指。でも爪先とか関節とかはしっかりしてて、男らしい。薬指に指輪の跡はない。彼は、誰の所有物でもない。爪はいつも短くて清潔。女を抱くためかな。男もいけるんじゃないか。ガタイも良いし、モテそう。
ああでもマゾなんだっけ。この人が誰かに抱かれるのは、ちょっと嫌だな。誰かの腕の中で愛されるのは嫌だ。
喘ぐのが意外だなんて云われるから、サドを演じてる、なんて云ってたけど。でも本当は、単に吊り合う相手がいなかっただけじゃないの?
だって完璧。こんなに理想的。どうやって歳を取ったんだろう。不思議。
少し乾燥した薄い唇が、煙草を咥える。この時間になって薄っすら見えてきた髭が、隙になって可愛いな、と思った。ちょっと疲れてる。ぼんやりしてる。眠そうな顔。可愛い。
オーナーがジッポに手を伸ばす。その前に、俺は冷たい銀のそれを、とん、と指で押さえる。
「ヤダ。俺がつけたい」
蜘蛛が、俺の頬のところまで上ってきた。二人きりになると、こいつは分かり易く尻尾を振る。
臆病で、忠実。俺は、こう見られてるんだろうか。
オーナーは片眉を上げて、驚いたような顔をしてみせた。思わず頬が緩む。
嘘吐き。本当は、全く動じてなんかないくせに。
狡い大人だ。全部冷静に見てるんだ。どうせ俺の思ってることも知ってるし、それでいて気付かない振りして、傍に置く。ホント悪趣味。オーナーの本当の顔は、どこにあるんだろう。
鯨の絵の入ったジッポで、俺は咥えた煙草に火を点ける。ジジ、と葉が燃える微かな音。口に入った煙を、唇の端から吐く。炭と、香水の匂い。微かなオーナーの味。
それから、そう、ちょうど女がテーブル越しにキスをねだるように、カウンターに手をついて身を乗り出す。
『悪い子』。
俺はいつも、そうしてくる女にはそう云っていた。もう名前も覚えてないけど、そう云うとあいつら、照れたように笑うんだ。変なの。全然褒めたわけじゃないのに。
「良い子だね」
だけどオーナーは、そう云ってくれる。そっちの方が嬉しいのを知っている。
オーナーのまつ毛がすっと下りる。赤い火に、自分の咥える先っぽを押し付けて、息を吸う。煙草二本分の距離。俺が吸った息で点いた火を、その熱を、オーナーが吸う。
へえ。キスをする時、この人はこんな顔をするんだ。仮面みたい。凄く整っていて綺麗。でも不思議と印象に残りにくい顔だ。綺麗過ぎて、掴みにくい。
すくうように、くっ、とオーナーの煙草の先が上がる。火が点いたのを見せつけるように。それから呆気なく、顔を離す。
「それもビジネス?」
訊ねる。返事の代わりに、オーナーは眉を上げて、視線を寄越した。
「俺を喜ばせてくれる。オーナー、客の席にいても、俺にご奉仕してるの?」
奥歯で一度煙を噛むようにしてから、オーナーはゆっくり煙を吐いた。その 一瞬だけ見える、道化師の虚無みたいに無感情な彼の顔って、凄くゾクゾクする。優しくないオーナーの顔。人殺しみたいな顔。可視化された嘘みたいに、細く囁くように吹き出される煙。
とん、とガラスの灰皿を、俺と自分の間に移動させて、オーナーは微笑む。そうやって彼は、彼の中の冷たい殺人者を圧し殺す。
「喜んでいるなら、それは単に相性が良いってことだろう。私は、対価の発生しないビジネスはしない」
「じゃあ、俺と一之瀬涼、どっちが相性良い? どっちが綺麗? どっちが可愛い? どっちが好き?」
ふ、と鼻先で息を吐くようにオーナーが笑う。
「君は、知りもしない相手と何を張り合っているの?」
「俺は、」
身を乗り出すと、煙が目にしみた。涙が滲む。痛い。煙が目に刺さらないように、急いで煙草を外す。そこでうっかり吸い込んだ煙が、喉に引っ掛かった。むせるような咳。
一人だけメトロノームの速度を速めたみたいに動く俺を、オーナーは子猫を見つめるみたいな顔で眺めている。
「そうだな。私と君は相性が良くて、綺麗なのは一之瀬。可愛いのはどちらもだ。好みで云えば、断然君だろうね。私は、好きか嫌いかで云えば、一之瀬のことは嫌いだ。でも、愛しているか憎んでいるかで云えば、彼のことは愛している」
「恋人なの?」
「まさか。キスもセックスもしたことがなくて、愛の言葉を囁いたことも、告白をしたこともない。だが、確かに他人同士の俺たちには、相互的な愛情があった。彼は俺を、『友達』と呼んでいたが」
俺は、きゅっと眉を寄せて、煙草を口の端に引っ掛ける。違和感。なんか。
「ねえ、それ、誰の話?」
「うん? 一之瀬だろう?」
「違うよ。もう片方の、その」
あ、隠れる。
思わず手を伸ばす。目を見張って、オーナーがぱっと口から煙草を離した。その顔を掴む。オーナーの瞳を覗き込む。だけどもう、そいつは隠れてしまった。
たまに一瞬だけ見える、オーナーとは違う人間。別の人格っていうか、本当に、別の人間みたいな奴。
俺の咥えた煙草の先から、灰が落ちる。それが、俺の左手の甲に落ちて、軽く焼いた。
「……倫?」
右手の内側に、彼の息が当たる。俺の名前を含んだ吐息。蜘蛛がその掌に走る。貪欲な奴。無機物のくせに。奪われる心も持っていないくせに。
「オーナーの内側にいる亡霊は、誰?」
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