20 / 32
興味はない
しおりを挟む
去年までのパーティーと何か違うと、招待客を見ながら考える…。
あっ、そうか!
いつものパーティーより、きらびやかな服を着ている人が多いんだわ!
毎年、このパーティーに来ているけれど、招待客の多くは騎士関連。
騎士の家族がメインだから、平民の人も多い。
だから、青色は身に着けているけれど、衣装自体はそれほど華やかな感じではない。
貴族ばかりのパーティーとは、そこが違う。
「今年のパーティー、やたらと着飾った人が多くない?」
と、お母様に聞いてみた。
「それがね、今日のパーティーには、珍しいことに、王太子様が参加されるの」
王太子様は、いわずとしれた、辺境伯様で王妃様で騎士団長様のご子息。
あまり、辺境には来られないようで、おみかけしたことは一度もない。
「でも、なんで、王太子様が参加されると、きらびやかな服の人が多くなるの?」
「そりゃあ、あわよくば、王太子様に見初められたいからでしょう? 王太子様には、ご婚約者様がいらっしゃらないし。だから、いつもは、このパーティーに出席しない遠方の貴族のご令嬢たちも、伝手を頼って参加しているみたいよ。あちらの華やかなご令嬢たちは、私も見たことがないもの」
と、お母様の目線の先を見ると、これでもかと着飾った御令嬢たちがいる。
辺境で見かけることがない人種だわ。
「へえ、そうなんだ…」
興味を失った私は気のない返事をする。
「マチルダ様は、王太子様に興味はないのですか?」
と、ルドが聞いてきた。
「全くないわ。弟殿下のルイス殿下なら、剣を稽古されているとお聞きしているから、腕前を見たいとは思うけれど、王太子様は剣に全く興味がないらしいし…。お母様が騎士団長様なのに、もったいないよね。…それより、できれば、今日だけは、王太子様に来てほしくなかったわ」
「え? 何故ですか?」
驚いたように聞く、ルド。
「だって、いつもより、王太子様目当てで人が増えてるってことよね? 新人騎士の紹介があるから、ただでさえ緊張してるのに。人が多いともっと緊張するじゃない…」
ぶちぶち文句を言う私。
「やっぱり、お嬢は変わってるな? 女の子なら王子様にあこがれるもんだろ?」
と、楽しそうに言うロイス。
「あのね、ロイス。何度も言ったと思うけど、王子様より、断然、女神様。私のあこがれは騎士団長様なんだからね!」
「なるほど、お嬢はまだまだお子様ってことか」
それを聞いて、ルドが大きな目で、ロイスをきっとにらむ。
「マチルダ様に変なことをふきこまないで。マチルダ様はそのままでいいんだから!」
「はいはい。お嬢の従者が怖いから、余計なことを言うのは、やめとくか」
そう言って、にやっと笑うロイス。
2年前のあの時から、ルドとロイスは離れていた時間がなかったかのように仲がいい。
初めて出会った時の2人を思いだすと、今の様子に心あたたまるわ。
本当に良かった…。
と、その時、お城の鐘がなった。
3時の鐘。つまり、パーティーの始まりの合図だ。
あっ、そうか!
いつものパーティーより、きらびやかな服を着ている人が多いんだわ!
毎年、このパーティーに来ているけれど、招待客の多くは騎士関連。
騎士の家族がメインだから、平民の人も多い。
だから、青色は身に着けているけれど、衣装自体はそれほど華やかな感じではない。
貴族ばかりのパーティーとは、そこが違う。
「今年のパーティー、やたらと着飾った人が多くない?」
と、お母様に聞いてみた。
「それがね、今日のパーティーには、珍しいことに、王太子様が参加されるの」
王太子様は、いわずとしれた、辺境伯様で王妃様で騎士団長様のご子息。
あまり、辺境には来られないようで、おみかけしたことは一度もない。
「でも、なんで、王太子様が参加されると、きらびやかな服の人が多くなるの?」
「そりゃあ、あわよくば、王太子様に見初められたいからでしょう? 王太子様には、ご婚約者様がいらっしゃらないし。だから、いつもは、このパーティーに出席しない遠方の貴族のご令嬢たちも、伝手を頼って参加しているみたいよ。あちらの華やかなご令嬢たちは、私も見たことがないもの」
と、お母様の目線の先を見ると、これでもかと着飾った御令嬢たちがいる。
辺境で見かけることがない人種だわ。
「へえ、そうなんだ…」
興味を失った私は気のない返事をする。
「マチルダ様は、王太子様に興味はないのですか?」
と、ルドが聞いてきた。
「全くないわ。弟殿下のルイス殿下なら、剣を稽古されているとお聞きしているから、腕前を見たいとは思うけれど、王太子様は剣に全く興味がないらしいし…。お母様が騎士団長様なのに、もったいないよね。…それより、できれば、今日だけは、王太子様に来てほしくなかったわ」
「え? 何故ですか?」
驚いたように聞く、ルド。
「だって、いつもより、王太子様目当てで人が増えてるってことよね? 新人騎士の紹介があるから、ただでさえ緊張してるのに。人が多いともっと緊張するじゃない…」
ぶちぶち文句を言う私。
「やっぱり、お嬢は変わってるな? 女の子なら王子様にあこがれるもんだろ?」
と、楽しそうに言うロイス。
「あのね、ロイス。何度も言ったと思うけど、王子様より、断然、女神様。私のあこがれは騎士団長様なんだからね!」
「なるほど、お嬢はまだまだお子様ってことか」
それを聞いて、ルドが大きな目で、ロイスをきっとにらむ。
「マチルダ様に変なことをふきこまないで。マチルダ様はそのままでいいんだから!」
「はいはい。お嬢の従者が怖いから、余計なことを言うのは、やめとくか」
そう言って、にやっと笑うロイス。
2年前のあの時から、ルドとロイスは離れていた時間がなかったかのように仲がいい。
初めて出会った時の2人を思いだすと、今の様子に心あたたまるわ。
本当に良かった…。
と、その時、お城の鐘がなった。
3時の鐘。つまり、パーティーの始まりの合図だ。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
178
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる