(第2章連載中)だれか溺愛見せてください。ちなみに、溺愛を見たいだけで、溺愛してもらいたいわけではありません。

水無月あん

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第一章

パーティー当日に

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アイシャには、「行かなくていい」と、散々言われたけれど、一度、口からでてしまったからしょうがない。

もう、ロイさんは、感極まって、
「リリーちゃん、この借りは必ず返します! 例えば、リリーちゃんが、絶版本を欲しいなって思ったら、必ず全力で手にいれるからね。この先ずっと」

え、この先ずっと?! それは、すごいな…。

ほんのちょっとパーティーにでたら、この先ずっと、絶版本が手に入る…。
もしや、お得だった…? 

私の考えを見透かしたように、アイシャが言った。
「リリー、本につられたらダメよ! ロイはね、恐ろしく打算的なの。この一回の借りで、ずーっとただで動くわけがないからね」

なるほど。気をつけます…。


ということで、気持ちばかりがバタバタしている間に、ついにパーティー当日。
つまりは、留学出発の前日になった。

パーティーには、30分だけ出席することで話がついている。
そして、なぜか、アイシャもついて行くことに。ロイさんは、おびえていたけれど…。

でも、パーティーって、ちょっとしか出席しなくても、準備に時間がかかるんだよね。
まあ、私は顔をだすだけだから、適当なドレスをきて、簡単にすませてしまおうと思っていたら、アイシャの家で準備をするようにとアイシャからの指示がでた。

しかも、指定された時間は3時間も前。
ドレスなど一式持ってなので、荷物が多く、私づきのメイドのサラについてきてもらった。

公爵邸に着くと、すぐに、アイシャの部屋にとおされた。

「おじゃましまーす!」
と、のんきに声をかけると、アイシャのそばには、ずらりと並んだメイドさんたち。

「リリーお嬢様、なんか、すごいですね…」
と、サラがおびえたように言った。

確かに、沢山、人がいるね? 

「リリー、ようこそ。私のおしゃれ部隊であり、精鋭のメイドたちよ! 早速、準備に入るわね!」

「え、まだ3時間もあるけど?! 私は、いつも30分くらいで準備できるよ?」
と、私は驚いて言った。

時間もあるし、まずは、お茶でもするのかなと想像して、お昼は軽めに食べてきたんだけど?

アイシャが、フッと微笑んで、言い放った。
「ダメダメ! 今日はね、あの王女に、私のリリーがなめられないよう、気合いを入れて仕上げるから、時間がかかるの!」

なめられる? なんで? 
アイシャの言ってることが、よくわからない。

だけど、アイシャは、今、それは、それは、いい表情をしている。
そして、腕をくんで立っているその姿は、何かを企んでいる、美しすぎる悪役令嬢そのものなんだけど…。

アイシャは、
「ほら、リリーって、あまり手をかけてないでしょ? 腕がなるわよね」
と、隣にいるベテランそうなメイドさんに声をかけた。

そのメイドさんは、
「はい、アイシャお嬢様。磨きがいがありそうです!」
そう言いながら、準備運動のように、両手を動かしている。

ええと、みなさん、目をぎらぎらさせているところ悪いけど、私はそんなに変わらないと思いますよ?

「あ、一応、ドレスはピンクのを持ってきたんだけど」

サラが運んできてくれて、アイシャに見せる。
私の定番の、地味目で、淡いピンクのドレスだ。

「繊細で素敵なドレスで、リリーによく似合ってるわ。でも、今日は、路線を変えさせてもらうわね!」

「えっ?!」

アイシャは、意味ありげな笑みを浮かべて、
「入って!」
と、かっこよく声をかけた。

すると、一人の長髪の男性が入って来た。
なかなか、奇抜な衣装を着ていらっしゃる、美形のお兄さんだ。

「初めてお目にかかりますー。私、デザイナーのルーニーと申しますー」
と、にっこり微笑まれた。

初めて見るタイプの独特の圧に押し負けつつも、
「はじめまして…。わたし、リリアンヌ・ミラベルと申します」
と、なんとか、挨拶をかえした。

語尾が長めで、癖が強めなお方のようだけど、この方は一体…?
と、思いながら、アイシャを見る。

「ルーニーはね、私がずっとドレスを作ってもらってるデザイナーなの。こんなんだけど、腕は確かよ」

「こんなって、どんなよー! ひどいわ、アイシャちゃんったらー」
と、身をよじっている。

「ほら、こんな感じよ」
と、アイシャが、さめた口調で言った。

茫然としている私に、
「お噂どおり、ほんとに、可憐な妖精姫よねー! なんて、かわいらしいのかしら!」
と、身もだえしているルーニーさん。

妖精姫?! 誰のこと? …って、目線が私よね? 

あ、そうか。

「お世辞がお上手だ…」
と、ぽろりと口からでた。

すると、ルーニーさんは、目を見開いて、
「あら、この妖精姫ちゃん、自己評価が低いのー?」
と、アイシャに聞いた。

アイシャは、うなずいて言った。
「自分のことが、正確に認識できてないの」

ルーニーさんは、はーっとため息をついた。
「なんて、もったいない。でも、大丈夫。私の手にかかれば、自分を認めざるを得なくなるわ!」

「ルーニー! 隣国の王女になめられないよう、みんなの目が釘づけになるようなドレスを選んで!
そして、リリーを最高の美女に仕上げるのよ!」 
アイシャがルーニーさんに、びしっと指示をだす。

え? 最高の美女って…。
アイシャじゃないんだから、いくらなんでも無理ですが?!

と、思ったら、
「了解! 私にまかせて!」
簡単に請け負うルーニーさん。

ちょっと、二人とも、無理なものは無理だよ?! 
冷静になって!

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