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最弱の従者
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ため息をつきながら、振り返った私。
案の定、目の前には、私を見降ろすように立っている少年がいた。
濃いブラウンの髪の毛に、グリーンの瞳。
背が高く、派手な顔立ちで、女子生徒には人気がある。
私の幼馴染で、ポッター伯爵家の嫡男ダニエルだ。
ダニエルは私より一つ上だから、学年が違う。
なので、幸い学園内でよく会うということはないんだけれど、私を見かける度、必ず、つっかかってくる。
私が一番苦手とする相手。そう、私の天敵だ!
きっかけは、子どもの頃。
私のお父様とダニエルのお父様が学園で仲が良かったらしく、ダニエルを連れて遊びに来た。
お父様から剣を習い始めていた私は、おもちゃの剣で勝負をいどみ、ダニエルをコテンパンにしてしまった。
ダニエルは号泣し、私は両親にこっぴどく叱られた。
ダニエルのお父様だけ「さすが、ブライトの娘だな」そう言いながら、大笑いしていたっけ。
そのことを根に持ってるんだろうね。
会うたびに、ダニエルはにらんでくるし、嫌味を言う。
私のことが嫌いなら、近寄ってこなければいいのに……。
「何か用? ダニエル」
「あいかわらず、態度がでかいな? 俺は伯爵家の息子だぞ? しかも年上だ」
「それが何? 嫌なら、話しかけないでよね? ルド、行こう」
そう言って、くるりと向きをかえ、走りだそうとした私。
「こら、待て!」
ダニエルが、前にまわりこんできた。そして、ルドをにらみつけて言った。
「そいつ、なんだ?」
「私の従者」
「はあ? 従者?! そんな男みたいな服を着て、馬車にも乗らない、貴族令嬢のかけらもない、がさつで脳筋のおまえに従者? そんなのいらないだろう?」
いつものように、私を馬鹿にしてくるダニエル。
言い返そうとした時、ルドがダニエルの前にたった。
ダニエルよりも背の低いルド。
若干ふるえながら、ダニエルを見上げている。
「マチルダ様はすばらしい方です! 私は望んで、従者にしていただきました! マチルダ様の従者として、今の発言は許せません! 取り消してください!」
大きな目をうるうるさせながら、ダニエルにたちむかうルド。
その姿は、大きな敵に立ち向かう、勇気ある小動物。
私のために……。
そう思うと、なんだか感動してしまうよね。
感動する私の前で、ダニエルの顔は怒りに染まっていく。
「なんだと、このチビ!」
ダニエルがルドに近づき、すごんだ。
そのとたん、ルドが「ヒイッ!」と、悲鳴をあげた。
私は、とっさに、ルドを自分のほうに引き寄せる。
「ルド、大丈夫?」
私の問いかけにも答えず、ルドはおびえた目で、ダニエルを見たままだ。
「はっ! 従者のくせに、なに、主にかばわれてるんだ? どう見たって、マチルダのほうが護衛だろ?」
悪態をつくダニエルは無視して、ルドの顔をのぞきこむと、今にも泣き出しそうな顔をしていた。
あ、そうか……!
ルドは色が見えるもんね。
ダニエルの色が、すごーく怖い色なのかも。
あり得る……。
繊細なルドに、なんてものを見せるのよ、ダニエルの奴!
ルドは私が守らなきゃ!
そう思った時、まわりがざわざわとし始めた。
人が集まってきて、みんなが、こちらを見ている。
「かわいそうに……」
「あの男の子、いじめられてるんじゃない? ほら、泣きそうだもの」
「あれ、ポッター伯爵家のダニエル様よね。自分より小さい子をいじめるなんてひどいわ」
ぼそぼそと言う声が聞こえてくる。
上からルドを睨みつけるダニエル。目をうるませて、おびえるルド。
確かに、ダニエルがいじめているみたいに見える。
ルドのか弱い少年の姿は庇護欲をそそる。
本当はダニエルよりも年上なんだけれどね……。
「ねえ、先生を呼んできたほうがいいんじゃない?」
と、声がした。
ダニエルもまわりの声が聞こえたようで、チッと舌打ちをした。
「おい、マチルダ。こんな弱い従者、何の役にもたたないぞ。即刻、クビにしろ!」
そう言い放ち、ルドをひとにらみしてから、急いで伯爵家の馬車に乗って去っていった。
私はルドに感心して言った。
「すごいね、ルド! ダニエルをあんなに簡単に撃退するなんて! いつもは、もっと、ネチネチネチネチ嫌味を言ってきて、面倒なんだけどね。ルドのおかげで助かった、ありがとう!」
「マチルダ様のお役にたてて良かったです。最弱の従者として、やれることがありますから」
そう言って、微笑むルド。
最弱の従者って……。
もしや、さっきのわざと?
ルドを見た。私を見る大きな目は澄んでいる。
うん、私の思い過ごしだ。
だって、こんな、きれいな目をしたルドが、わざとなんてするわけない!
偶然うまくいっただけだよね?
案の定、目の前には、私を見降ろすように立っている少年がいた。
濃いブラウンの髪の毛に、グリーンの瞳。
背が高く、派手な顔立ちで、女子生徒には人気がある。
私の幼馴染で、ポッター伯爵家の嫡男ダニエルだ。
ダニエルは私より一つ上だから、学年が違う。
なので、幸い学園内でよく会うということはないんだけれど、私を見かける度、必ず、つっかかってくる。
私が一番苦手とする相手。そう、私の天敵だ!
きっかけは、子どもの頃。
私のお父様とダニエルのお父様が学園で仲が良かったらしく、ダニエルを連れて遊びに来た。
お父様から剣を習い始めていた私は、おもちゃの剣で勝負をいどみ、ダニエルをコテンパンにしてしまった。
ダニエルは号泣し、私は両親にこっぴどく叱られた。
ダニエルのお父様だけ「さすが、ブライトの娘だな」そう言いながら、大笑いしていたっけ。
そのことを根に持ってるんだろうね。
会うたびに、ダニエルはにらんでくるし、嫌味を言う。
私のことが嫌いなら、近寄ってこなければいいのに……。
「何か用? ダニエル」
「あいかわらず、態度がでかいな? 俺は伯爵家の息子だぞ? しかも年上だ」
「それが何? 嫌なら、話しかけないでよね? ルド、行こう」
そう言って、くるりと向きをかえ、走りだそうとした私。
「こら、待て!」
ダニエルが、前にまわりこんできた。そして、ルドをにらみつけて言った。
「そいつ、なんだ?」
「私の従者」
「はあ? 従者?! そんな男みたいな服を着て、馬車にも乗らない、貴族令嬢のかけらもない、がさつで脳筋のおまえに従者? そんなのいらないだろう?」
いつものように、私を馬鹿にしてくるダニエル。
言い返そうとした時、ルドがダニエルの前にたった。
ダニエルよりも背の低いルド。
若干ふるえながら、ダニエルを見上げている。
「マチルダ様はすばらしい方です! 私は望んで、従者にしていただきました! マチルダ様の従者として、今の発言は許せません! 取り消してください!」
大きな目をうるうるさせながら、ダニエルにたちむかうルド。
その姿は、大きな敵に立ち向かう、勇気ある小動物。
私のために……。
そう思うと、なんだか感動してしまうよね。
感動する私の前で、ダニエルの顔は怒りに染まっていく。
「なんだと、このチビ!」
ダニエルがルドに近づき、すごんだ。
そのとたん、ルドが「ヒイッ!」と、悲鳴をあげた。
私は、とっさに、ルドを自分のほうに引き寄せる。
「ルド、大丈夫?」
私の問いかけにも答えず、ルドはおびえた目で、ダニエルを見たままだ。
「はっ! 従者のくせに、なに、主にかばわれてるんだ? どう見たって、マチルダのほうが護衛だろ?」
悪態をつくダニエルは無視して、ルドの顔をのぞきこむと、今にも泣き出しそうな顔をしていた。
あ、そうか……!
ルドは色が見えるもんね。
ダニエルの色が、すごーく怖い色なのかも。
あり得る……。
繊細なルドに、なんてものを見せるのよ、ダニエルの奴!
ルドは私が守らなきゃ!
そう思った時、まわりがざわざわとし始めた。
人が集まってきて、みんなが、こちらを見ている。
「かわいそうに……」
「あの男の子、いじめられてるんじゃない? ほら、泣きそうだもの」
「あれ、ポッター伯爵家のダニエル様よね。自分より小さい子をいじめるなんてひどいわ」
ぼそぼそと言う声が聞こえてくる。
上からルドを睨みつけるダニエル。目をうるませて、おびえるルド。
確かに、ダニエルがいじめているみたいに見える。
ルドのか弱い少年の姿は庇護欲をそそる。
本当はダニエルよりも年上なんだけれどね……。
「ねえ、先生を呼んできたほうがいいんじゃない?」
と、声がした。
ダニエルもまわりの声が聞こえたようで、チッと舌打ちをした。
「おい、マチルダ。こんな弱い従者、何の役にもたたないぞ。即刻、クビにしろ!」
そう言い放ち、ルドをひとにらみしてから、急いで伯爵家の馬車に乗って去っていった。
私はルドに感心して言った。
「すごいね、ルド! ダニエルをあんなに簡単に撃退するなんて! いつもは、もっと、ネチネチネチネチ嫌味を言ってきて、面倒なんだけどね。ルドのおかげで助かった、ありがとう!」
「マチルダ様のお役にたてて良かったです。最弱の従者として、やれることがありますから」
そう言って、微笑むルド。
最弱の従者って……。
もしや、さっきのわざと?
ルドを見た。私を見る大きな目は澄んでいる。
うん、私の思い過ごしだ。
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偶然うまくいっただけだよね?
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