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番外編
ある子息の初恋 13
夜会を欠席すると伝えた僕に、微笑んでみせたメアリー。
やけに美しい表情に僕の心はざわついたけれど、とりあえず、僕の言い分にメアリーが納得してくれたんだと思うと、ほっとした。
早く欠席の返事を書かないと……。
「大丈夫よ、ジョイス。夜会には私も行くから。だから、欠席のお返事はしないで」
「……え? メアリー? 欠席することに納得してくれたんじゃないのか……?」
とまどう僕に、メアリーは更に美しく微笑んだ。
「王家主催の夜会なら欠席できないもの。ジョイスは次期ゴラン子爵になるのよ。私に気をつかって欠席なんてしたらいけないわ。それに、そんな特別な夜会に、もうすぐ結婚する私が一緒に行かないなんておかしいでしょう? もちろん、私も一緒に参加するわ」
「……いや、メアリー……。悪いが、それはできない。メアリーが僕を心配して、そう言ってくれているのはわかっているし、その気持ちはとても嬉しい。……でも、この夜会だけは、メアリーは行かないほうがいいと思う。僕もひとりで出席するつもりはないから、父が何と言おうと欠席するよ」
「ジョイス。実は、この夜会のことを私はお父様から聞いたの。お父様宛てに招待状が届いていたから。お父様は、『次期子爵としてジョイス君は夜会に行くかもしれないが、おまえは絶対に行くな』と言ったわ。お父様も欠席するそうよ」
「だったら、僕たちも欠席で……」
「ねえ、ジョイス。あなたは私を信用していないの……?」
メアリーが僕の言葉を遮るように、悲し気な声で聞いてきた。
信用……?
なんで、メアリーは急にそんなことを聞くんだ? と、不思議に思いながらも僕は即答した。
「僕はメアリーを信用している」
誰よりも信用したいと思っている。
心の中で僕の思いを補足する。
「良かった……。ジョイスもお父様みたいに私を信用していないのかと思ったわ。だって、お父様はいまだに、間違った噂を流された私を許していないし、私を全く信用していないの。だから、噂をうのみにして、私が全部悪いって言うのよ。でも、私は悪いことなんて何もしていない。噂だって私が流したものでもないし、真実でもない。その点、私は被害者だわ。そう言うと、お父様は私に反省していないと怒るのよ。ジョイスもひどいと思うでしょう?」
そう僕に問いかけてきたメアリーの瞳は闇がどっぷりとにじみでてきている。
「……あ、ああ……そうだね」
「お父様みたいに、あの噂を信じている人たちもいるでしょうけれど、私は逃げないわ。だって、私は悪くないもの。それに、今までジョイスと沢山、夜会に参加したけれど、私を悪く言う人なんていなかったわ。私と直接会えば、噂は間違っているとわかってくれるわ」
そう言うと、メアリーは僕の顔をじっと見つめてきた。
「ねえ、ジョイス。私は、もうすぐあなたの妻になる。ジリアン伯爵家の娘としてではなく、ジョイスの妻として堂々と夜会にでるつもり。だから、お父様に私を止める権利なんてないわ」
僕の妻として夜会にでる……。
メアリーの言葉が、やけに甘く僕の心に染み入ってきた。
色々と思い悩んでいたことが、どうでもいいことに思えてきた。
そうだ、メアリーは僕の妻になる。
だったら、メアリーの言うように、誰かに邪魔されるなんておかしい。
ジリアン伯爵様や父にだって、そんな権限はない。
メアリーは僕の妻になるんだから。
「わかった……。メアリーが夜会に行きたいのなら、僕が連れて行くよ」
僕の言葉に、メアリーがふわりと抱きついてきた。
「ありがとう、ジョイス! ジョイスなら、わかってくれると思ってたわ! 私の味方はジョイスだけよ。王宮での特別な夜会なんだから、とびっきりのおしゃれをしていくわね。ジョイスの妻として、美しくありたいもの。だから、当日は楽しみにしていてね」
そう言って、抱き着いたまま、とろけるような笑みをうかべたメアリー。
顔は微笑んでいるのに、瞳には底が見えない、どろりとした闇が見える。
それでも、僕はメアリーが愛おしい。
どんなメアリーでも、そのすべてが愛おしい。
あともう少ししたら、僕の妻になるメアリー。
その未来を絶対に手放したくない。
メアリーと、このままずっと一緒に暮らしていきたい。
だから、この夜会に行くのは危険だ。
メアリーが何と言おうが、連れて行ってはいけない。
そう心の奥で叫ぶ声がする。
その声にふたをするように、僕はメアリーをきつくだきしめた。
メアリーが何を思っているのかわからない。
でも、その思いごと封じ込めて、僕のもとから離れていかないようにしなければ……。
やけに美しい表情に僕の心はざわついたけれど、とりあえず、僕の言い分にメアリーが納得してくれたんだと思うと、ほっとした。
早く欠席の返事を書かないと……。
「大丈夫よ、ジョイス。夜会には私も行くから。だから、欠席のお返事はしないで」
「……え? メアリー? 欠席することに納得してくれたんじゃないのか……?」
とまどう僕に、メアリーは更に美しく微笑んだ。
「王家主催の夜会なら欠席できないもの。ジョイスは次期ゴラン子爵になるのよ。私に気をつかって欠席なんてしたらいけないわ。それに、そんな特別な夜会に、もうすぐ結婚する私が一緒に行かないなんておかしいでしょう? もちろん、私も一緒に参加するわ」
「……いや、メアリー……。悪いが、それはできない。メアリーが僕を心配して、そう言ってくれているのはわかっているし、その気持ちはとても嬉しい。……でも、この夜会だけは、メアリーは行かないほうがいいと思う。僕もひとりで出席するつもりはないから、父が何と言おうと欠席するよ」
「ジョイス。実は、この夜会のことを私はお父様から聞いたの。お父様宛てに招待状が届いていたから。お父様は、『次期子爵としてジョイス君は夜会に行くかもしれないが、おまえは絶対に行くな』と言ったわ。お父様も欠席するそうよ」
「だったら、僕たちも欠席で……」
「ねえ、ジョイス。あなたは私を信用していないの……?」
メアリーが僕の言葉を遮るように、悲し気な声で聞いてきた。
信用……?
なんで、メアリーは急にそんなことを聞くんだ? と、不思議に思いながらも僕は即答した。
「僕はメアリーを信用している」
誰よりも信用したいと思っている。
心の中で僕の思いを補足する。
「良かった……。ジョイスもお父様みたいに私を信用していないのかと思ったわ。だって、お父様はいまだに、間違った噂を流された私を許していないし、私を全く信用していないの。だから、噂をうのみにして、私が全部悪いって言うのよ。でも、私は悪いことなんて何もしていない。噂だって私が流したものでもないし、真実でもない。その点、私は被害者だわ。そう言うと、お父様は私に反省していないと怒るのよ。ジョイスもひどいと思うでしょう?」
そう僕に問いかけてきたメアリーの瞳は闇がどっぷりとにじみでてきている。
「……あ、ああ……そうだね」
「お父様みたいに、あの噂を信じている人たちもいるでしょうけれど、私は逃げないわ。だって、私は悪くないもの。それに、今までジョイスと沢山、夜会に参加したけれど、私を悪く言う人なんていなかったわ。私と直接会えば、噂は間違っているとわかってくれるわ」
そう言うと、メアリーは僕の顔をじっと見つめてきた。
「ねえ、ジョイス。私は、もうすぐあなたの妻になる。ジリアン伯爵家の娘としてではなく、ジョイスの妻として堂々と夜会にでるつもり。だから、お父様に私を止める権利なんてないわ」
僕の妻として夜会にでる……。
メアリーの言葉が、やけに甘く僕の心に染み入ってきた。
色々と思い悩んでいたことが、どうでもいいことに思えてきた。
そうだ、メアリーは僕の妻になる。
だったら、メアリーの言うように、誰かに邪魔されるなんておかしい。
ジリアン伯爵様や父にだって、そんな権限はない。
メアリーは僕の妻になるんだから。
「わかった……。メアリーが夜会に行きたいのなら、僕が連れて行くよ」
僕の言葉に、メアリーがふわりと抱きついてきた。
「ありがとう、ジョイス! ジョイスなら、わかってくれると思ってたわ! 私の味方はジョイスだけよ。王宮での特別な夜会なんだから、とびっきりのおしゃれをしていくわね。ジョイスの妻として、美しくありたいもの。だから、当日は楽しみにしていてね」
そう言って、抱き着いたまま、とろけるような笑みをうかべたメアリー。
顔は微笑んでいるのに、瞳には底が見えない、どろりとした闇が見える。
それでも、僕はメアリーが愛おしい。
どんなメアリーでも、そのすべてが愛おしい。
あともう少ししたら、僕の妻になるメアリー。
その未来を絶対に手放したくない。
メアリーと、このままずっと一緒に暮らしていきたい。
だから、この夜会に行くのは危険だ。
メアリーが何と言おうが、連れて行ってはいけない。
そう心の奥で叫ぶ声がする。
その声にふたをするように、僕はメアリーをきつくだきしめた。
メアリーが何を思っているのかわからない。
でも、その思いごと封じ込めて、僕のもとから離れていかないようにしなければ……。
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