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本物を見よ!
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振り返った先にいたのは、学園で同級生だったロザンヌ。
バレリー伯爵家の令嬢だ。
今日もとりまきの男爵家の令嬢2人をひきつれている。
学園でも、自分より低い爵位の貴族や、平民の生徒たちを見下しているロザンヌ。
私も子爵家なので、なにかと馬鹿にしたようなことを言われてきた。
が、相手にするのも馬鹿らしいので受け流してきた私。
なのに、2年前、面倒なことがおきてしまい、それ以来、目の敵にされている。
はあ、この楽しいパーティーでは、会いたくない相手よね。
去年までは来てなかったはずなのに、やっぱり王太子様狙いか…。あり得る。
だって、今日の衣装は、いつにもまして、派手だもんね。
ピンク色のドレスは、ふんだんにレースがあしらわれ、宝石つきの大きなリボンがついている。重そう…。
そして、栗色の髪は、いつも以上に、ぐるぐるにきつく巻いている。
なみなみならぬ気合いを感じるよね…。
小柄なロザンヌは、一見すると、かわいらしい感じの見た目。
それをいかしてなのか、ロザンヌは、見目のよい高貴な男性の前では、小動物のようにふるまう。
でも、私から見ると、肉食動物が、小動物のふりをしているみたいにしか見えない。
だって、私は本物の小動物系ルドを間近で見ているから、違いがよくわかる。
ロザンヌには、守ってあげたくなるような愛らしさが全然ないからね。
真似をするなら、もっと本物を見よ!と言いたくなる。
「貴族の令嬢で騎士になるなんて、本当に信じられないわ。でも、体力しか取り柄のない、マチルダにはぴったりね。おめでとう」
と、ロザンヌ。
それって、辺境伯様で王妃様であり騎士団長様をも侮辱している言葉になるんだけど…。
と、思わず、こぶしをにぎりしめる。
でも、ここで言い返して、事を大きくしてはいけない…。
だって、騎士団長様主催のパーティーなんだから!
と、我慢していると、隣にいたルドの気配が変わった。
私のために、何か言い返しそうな雰囲気だ。
あわてて、私は、ルドを隠すように立った。
こんな人たちの悪意で、ルドが無駄に傷ついてほしくないからね。
「ありがとう」
色々、飲み込んで、口先でお礼の言葉を返す私。
「あなた、騎士になれるくらい強いんだもの。やっぱり、護衛なんて、いらなかったじゃない? さっさと、あの護衛を私に譲ればよかったのよ」
と、ロザンヌ。
思わず、にぎったこぶしをロザンヌめがけて振り下ろしたくなった。
いけない、いけない…。
もう、私は騎士なんだから。
そう、このロザンヌが2年前から、私を目の敵にしているのは、ロイスのこと。
私の護衛として、ロイスと一緒に外出しているとき、ロザンヌに会った。
ロザンヌは、一目で、ロイスを気に入ったらしい。
なんと、その場で、ロイスに私の護衛をやめて、自分の護衛になれと言ってきた。
もちろん、ロイスは断った。
で、今度は私に、ロイスは自分みたいに美しい令嬢が連れ歩くのにふさわしいから譲れと言ってきた。
私はあきれながら、強い言葉で断った。
すると、ロザンヌは不満そうに言った。
「いくらあれば、売ってくれるの?」
その言葉に、私は怒った。
ロイスを物みたいに言うなんて、許せなかったから。
それまでの人生で一番怒った瞬間だったかも。
手は出せないので、口だけで言い返したけれど、全く話しが通じないロザンヌ。
もどかしくて、悔しくて、腹が立ちすぎて、泣きながら怒った。
すると、泣きながら怒る私を見て人が集まりだした。
まずいと思ったのか、ロザンヌは、「絶対に、私のものにするからみてなさい!」と、捨て台詞を残して去って行ったっけ。
言葉通り、あきらめなかったロザンヌ。
父親のバレリー伯爵にねだったため、親バカのバレリー伯爵が、うちの屋敷を訪ねてきた。
しかも、最近、羽振りがいいらしい伯爵。
大金をちらつかせ、ロイスを買い取ろうとした。
お父様は激怒し、しまいには、普段は冷静なお母様までブチ切れ、バレリー伯爵を追い返した。
うちより爵位が上だとか、金をもっと積むだとか、下品なことばかり言うバレリー伯爵に、やはり、ロザンヌの親だなと思い知らされた。
うちは子爵だけれど、辺境の守りのかなめの家として知られている。
さすがに、辺境の一角に領地を持つバレリー伯爵も強くでることはできず、それ以上何かを言ってくることはなかった。
が、ロザンヌは違った。
2年間ずーっとロイスに執着していて、なにかと私にからんでくる。
ほんと、執念深いんだよね…。
バレリー伯爵家の令嬢だ。
今日もとりまきの男爵家の令嬢2人をひきつれている。
学園でも、自分より低い爵位の貴族や、平民の生徒たちを見下しているロザンヌ。
私も子爵家なので、なにかと馬鹿にしたようなことを言われてきた。
が、相手にするのも馬鹿らしいので受け流してきた私。
なのに、2年前、面倒なことがおきてしまい、それ以来、目の敵にされている。
はあ、この楽しいパーティーでは、会いたくない相手よね。
去年までは来てなかったはずなのに、やっぱり王太子様狙いか…。あり得る。
だって、今日の衣装は、いつにもまして、派手だもんね。
ピンク色のドレスは、ふんだんにレースがあしらわれ、宝石つきの大きなリボンがついている。重そう…。
そして、栗色の髪は、いつも以上に、ぐるぐるにきつく巻いている。
なみなみならぬ気合いを感じるよね…。
小柄なロザンヌは、一見すると、かわいらしい感じの見た目。
それをいかしてなのか、ロザンヌは、見目のよい高貴な男性の前では、小動物のようにふるまう。
でも、私から見ると、肉食動物が、小動物のふりをしているみたいにしか見えない。
だって、私は本物の小動物系ルドを間近で見ているから、違いがよくわかる。
ロザンヌには、守ってあげたくなるような愛らしさが全然ないからね。
真似をするなら、もっと本物を見よ!と言いたくなる。
「貴族の令嬢で騎士になるなんて、本当に信じられないわ。でも、体力しか取り柄のない、マチルダにはぴったりね。おめでとう」
と、ロザンヌ。
それって、辺境伯様で王妃様であり騎士団長様をも侮辱している言葉になるんだけど…。
と、思わず、こぶしをにぎりしめる。
でも、ここで言い返して、事を大きくしてはいけない…。
だって、騎士団長様主催のパーティーなんだから!
と、我慢していると、隣にいたルドの気配が変わった。
私のために、何か言い返しそうな雰囲気だ。
あわてて、私は、ルドを隠すように立った。
こんな人たちの悪意で、ルドが無駄に傷ついてほしくないからね。
「ありがとう」
色々、飲み込んで、口先でお礼の言葉を返す私。
「あなた、騎士になれるくらい強いんだもの。やっぱり、護衛なんて、いらなかったじゃない? さっさと、あの護衛を私に譲ればよかったのよ」
と、ロザンヌ。
思わず、にぎったこぶしをロザンヌめがけて振り下ろしたくなった。
いけない、いけない…。
もう、私は騎士なんだから。
そう、このロザンヌが2年前から、私を目の敵にしているのは、ロイスのこと。
私の護衛として、ロイスと一緒に外出しているとき、ロザンヌに会った。
ロザンヌは、一目で、ロイスを気に入ったらしい。
なんと、その場で、ロイスに私の護衛をやめて、自分の護衛になれと言ってきた。
もちろん、ロイスは断った。
で、今度は私に、ロイスは自分みたいに美しい令嬢が連れ歩くのにふさわしいから譲れと言ってきた。
私はあきれながら、強い言葉で断った。
すると、ロザンヌは不満そうに言った。
「いくらあれば、売ってくれるの?」
その言葉に、私は怒った。
ロイスを物みたいに言うなんて、許せなかったから。
それまでの人生で一番怒った瞬間だったかも。
手は出せないので、口だけで言い返したけれど、全く話しが通じないロザンヌ。
もどかしくて、悔しくて、腹が立ちすぎて、泣きながら怒った。
すると、泣きながら怒る私を見て人が集まりだした。
まずいと思ったのか、ロザンヌは、「絶対に、私のものにするからみてなさい!」と、捨て台詞を残して去って行ったっけ。
言葉通り、あきらめなかったロザンヌ。
父親のバレリー伯爵にねだったため、親バカのバレリー伯爵が、うちの屋敷を訪ねてきた。
しかも、最近、羽振りがいいらしい伯爵。
大金をちらつかせ、ロイスを買い取ろうとした。
お父様は激怒し、しまいには、普段は冷静なお母様までブチ切れ、バレリー伯爵を追い返した。
うちより爵位が上だとか、金をもっと積むだとか、下品なことばかり言うバレリー伯爵に、やはり、ロザンヌの親だなと思い知らされた。
うちは子爵だけれど、辺境の守りのかなめの家として知られている。
さすがに、辺境の一角に領地を持つバレリー伯爵も強くでることはできず、それ以上何かを言ってくることはなかった。
が、ロザンヌは違った。
2年間ずーっとロイスに執着していて、なにかと私にからんでくる。
ほんと、執念深いんだよね…。
応援ありがとうございます!
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