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怖い
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王太子様の問いかけに、目をうるませて話し始めたロザンヌ。
「あの…私、…マチルダさんと少し話しをしていただけなんです。なのに、…マチルダさんが急に怒りだして…。私に飲み物をかけようとしたんです! そうしたら、私の友人のダリアが、かばってくれて…。でも、私をかばったせいで、こんなにドレスが汚れてしまったんです…。私のためにごめんなさい、ダリア…!」
自分でかけたくせに、よくそんなことが言えるよね?
見ているこっちが恥ずかしくなるんだけど…。
が、一番被害を被っているダリアは何も言わない。唇をかんで下をむいている。
すると、王太子様がダリアに優しく声をかけた。
「こんなに汚れてしまって大変だったね。ウルス、この令嬢に着替えを用意してあげて」
側近の方はうなずき、すぐにメイドさんを呼んで指示をだしている。
王太子様の言葉に、驚いたように顔をあげたダリア。
ダリアが何か言おうとするのをさえぎるように、ロザンヌがしゃしゃりでた。
「そんな、申し訳ないです! 王太子様にそこまでしていただくなんて…」
「母上主催のパーティーで起きたことなんだから、できるだけのことはさせてもらうよ。もちろん、しでかしたほうにも、それ相応のお礼をするけどね」
と、楽しそうに微笑む王太子様。
その笑顔に鳥肌がとまらない…。
ロザンヌ…。とりあえず、誠心誠意謝って、全力でここから逃げたほうがいいと思う。
ロザンヌの悪知恵で騙せる相手ではない。
とっくに、王太子様は真相を見抜いてるよ…。
犯人が嘘を重ねて、罪が重くなることを楽しんでるように私には見える…。
「じゃあ、君の意見を聞こうか。そのドレス、誰が汚したのかな?」
王太子様がダリアに微笑みながら聞いた。
笑っているけれど視線は鋭い。
ダリアの瞳がゆれる。
「それは…、あの…、ロ…」
まで言いかけた時、ロザンヌがダリアの肩をおさえた。
「ダリア! そんなにマチルダさんが怖いのね…! でも、大丈夫。はっきり、マチルダさんにかけられたって言ったらいいわ。ね? ね?」
う-ん…、これって、そう言えと完全に圧をかけているよね?
ダリアはロザンヌに弱みでもにぎられてるの?
結局、ダリアは口ごもったまま、怯えたように泣き出した。
「王太子様…! このとおり、ダリアはマチルダさんが怖くて、はっきり言えないでいます…! でも、私は、ことを大きくしたくはありません。謝ってくれたら、私はマチルダさんを許します…」
…ん?! ちょっと意味がわからない。
ことを起こし、更に大きくしているのは、あなたですが…?
そして、謝るのは、あなたのほうですが…?
「へえ…。バレリー伯爵令嬢は、とっても優しいんだね。理不尽に怒られ、ドレスに飲み物をかけられそうになったのに、謝るくらいで許すなんて。ぼくだったら、徹底的にやりかえすけどね」
そう言うと、王太子様のロザンヌを見る目が、すーっと細くなった。
まるで、獲物に焦点をあわせているようで、体がふるえる。
なのに、ロザンヌは、恥じらうように体をくねらせた。
「まあ、優しいだなんて…ほめていただいて、うれしいです」
いや、褒めてないよね…。
なんだか、王太子様も怖いし、ロザンヌの鈍感さも怖い。
とりあえず、この場から離れたいんだけど…。
「あの…私、…マチルダさんと少し話しをしていただけなんです。なのに、…マチルダさんが急に怒りだして…。私に飲み物をかけようとしたんです! そうしたら、私の友人のダリアが、かばってくれて…。でも、私をかばったせいで、こんなにドレスが汚れてしまったんです…。私のためにごめんなさい、ダリア…!」
自分でかけたくせに、よくそんなことが言えるよね?
見ているこっちが恥ずかしくなるんだけど…。
が、一番被害を被っているダリアは何も言わない。唇をかんで下をむいている。
すると、王太子様がダリアに優しく声をかけた。
「こんなに汚れてしまって大変だったね。ウルス、この令嬢に着替えを用意してあげて」
側近の方はうなずき、すぐにメイドさんを呼んで指示をだしている。
王太子様の言葉に、驚いたように顔をあげたダリア。
ダリアが何か言おうとするのをさえぎるように、ロザンヌがしゃしゃりでた。
「そんな、申し訳ないです! 王太子様にそこまでしていただくなんて…」
「母上主催のパーティーで起きたことなんだから、できるだけのことはさせてもらうよ。もちろん、しでかしたほうにも、それ相応のお礼をするけどね」
と、楽しそうに微笑む王太子様。
その笑顔に鳥肌がとまらない…。
ロザンヌ…。とりあえず、誠心誠意謝って、全力でここから逃げたほうがいいと思う。
ロザンヌの悪知恵で騙せる相手ではない。
とっくに、王太子様は真相を見抜いてるよ…。
犯人が嘘を重ねて、罪が重くなることを楽しんでるように私には見える…。
「じゃあ、君の意見を聞こうか。そのドレス、誰が汚したのかな?」
王太子様がダリアに微笑みながら聞いた。
笑っているけれど視線は鋭い。
ダリアの瞳がゆれる。
「それは…、あの…、ロ…」
まで言いかけた時、ロザンヌがダリアの肩をおさえた。
「ダリア! そんなにマチルダさんが怖いのね…! でも、大丈夫。はっきり、マチルダさんにかけられたって言ったらいいわ。ね? ね?」
う-ん…、これって、そう言えと完全に圧をかけているよね?
ダリアはロザンヌに弱みでもにぎられてるの?
結局、ダリアは口ごもったまま、怯えたように泣き出した。
「王太子様…! このとおり、ダリアはマチルダさんが怖くて、はっきり言えないでいます…! でも、私は、ことを大きくしたくはありません。謝ってくれたら、私はマチルダさんを許します…」
…ん?! ちょっと意味がわからない。
ことを起こし、更に大きくしているのは、あなたですが…?
そして、謝るのは、あなたのほうですが…?
「へえ…。バレリー伯爵令嬢は、とっても優しいんだね。理不尽に怒られ、ドレスに飲み物をかけられそうになったのに、謝るくらいで許すなんて。ぼくだったら、徹底的にやりかえすけどね」
そう言うと、王太子様のロザンヌを見る目が、すーっと細くなった。
まるで、獲物に焦点をあわせているようで、体がふるえる。
なのに、ロザンヌは、恥じらうように体をくねらせた。
「まあ、優しいだなんて…ほめていただいて、うれしいです」
いや、褒めてないよね…。
なんだか、王太子様も怖いし、ロザンヌの鈍感さも怖い。
とりあえず、この場から離れたいんだけど…。
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