4 / 11
子グマ
しおりを挟む
子リスとわかれたオハギ。長いワンピースをたくしあげながら、また、ずりずりと歩いていると、子グマがいた。
木にもたれて、すわりこんでいる。
オハギは、またまた、フフっと笑って言った。
「泣きそうな子、みいーつけた」
オハギを見ても、子グマは驚かない。涙がこぼれそうな目を大きくあけて、聞いてきた。
「だれ?」
「わたしは、立派な魔女よ!」
オハギは、さっきより、もっともっと、胸をはった。
「まじょ? 子ども…」
「子どもじゃなくて、魔女なの! それも、とっても立派な魔女。 目がまるくても、ほっぺたがまるくても、関係ないの!」
そう、今のオハギは、真っ黒でながーい髪の毛は、背中にたらし、真っ黒いとんがり帽子は、目がしっかり見えるように、かぶっている。
だって、じゃまなんだもの!
「りっぱなまじょ? ふーん、そう」
子グマは、興味がなさそうにつぶやいた。
「いやいや、もっと聞いてよ! 立派な魔女って、何ができるの?とかね」
「じゃあ、なにができるの?」
棒読みで聞く、子グマ。
「なんでも、できるわよ! さっきだって、子ウサギのにんじんを見つけたり、子リスの羽も見つけたんだからね!」
とたんに、子グマが立ちあがった。
「だったら、小鳥さんがいなくなったから、探してよ」
今にも泣き出しそうな顔で頼んでくる子グマ。
「小鳥? もしかして、あなたも羽を飾ってるの? 今、はやってるのかしらね?」
「ちがうよっ! ぼくが探してほしいのは、小鳥さん。ずっと、ぼくの肩にのって、歌ってくれてたの」
「え? その小鳥は、ずっと前から、あなたの肩にのってたの?」
びっくりして聞く、オハギ。
「ううん、今朝からだよ。でも、ぼくたちはもう友達なんだ!」
「友達? そうだ、友達が欲しいなら、白猫はどう? 歌は歌えないけど、飛んでいったりしないわ。めんどうくさいって、ねっころがってばかりだから。いつでも、貸し出すわ。涙をくれればね」
「そんなのいやだっ! ぼくが探してほしいのは、きれいな声で歌ってくれる小鳥さんだもん。友達のいないぼくの肩にとまって、歌ってくれたんだもん。はじめてできた友達なのに!」
「え? はじめてできた友達なの? …まあ、私もいないけど」
「だって、あんなに、きれいな声で、歌ってくれるんだよ。木にもたれて、すわって聞いてたら、気持ちよくなって、ねむっちゃった。小鳥さーんって、呼んでみたけど、見つからないんだ! きっと、ぼくが眠っちゃったから、がっかりして、どっかへ行ったのかも。友達になってくれたと思ったのに。 うおおおおおおん!」
子グマの目から、ぼとぼとと涙がこぼれおちはじめた。
オハギは、あわてて、ポケットからハンカチをだして、子グマの顔におしつける。
そして、やっと、子グマが泣きやむと、ふんわりしていたハンカチが、クッションみたいにふくらんだ。
「涙の量が多かったから、いい感じ! もう、じゅうぶんね!」
オハギは、にこにこしながら、ふくらんだハンカチを大事にかかえる。もう、ポケットには入らない。
「じゃあ、涙のお礼に探してあげる」
「え、ほんと?!」
「ほんとうよ! 立派な魔女は、うそをつかないの。みてなさい。…あ、でも、今度は自慢の鼻では無理かしら?」
オハギは、首をひねって、考えた。
「あ、そうだ。その小鳥、どんな声で歌ってたの?」
子グマは、コホンとせきばらいをして、声をだした。
「ヒュールリー、ピーララー。ピーピー、ヒュールリー」
調子っぱずれの音が続く。…これは、参考にならない。
「もういいわ」
オハギはそう答えると、今度はあたりをうろつきながら、耳をすませた。
「あの…、なにしてるの?」
「小鳥のきれいな声を探しているの。立派な魔女は、鼻ほどじゃないけれど、耳もいいの。…あ、聞こえてきた。すごーく、いい声で歌ってみるみたいだから、そうじゃないかしら」
そう言うと、オハギは、子グマの手をひっぱって、声のほうへと連れて行った。
小鳥の声が近づいてきて、子グマにも聞こえたよう。
子グマが見上げた木のてっぺんで、気持ちよさそうに歌う、美しい青い小鳥。
「いた! ぼくの友達、小鳥さんだ!」
木にもたれて、すわりこんでいる。
オハギは、またまた、フフっと笑って言った。
「泣きそうな子、みいーつけた」
オハギを見ても、子グマは驚かない。涙がこぼれそうな目を大きくあけて、聞いてきた。
「だれ?」
「わたしは、立派な魔女よ!」
オハギは、さっきより、もっともっと、胸をはった。
「まじょ? 子ども…」
「子どもじゃなくて、魔女なの! それも、とっても立派な魔女。 目がまるくても、ほっぺたがまるくても、関係ないの!」
そう、今のオハギは、真っ黒でながーい髪の毛は、背中にたらし、真っ黒いとんがり帽子は、目がしっかり見えるように、かぶっている。
だって、じゃまなんだもの!
「りっぱなまじょ? ふーん、そう」
子グマは、興味がなさそうにつぶやいた。
「いやいや、もっと聞いてよ! 立派な魔女って、何ができるの?とかね」
「じゃあ、なにができるの?」
棒読みで聞く、子グマ。
「なんでも、できるわよ! さっきだって、子ウサギのにんじんを見つけたり、子リスの羽も見つけたんだからね!」
とたんに、子グマが立ちあがった。
「だったら、小鳥さんがいなくなったから、探してよ」
今にも泣き出しそうな顔で頼んでくる子グマ。
「小鳥? もしかして、あなたも羽を飾ってるの? 今、はやってるのかしらね?」
「ちがうよっ! ぼくが探してほしいのは、小鳥さん。ずっと、ぼくの肩にのって、歌ってくれてたの」
「え? その小鳥は、ずっと前から、あなたの肩にのってたの?」
びっくりして聞く、オハギ。
「ううん、今朝からだよ。でも、ぼくたちはもう友達なんだ!」
「友達? そうだ、友達が欲しいなら、白猫はどう? 歌は歌えないけど、飛んでいったりしないわ。めんどうくさいって、ねっころがってばかりだから。いつでも、貸し出すわ。涙をくれればね」
「そんなのいやだっ! ぼくが探してほしいのは、きれいな声で歌ってくれる小鳥さんだもん。友達のいないぼくの肩にとまって、歌ってくれたんだもん。はじめてできた友達なのに!」
「え? はじめてできた友達なの? …まあ、私もいないけど」
「だって、あんなに、きれいな声で、歌ってくれるんだよ。木にもたれて、すわって聞いてたら、気持ちよくなって、ねむっちゃった。小鳥さーんって、呼んでみたけど、見つからないんだ! きっと、ぼくが眠っちゃったから、がっかりして、どっかへ行ったのかも。友達になってくれたと思ったのに。 うおおおおおおん!」
子グマの目から、ぼとぼとと涙がこぼれおちはじめた。
オハギは、あわてて、ポケットからハンカチをだして、子グマの顔におしつける。
そして、やっと、子グマが泣きやむと、ふんわりしていたハンカチが、クッションみたいにふくらんだ。
「涙の量が多かったから、いい感じ! もう、じゅうぶんね!」
オハギは、にこにこしながら、ふくらんだハンカチを大事にかかえる。もう、ポケットには入らない。
「じゃあ、涙のお礼に探してあげる」
「え、ほんと?!」
「ほんとうよ! 立派な魔女は、うそをつかないの。みてなさい。…あ、でも、今度は自慢の鼻では無理かしら?」
オハギは、首をひねって、考えた。
「あ、そうだ。その小鳥、どんな声で歌ってたの?」
子グマは、コホンとせきばらいをして、声をだした。
「ヒュールリー、ピーララー。ピーピー、ヒュールリー」
調子っぱずれの音が続く。…これは、参考にならない。
「もういいわ」
オハギはそう答えると、今度はあたりをうろつきながら、耳をすませた。
「あの…、なにしてるの?」
「小鳥のきれいな声を探しているの。立派な魔女は、鼻ほどじゃないけれど、耳もいいの。…あ、聞こえてきた。すごーく、いい声で歌ってみるみたいだから、そうじゃないかしら」
そう言うと、オハギは、子グマの手をひっぱって、声のほうへと連れて行った。
小鳥の声が近づいてきて、子グマにも聞こえたよう。
子グマが見上げた木のてっぺんで、気持ちよさそうに歌う、美しい青い小鳥。
「いた! ぼくの友達、小鳥さんだ!」
0
あなたにおすすめの小説
四尾がつむぐえにし、そこかしこ
月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。
憧れのキラキラ王子さまが転校する。
女子たちの嘆きはひとしお。
彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。
だからとてどうこうする勇気もない。
うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。
家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。
まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。
ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、
三つのお仕事を手伝うことになったユイ。
達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。
もしかしたら、もしかしちゃうかも?
そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。
結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。
いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、
はたしてユイは何を求め願うのか。
少女のちょっと不思議な冒険譚。
ここに開幕。
9日間
柏木みのり
児童書・童話
サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。
(also @ なろう)
【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。
しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。
そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。
そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。
こちら第二編集部!
月芝
児童書・童話
かつては全国でも有数の生徒数を誇ったマンモス小学校も、
いまや少子化の波に押されて、かつての勢いはない。
生徒数も全盛期の三分の一にまで減ってしまった。
そんな小学校には、ふたつの校内新聞がある。
第一編集部が発行している「パンダ通信」
第二編集部が発行している「エリマキトカゲ通信」
片やカジュアルでおしゃれで今時のトレンドにも敏感にて、
主に女生徒たちから絶大な支持をえている。
片や手堅い紙面造りが仇となり、保護者らと一部のマニアには
熱烈に支持されているものの、もはや風前の灯……。
編集部の規模、人員、発行部数も人気も雲泥の差にて、このままでは廃刊もありうる。
この危機的状況を打破すべく、第二編集部は起死回生の企画を立ち上げた。
それは――
廃刊の危機を回避すべく、立ち上がった弱小第二編集部の面々。
これは企画を押しつけ……げふんげふん、もといまかされた女子部員たちが、
取材絡みでちょっと不思議なことを体験する物語である。
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
化け猫ミッケと黒い天使
ひろみ透夏
児童書・童話
運命の人と出会える逢生橋――。
そんな言い伝えのある橋の上で、化け猫《ミッケ》が出会ったのは、幽霊やお化けが見える小学五年生の少女《黒崎美玲》。
彼女の家に居候したミッケは、やがて美玲の親友《七海萌》や、内気な級友《蜂谷優斗》、怪奇クラブ部長《綾小路薫》らに巻き込まれて、様々な怪奇現象を体験する。
次々と怪奇現象を解決する《美玲》。しかし《七海萌》の暴走により、取り返しのつかない深刻な事態に……。
そこに現れたのは、妖しい能力を持った青年《四聖進》。彼に出会った事で、物語は急展開していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる