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従者のお仕事
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翌日、学園が終わって、私は門をでた。
門の前には、迎えの馬車がずらりと並んでいる。
が、私は、そこを素通りした。
普通、貴族の子どもは馬車で学園に通うけれど、私は馬車に乗らない。
そう、走っている!
屋敷が近いこともあるけれど、もちろん、理由は体を鍛えるため。
さあ、今日も走るぞ! と、気合いを入れた時……あれ、ルド?
ルドが門の前でちょこんと待っていた。
不安げで、心細そうに立っている。
どうみても、自分より年下の少年みたいだよね……。
が、私を見たとたん、嬉しそうに近寄って来た。
「おつかれさまです、マチルダ様。お迎えにあがりました。今日からよろしくお願いいたします!」
そう言って、丁寧に頭をさげたルド。
「あ、こちらこそ、よろしく。じゃなくて、迎え……? ええと、私、いつも走って帰るんだけど?」
ルドは決意を込めたように言った。
「はい、お屋敷の方にお聞きしました。従者として、ぼくも一緒に走ります」
「え? いや、でも、ルド、走れるの……?」
どう見ても、体力がなさそうなんだけれど。
「この学園までお迎えにくるのに、実家の馬車で来ました。なので、体力は温存してあります。片道ならなんとか走れるかと……」
「そう……」
色々、つっこみどころが多すぎる。
まず、迎えにくるのに実家の馬車って……。
さすが、シュバイツ商会のご子息。従者のルドのほうが、お金持ち感がすごい。
「では、マチルダ様。おかばんをお持ちします」
ルドは、そう言って、私のほうへ両手をさしだしてきた。
「あ、いや、このバッグ、重いから」
「いえ、お荷物は従者であるぼくが持ちます」
なにやら決意をこめたような目で、私に訴えてくるルド。
まあ、無理だと思うけど、持ってみたらわかるか……。
「じゃあ、これ」
と、バッグを手渡した。
そのとたん、ずんと、ルドの両手がさがる。
「お、重い……。なんで……?」
「バッグの底に、おもりを入れてるの。せっかくバッグを持つなら、鍛えたいからね。だから、ルド。バッグは私が持つ。気を使わないで」
そう言って、ルドからバッグを取り戻す。
「そんなに努力をされているなんて、マチルダ様はやはりすごい方ですね……」
ルドが尊敬のまなざしで私を見ながら言った。
「いや、それほどでも……」
ルドのまっすぐな賞賛を受け、私の心は舞い上がる。
いつも、あまり褒められない私としては、素直に嬉しいから。
そんな舞い上がった心に水を差すかのように、
「おい、マチルダ」
と、背後から声をかけられた。
えらそうな声。
振り返らなくても、誰だかわかる。
面倒な奴がきた。
門の前には、迎えの馬車がずらりと並んでいる。
が、私は、そこを素通りした。
普通、貴族の子どもは馬車で学園に通うけれど、私は馬車に乗らない。
そう、走っている!
屋敷が近いこともあるけれど、もちろん、理由は体を鍛えるため。
さあ、今日も走るぞ! と、気合いを入れた時……あれ、ルド?
ルドが門の前でちょこんと待っていた。
不安げで、心細そうに立っている。
どうみても、自分より年下の少年みたいだよね……。
が、私を見たとたん、嬉しそうに近寄って来た。
「おつかれさまです、マチルダ様。お迎えにあがりました。今日からよろしくお願いいたします!」
そう言って、丁寧に頭をさげたルド。
「あ、こちらこそ、よろしく。じゃなくて、迎え……? ええと、私、いつも走って帰るんだけど?」
ルドは決意を込めたように言った。
「はい、お屋敷の方にお聞きしました。従者として、ぼくも一緒に走ります」
「え? いや、でも、ルド、走れるの……?」
どう見ても、体力がなさそうなんだけれど。
「この学園までお迎えにくるのに、実家の馬車で来ました。なので、体力は温存してあります。片道ならなんとか走れるかと……」
「そう……」
色々、つっこみどころが多すぎる。
まず、迎えにくるのに実家の馬車って……。
さすが、シュバイツ商会のご子息。従者のルドのほうが、お金持ち感がすごい。
「では、マチルダ様。おかばんをお持ちします」
ルドは、そう言って、私のほうへ両手をさしだしてきた。
「あ、いや、このバッグ、重いから」
「いえ、お荷物は従者であるぼくが持ちます」
なにやら決意をこめたような目で、私に訴えてくるルド。
まあ、無理だと思うけど、持ってみたらわかるか……。
「じゃあ、これ」
と、バッグを手渡した。
そのとたん、ずんと、ルドの両手がさがる。
「お、重い……。なんで……?」
「バッグの底に、おもりを入れてるの。せっかくバッグを持つなら、鍛えたいからね。だから、ルド。バッグは私が持つ。気を使わないで」
そう言って、ルドからバッグを取り戻す。
「そんなに努力をされているなんて、マチルダ様はやはりすごい方ですね……」
ルドが尊敬のまなざしで私を見ながら言った。
「いや、それほどでも……」
ルドのまっすぐな賞賛を受け、私の心は舞い上がる。
いつも、あまり褒められない私としては、素直に嬉しいから。
そんな舞い上がった心に水を差すかのように、
「おい、マチルダ」
と、背後から声をかけられた。
えらそうな声。
振り返らなくても、誰だかわかる。
面倒な奴がきた。
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