天使かと思ったら魔王でした。怖すぎるので、婚約解消がんばります!

水無月あん

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なにしてるの?

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男の子と師匠は、先に走りだす。

よし、私も! と思ったら、だれかが、私の前にしゃがみこんだ。

見慣れた背中ね…、じゃなくて、
「ちょっと、ロイド?! なにしてるの?」

「さあ、アデル様。乗ってください」

どこへ?

「ほら、早く。どうぞ!」

色々とよくわからないんだけれど?

まずは、
「ロイドは、帰ったんじゃなかったの?」

「いえ、仕事がキャンセルになりましたので、私は休暇をとりました。ということで、今、ここにいるのは、王太子専属護衛騎士ではなく、ただのロイドです」

ええっと…、ロイドはそれでいいのかしら?

では、次の質問。

「それで、乗るって、どこに?」

「もちろん、私の背中です。孤児院まで、私がアデル様をおんぶしますから!」

「え? おんぶ?! この年で、恥ずかしいんだけれど?!」

「しかし、アデル様はお小さいので、歩幅も小さくて、前に進みにくいというか…」

まあ、要は足が遅いってことね! 悲しいことに事実ですが、何か?

「ククッ…、乗ってみたらいいんじゃない?」
デュラン王子が、笑いながら言った。

おもしろがってるわね!

「今まで、何度、アデル様をおんぶしたと思ってるのですか? さあ、安心して、乗ってください!」

ちょっと、それって、小さい頃の話でしょ?!

「でも、早く行ったほうがいいから、乗ったら? 確かに、アデルって、めちゃくちゃ足が遅いし。ここ、馬車も通らないしね」

マルク…、やっとしゃべったと思ったら、率直すぎてびっくりだわ。
そして、私って、そこまで足が遅いのね。うん、そちらもびっくり。

が、確かにそうね! 恥ずかしいなんて言ってられないわ。

「じゃあ、乗るわね、ロイド!」
そう宣言して、広い背中に乗った。

うん、普通に恥ずかしいわね。

デュラン王子、そんなに我慢しなくても、どうぞ、笑って?!

しかし、ロイドの背中は、思った以上の安定した乗り心地。で、速い!
あっという間に、孤児院に到着した。

「さあ、こっちです!」
ロイドは、とまどうことなく、ドアをあけて、建物の中へ入っていく。

「ロイドは、ここへ来たことがあるの?」

「ええ。師匠が、ずっと、ここの子どもたちを教えていますから、私も様子を見に、今でも時々来ますよ。ドーラさんのこともよく知っています」

居間のような部屋に入ると、10人くらいの子どもたちがいた。
ロイドを見るなり、「ロイ兄ちゃん!」と、口々に言いながら、子どもたちが群がってくる。

そして、その中で、一番大きいと思われる、さっき師匠を呼びに来た男の子が、ロイドに言った。

「ドーラさんが、具合が悪くなって…。今、師匠が部屋に見に行ってる」

「お医者さんには、見てもらったのか?」
ロイドが聞くと、男の子は首を横にふった。

「呼びに行ったけど、いなかったんだ。ねえ、どうしよう。ロイ兄ちゃん!」

「大丈夫だ」
ロイドはそう言うと、男の子の頭をやさしくなでた。

「では、ここは、ぼくに任せてもらおうかな」
デュラン王子だ。

えっと、それはどういうことでしょうか?

デュラン王子は、子どもたちの目線にあわせて、姿勢を低くした。
「ぼくね、お医者さんの資格をもってるんだ。だから、ドーラさんを診てくるから、安心して」

えー! 王子でありながら、そして、魔王でありながら、お医者さんなの?!
なんか、すごいね…。

「ということで、アディーも一緒にきてね。女の子がいたほうが、手伝ってもらいやすいからね」

はい、デュー先生! 了解です!





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