7 / 32
質問
しおりを挟む
「ルド君に屋敷内を案内してあげなさい」
緊張するルドを見かねて、お父様が私に言った。
案内をかねて、話しをしなさいということだろう。
まあ、ほぼ初対面で、お互いのことは何も知らないしね。
応接室をでると、私の後ろにぴったりとついてくるルド。
私も背は高くはないけれど、その私とあまり変わらないくらいの身長。
しかも、押したら倒れそうなほど華奢だ。
真っ白な肌に、少したれた大きな目。
女の子みたいな、かわいらしい顔をしている。
しかも、歩いていると、くせ毛の赤い髪の毛がふわふわと揺れ動く。
なんというか、かよわそうな小動物に懐かれてしまった感じ…。
私が守らねばと、騎士精神がむくむくわいてくる。
屋敷の中を歩きながら、ルドにひとつめの質問をなげかける。
「ルドは、いくつなの? あ、私は13歳ね」
「ぼくは、16歳です…」
恥ずかしそうに答えるルド。
「ええ?! ほんとに?!」
なんと、私よりも3歳も年上だった。
しかも、16歳ってアール兄様と同じ年!
なにからなにまで、まるで違う。うん、信じられない…。
とりあえず、気をとりなおして次の質問。
「得意なことと、苦手なことは何?」
「ええと、…得意なことは、計算です。苦手なことは、…運動です…」
うん、なるほど。そして、私とは真逆だね…。
私は立ち止まって、ルドを真正面から見た。
「あのね、私は騎士を目指してるから、学園以外は、だいたい、剣の稽古をしてるの。だから、従者になってもらっても、ほぼルドの苦手な運動の場面ばっかり見ることになるよ? それでも大丈夫? 商会のお仕事をしていたほうが向いてそうなんだけど…」
すると、あわてて、ルドが頭を横にふった。
「自分が運動するのは苦手だから、剣のお相手はできませんが、マチルダ様の剣のお稽古は見たいです! 快適に励んでいただけるように、精一杯、お手伝いさせていただきます! だから、従者として、お傍においてください…。お願いします…」
そう言って、私を見る目が、またうるんでいる。
そんな顔をされたら、本当に断れない…。
「はあ…、ルドがそれでいいのなら…」
「はいっ! ありがとうございます、マチルダ様!」
と、いいお返事が返ってきた。
じゃあ次は、一番、気になっていることを聞いてみよう。
「さっき、ルドのお父様が、ルドは事情があって、人を怖がるって言ってたよね? その事情って、教えてもらえたりする? ほら、私って、あまり気を使えるタイプじゃないから、知らないうちに、ルドの嫌がることをしたら悪いし。知っていれば、気をつけられるかなあって…。あ、でも、話したくなかったら、いいんだけど」
すると、ルドは首を横に振った。
「いえ、大丈夫です。 話したくないわけじゃないんです。ただ、ぼくの事情は変わってて…。信じてもらえるかどうかわかりませんが、言います…。…あの、ぼく、人に見えないものが見えるんです」
「人に見えないもの…。あっ、まさか、幽霊?!」
思わず、ぞわっとして、体をふるわす。
「あ、いえ、違います。幽霊は見たことなくて…」
「あー、良かった! 今、背後にいます、なーんて言われたら、申し訳ないけれど、従者にするのはお断りだったかも。私ね、幽霊だけは怖いんだよね…。だから、一生見たくないし、いたとしても、存在を知らないままでいたいから」
「なら、もし幽霊がでたら、ぼく、幽霊の嫌がることを調べて、マチルダ様の近くによらないように追い払います! ぼく、人は怖いけれど、幽霊は怖くないと思うから…」
「へえ…、その時はよろしくね。…って、いや、その時は、絶対にきてほしくないけどね?!」
私があわてて言うと、ルドが、クスクスと笑った。
なんだか、笑い声もかわいい。
小動物のような感じで、庇護欲をそそられるよね…。
それにしても、やっぱり、大声で大男のアール兄様と同じ年とは思えないわ…。
なんというか、種族すら違う感じ。全く違う16年を生きてきたんだね…。
「じゃあ、幽霊じゃなかったら、ルドは何が見えるの?」
と、改めて聞いてみる。
「…色です。人がまとう色が見えるんです」
「人がまとう色?!」
「はい。それに、色をとおして、その人の気持ちが伝わってくるんです。明るい色なら嬉しそう、激しい色なら怒ってる、寂しい色なら悲しそうとか…。たとえば、顔で笑っていても、色をみると、すごく嫌がってたりとか、わかってしまうんです。顔の表情や言葉と、まとう色があわない人って結構いるから…。幼い頃、ぼくは、それで混乱して怖くなって、人に会うのを避けるようになったんです…」
「確かに、それなら怖くなると思う。知りたくないことを知ってしまうんだもんね…。あ、そうだ。じゃあ、私の色は何? 私のことは怖くないの?!」
と、聞いてみた。
「それが…、マチルダ様は、色がないんです」
「えっ?! 色がないの?! なんだか、それもびっくりだね?」
きれいな色だったら嬉しいなと思ったので、若干、がっかりしてしまう。
「うーん、色がないというより、澄みきった、透明って感じです。だから、ぼくは安心するんです。だって、マチルダ様は見たまんまの方だから」
そう言って、ルドがはじらいながら、乙女のように微笑んだ。
ん? そのまんま…?
つまり、私は、単純だってこと? いや、でも、ルドが安心するって言ったから、褒められてるんだよね?!
緊張するルドを見かねて、お父様が私に言った。
案内をかねて、話しをしなさいということだろう。
まあ、ほぼ初対面で、お互いのことは何も知らないしね。
応接室をでると、私の後ろにぴったりとついてくるルド。
私も背は高くはないけれど、その私とあまり変わらないくらいの身長。
しかも、押したら倒れそうなほど華奢だ。
真っ白な肌に、少したれた大きな目。
女の子みたいな、かわいらしい顔をしている。
しかも、歩いていると、くせ毛の赤い髪の毛がふわふわと揺れ動く。
なんというか、かよわそうな小動物に懐かれてしまった感じ…。
私が守らねばと、騎士精神がむくむくわいてくる。
屋敷の中を歩きながら、ルドにひとつめの質問をなげかける。
「ルドは、いくつなの? あ、私は13歳ね」
「ぼくは、16歳です…」
恥ずかしそうに答えるルド。
「ええ?! ほんとに?!」
なんと、私よりも3歳も年上だった。
しかも、16歳ってアール兄様と同じ年!
なにからなにまで、まるで違う。うん、信じられない…。
とりあえず、気をとりなおして次の質問。
「得意なことと、苦手なことは何?」
「ええと、…得意なことは、計算です。苦手なことは、…運動です…」
うん、なるほど。そして、私とは真逆だね…。
私は立ち止まって、ルドを真正面から見た。
「あのね、私は騎士を目指してるから、学園以外は、だいたい、剣の稽古をしてるの。だから、従者になってもらっても、ほぼルドの苦手な運動の場面ばっかり見ることになるよ? それでも大丈夫? 商会のお仕事をしていたほうが向いてそうなんだけど…」
すると、あわてて、ルドが頭を横にふった。
「自分が運動するのは苦手だから、剣のお相手はできませんが、マチルダ様の剣のお稽古は見たいです! 快適に励んでいただけるように、精一杯、お手伝いさせていただきます! だから、従者として、お傍においてください…。お願いします…」
そう言って、私を見る目が、またうるんでいる。
そんな顔をされたら、本当に断れない…。
「はあ…、ルドがそれでいいのなら…」
「はいっ! ありがとうございます、マチルダ様!」
と、いいお返事が返ってきた。
じゃあ次は、一番、気になっていることを聞いてみよう。
「さっき、ルドのお父様が、ルドは事情があって、人を怖がるって言ってたよね? その事情って、教えてもらえたりする? ほら、私って、あまり気を使えるタイプじゃないから、知らないうちに、ルドの嫌がることをしたら悪いし。知っていれば、気をつけられるかなあって…。あ、でも、話したくなかったら、いいんだけど」
すると、ルドは首を横に振った。
「いえ、大丈夫です。 話したくないわけじゃないんです。ただ、ぼくの事情は変わってて…。信じてもらえるかどうかわかりませんが、言います…。…あの、ぼく、人に見えないものが見えるんです」
「人に見えないもの…。あっ、まさか、幽霊?!」
思わず、ぞわっとして、体をふるわす。
「あ、いえ、違います。幽霊は見たことなくて…」
「あー、良かった! 今、背後にいます、なーんて言われたら、申し訳ないけれど、従者にするのはお断りだったかも。私ね、幽霊だけは怖いんだよね…。だから、一生見たくないし、いたとしても、存在を知らないままでいたいから」
「なら、もし幽霊がでたら、ぼく、幽霊の嫌がることを調べて、マチルダ様の近くによらないように追い払います! ぼく、人は怖いけれど、幽霊は怖くないと思うから…」
「へえ…、その時はよろしくね。…って、いや、その時は、絶対にきてほしくないけどね?!」
私があわてて言うと、ルドが、クスクスと笑った。
なんだか、笑い声もかわいい。
小動物のような感じで、庇護欲をそそられるよね…。
それにしても、やっぱり、大声で大男のアール兄様と同じ年とは思えないわ…。
なんというか、種族すら違う感じ。全く違う16年を生きてきたんだね…。
「じゃあ、幽霊じゃなかったら、ルドは何が見えるの?」
と、改めて聞いてみる。
「…色です。人がまとう色が見えるんです」
「人がまとう色?!」
「はい。それに、色をとおして、その人の気持ちが伝わってくるんです。明るい色なら嬉しそう、激しい色なら怒ってる、寂しい色なら悲しそうとか…。たとえば、顔で笑っていても、色をみると、すごく嫌がってたりとか、わかってしまうんです。顔の表情や言葉と、まとう色があわない人って結構いるから…。幼い頃、ぼくは、それで混乱して怖くなって、人に会うのを避けるようになったんです…」
「確かに、それなら怖くなると思う。知りたくないことを知ってしまうんだもんね…。あ、そうだ。じゃあ、私の色は何? 私のことは怖くないの?!」
と、聞いてみた。
「それが…、マチルダ様は、色がないんです」
「えっ?! 色がないの?! なんだか、それもびっくりだね?」
きれいな色だったら嬉しいなと思ったので、若干、がっかりしてしまう。
「うーん、色がないというより、澄みきった、透明って感じです。だから、ぼくは安心するんです。だって、マチルダ様は見たまんまの方だから」
そう言って、ルドがはじらいながら、乙女のように微笑んだ。
ん? そのまんま…?
つまり、私は、単純だってこと? いや、でも、ルドが安心するって言ったから、褒められてるんだよね?!
29
あなたにおすすめの小説
何年も相手にしてくれなかったのに…今更迫られても困ります
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のアンジュは、子供の頃から大好きだった幼馴染のデイビッドに5度目の婚約を申し込むものの、断られてしまう。さすがに5度目という事もあり、父親からも諦める様言われてしまった。
自分でも分かっている、もう潮時なのだと。そんな中父親から、留学の話を持ち掛けられた。環境を変えれば、気持ちも落ち着くのではないかと。
彼のいない場所に行けば、彼を忘れられるかもしれない。でも、王都から出た事のない自分が、誰も知らない異国でうまくやっていけるのか…そんな不安から、返事をする事が出来なかった。
そんな中、侯爵令嬢のラミネスから、自分とデイビッドは愛し合っている。彼が騎士団長になる事が決まった暁には、自分と婚約をする事が決まっていると聞かされたのだ。
大きなショックを受けたアンジュは、ついに留学をする事を決意。専属メイドのカリアを連れ、1人留学の先のミラージュ王国に向かったのだが…
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
【完結】『推しの騎士団長様が婚約破棄されたそうなので、私が拾ってみた。』
ぽんぽこ@3/28新作発売!!
恋愛
【完結まで執筆済み】筋肉が語る男、冷徹と噂される騎士団長レオン・バルクハルト。
――そんな彼が、ある日突然、婚約破棄されたという噂が城下に広まった。
「……えっ、それってめっちゃ美味しい展開じゃない!?」
破天荒で豪快な令嬢、ミレイア・グランシェリは思った。
重度の“筋肉フェチ”で料理上手、○○なのに自由すぎる彼女が取った行動は──まさかの自ら押しかけ!?
騎士団で巻き起こる爆笑と騒動、そして、不器用なふたりの距離は少しずつ近づいていく。
これは、筋肉を愛し、胃袋を掴み、心まで溶かす姉御ヒロインが、
推しの騎士団長を全力で幸せにするまでの、ときめきと笑いと“ざまぁ”の物語。
ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく
犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。
「絶対駄目ーー」
と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。
何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。
募集 婿入り希望者
対象外は、嫡男、後継者、王族
目指せハッピーエンド(?)!!
全23話で完結です。
この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。
溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~
紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。
ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。
邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。
「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」
そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。
お堅い公爵様に求婚されたら、溺愛生活が始まりました
群青みどり
恋愛
国に死ぬまで搾取される聖女になるのが嫌で実力を隠していたアイリスは、周囲から無能だと虐げられてきた。
どれだけ酷い目に遭おうが強い精神力で乗り越えてきたアイリスの安らぎの時間は、若き公爵のセピアが神殿に訪れた時だった。
そんなある日、セピアが敵と対峙した時にたまたま近くにいたアイリスは巻き込まれて怪我を負い、気絶してしまう。目が覚めると、顔に傷痕が残ってしまったということで、セピアと婚約を結ばれていた!
「どうか怪我を負わせた責任をとって君と結婚させてほしい」
こんな怪我、聖女の力ですぐ治せるけれど……本物の聖女だとバレたくない!
このまま正体バレして国に搾取される人生を送るか、他の方法を探して婚約破棄をするか。
婚約破棄に向けて悩むアイリスだったが、罪悪感から求婚してきたはずのセピアの溺愛っぷりがすごくて⁉︎
「ずっと、どうやってこの神殿から君を攫おうかと考えていた」
麗しの公爵様は、今日も聖女にしか見せない笑顔を浮かべる──
※タイトル変更しました
冷徹侯爵の契約妻ですが、ざまぁの準備はできています
鍛高譚
恋愛
政略結婚――それは逃れられぬ宿命。
伯爵令嬢ルシアーナは、冷徹と名高いクロウフォード侯爵ヴィクトルのもとへ“白い結婚”として嫁ぐことになる。
愛のない契約、形式だけの夫婦生活。
それで十分だと、彼女は思っていた。
しかし、侯爵家には裏社会〈黒狼〉との因縁という深い闇が潜んでいた。
襲撃、脅迫、謀略――次々と迫る危機の中で、
ルシアーナは自分がただの“飾り”で終わることを拒む。
「この結婚をわたしの“負け”で終わらせませんわ」
財務の才と冷静な洞察を武器に、彼女は黒狼との攻防に踏み込み、
やがて侯爵をも驚かせる一手を放つ。
契約から始まった関係は、いつしか互いの未来を揺るがすものへ――。
白い結婚の裏で繰り広げられる、
“ざまぁ”と逆転のラブストーリー、いま開幕。
【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る
水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。
婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。
だが――
「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」
そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。
しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。
『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』
さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。
かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。
そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。
そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。
そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。
アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。
ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる