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ひらめいた!
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「ルーファス。私の為に怒ってくれている気持ちは嬉しい。でもね、花瓶が落ちるような力を人にあてちゃダメだよ。頭がもげるからね?」
言い聞かせるように、私はルーファスに言った。
「大丈夫だよ、ララ。さすがに、そこまではしないから」
あ、冗談だったんだね、よかった! と思った瞬間、
「頭が落ちない程度にあててみる」
と、ルーファス。
「いや、ちょっと、ルーファス! それもダメだから!」
「そうかな? ララを侮辱したことに比べると、僕の威圧を直撃させるくらい、どうってことないよね?」
そう言って、美しく微笑んだルーファス。
いや、どうってことあるよ! ありまくりだけど!?
が、王女様に視線を戻したルーファスの目は、的を狙うように鋭く細められている。
ダメだ!
このままでは天使ルーファスが闇に落ちてしまう!
どうしたら止められる!? ……あ、ひらめいた!
私は、すぐさま席を立ち、ルーファスの後ろにまわった。
背後から、ルーファスの目を両手でおさえて見えないようにした。
ルーファスは一瞬、びくっとしたけれど、私の手をはずそうとはしない。
隣に座っているレーナおばさまが不思議そうに聞いてきた。
「……ララちゃん? それは、何をしているの……?」
「目隠しです!」
「目隠し……。確かに、そうみたいね……。でも、なんでかしら……?」
「ルーファスの威圧の力を発動させないためです。多分、目から力がでてると思ったから。手でかくしてしまえば、ターゲットが見えないから大丈夫だと思って……。どんな理由があろうと、ルーファスに人を傷つけてもらいたくはないんです。そんなことをして一番傷つくのは、心が天使のルーファスだから!」
「心が天使って……ララちゃん。ルーファスを美化しすぎよ……」
と、レーナおばさま。
「いえ、レーナおばさま。美化どころか、ルーファスはいいところだらけで、言葉では全然言い表せないから、一番近い『天使』という言葉にまとめてるんです!」
「ララちゃん……。残念ながら、ルーファスは一番近いどころか、天使からとっても遠いと思うわ……」
申し訳なさそうにそう言ったレーナおばさま。
レーナおばさまは、ルーファスが息子だから、厳しく見てるのかな。
まあ、私にとったら、ルーファスに悪いところなんてひとつもないけど。
そういえば、レーナおばさま自身もとっても優しくて、素敵で、女神様みたいだしね。
まさに女神と天使の親子だよね。
なんて考えていると、
「ララ、ありがとう。僕のことをよく見てくれていて、嬉しい。ララの言うとおり、僕は目で威圧できる。どうしてわかったの?」
私に目隠しをされたままのルーファスが聞いてきた。
「ルーファスの瞳が違って見えたから」
「僕の瞳が違ってた……?」
「うん。私、ルーファスのサファイア色の瞳が大好きだから。小さい時からよーく見てる。自分の目より、違いがわかる自信があるんだよね」
と、つい、本人にむかって自慢してしまう。
「嬉しい……ララ」
そうつぶやくと、ルーファスは目隠しをしている私の両手に、自分の手を重ねてきた。
そして、何故か、私の両手をなではじめるルーファス。
とりあえず、そのまま目隠しをしていたけれど……この状態、おかしくない?
そう思った時、レーナおばさまやメイドさんたちの生暖かい視線に気がついた。
一気に恥ずかしくなり、ルーファスの目から両手をはずした。
見上げるようにふりかえったルーファスは私に向かって、とろけるように微笑んだ。
良かった、もう大丈夫だ……。
だって、ルーファスのサファイア色の瞳はきらきらと輝き、いつもの澄んだ、あたたかい瞳に戻ってるから。
「ララちゃんのこととなると、ルーファスはすぐに暴走するけれど、その暴走を止められるのも、ララちゃんだけってことね。こんな厄介な子のそばにいてくれるララちゃんこそが天使だわ……」
と、つぶやいたレーナおばさま。
その時、
「変な場面を見せられて、のどが渇いたわ。新しいお茶を淹れてくださる?」
と、きつい声が聞こえた。
もちろん王女様だ。
やけに私をにらんでいるけれど、王女様の頭がもげるのを止めたのは私なんだけど……。
「あ、俺にも淹れてくれ。ルーファスの威圧なんて、どうでもいいものを見せられて気分が悪いからな」
と、第二王子。
花瓶が割れたあとは気配を消すくらい黙ってたのに、今は、ルーファスを憎々しげに見ている。
が、すぐに、ロイスさんに視線を向けた。
言い聞かせるように、私はルーファスに言った。
「大丈夫だよ、ララ。さすがに、そこまではしないから」
あ、冗談だったんだね、よかった! と思った瞬間、
「頭が落ちない程度にあててみる」
と、ルーファス。
「いや、ちょっと、ルーファス! それもダメだから!」
「そうかな? ララを侮辱したことに比べると、僕の威圧を直撃させるくらい、どうってことないよね?」
そう言って、美しく微笑んだルーファス。
いや、どうってことあるよ! ありまくりだけど!?
が、王女様に視線を戻したルーファスの目は、的を狙うように鋭く細められている。
ダメだ!
このままでは天使ルーファスが闇に落ちてしまう!
どうしたら止められる!? ……あ、ひらめいた!
私は、すぐさま席を立ち、ルーファスの後ろにまわった。
背後から、ルーファスの目を両手でおさえて見えないようにした。
ルーファスは一瞬、びくっとしたけれど、私の手をはずそうとはしない。
隣に座っているレーナおばさまが不思議そうに聞いてきた。
「……ララちゃん? それは、何をしているの……?」
「目隠しです!」
「目隠し……。確かに、そうみたいね……。でも、なんでかしら……?」
「ルーファスの威圧の力を発動させないためです。多分、目から力がでてると思ったから。手でかくしてしまえば、ターゲットが見えないから大丈夫だと思って……。どんな理由があろうと、ルーファスに人を傷つけてもらいたくはないんです。そんなことをして一番傷つくのは、心が天使のルーファスだから!」
「心が天使って……ララちゃん。ルーファスを美化しすぎよ……」
と、レーナおばさま。
「いえ、レーナおばさま。美化どころか、ルーファスはいいところだらけで、言葉では全然言い表せないから、一番近い『天使』という言葉にまとめてるんです!」
「ララちゃん……。残念ながら、ルーファスは一番近いどころか、天使からとっても遠いと思うわ……」
申し訳なさそうにそう言ったレーナおばさま。
レーナおばさまは、ルーファスが息子だから、厳しく見てるのかな。
まあ、私にとったら、ルーファスに悪いところなんてひとつもないけど。
そういえば、レーナおばさま自身もとっても優しくて、素敵で、女神様みたいだしね。
まさに女神と天使の親子だよね。
なんて考えていると、
「ララ、ありがとう。僕のことをよく見てくれていて、嬉しい。ララの言うとおり、僕は目で威圧できる。どうしてわかったの?」
私に目隠しをされたままのルーファスが聞いてきた。
「ルーファスの瞳が違って見えたから」
「僕の瞳が違ってた……?」
「うん。私、ルーファスのサファイア色の瞳が大好きだから。小さい時からよーく見てる。自分の目より、違いがわかる自信があるんだよね」
と、つい、本人にむかって自慢してしまう。
「嬉しい……ララ」
そうつぶやくと、ルーファスは目隠しをしている私の両手に、自分の手を重ねてきた。
そして、何故か、私の両手をなではじめるルーファス。
とりあえず、そのまま目隠しをしていたけれど……この状態、おかしくない?
そう思った時、レーナおばさまやメイドさんたちの生暖かい視線に気がついた。
一気に恥ずかしくなり、ルーファスの目から両手をはずした。
見上げるようにふりかえったルーファスは私に向かって、とろけるように微笑んだ。
良かった、もう大丈夫だ……。
だって、ルーファスのサファイア色の瞳はきらきらと輝き、いつもの澄んだ、あたたかい瞳に戻ってるから。
「ララちゃんのこととなると、ルーファスはすぐに暴走するけれど、その暴走を止められるのも、ララちゃんだけってことね。こんな厄介な子のそばにいてくれるララちゃんこそが天使だわ……」
と、つぶやいたレーナおばさま。
その時、
「変な場面を見せられて、のどが渇いたわ。新しいお茶を淹れてくださる?」
と、きつい声が聞こえた。
もちろん王女様だ。
やけに私をにらんでいるけれど、王女様の頭がもげるのを止めたのは私なんだけど……。
「あ、俺にも淹れてくれ。ルーファスの威圧なんて、どうでもいいものを見せられて気分が悪いからな」
と、第二王子。
花瓶が割れたあとは気配を消すくらい黙ってたのに、今は、ルーファスを憎々しげに見ている。
が、すぐに、ロイスさんに視線を向けた。
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